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1話1話の話を読み終えるたびに、その話に出て来た登場人物のその後を想ってしまう話ばかりでした。
なんせ、なんの唐突もなく、バスッと終わらせられる話が殆どでしたから。最初はかなり戸惑いましたぜ。
乾いた空気と広い空の下で、生活してる人々の一部分を切り取ったスクラップ集みたいな作品だと感じました。
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一人称での記述だから、突然一人称の人物が変わることがあるので、ストーリーラインを追うのが難しいと。油断するとわからなくなる。各編を超えて、名前が違うけど似たキャラクター、慣れない外国人の似た名前の登場人物が多いというのもあると思います。日本の小説とは勝手が違いますね。ストーリーはやはり日本の文化とは違うので、日本の小説だけ読んでいるのと狭い世界に閉じていすぎるんだと、文化的に閉じた読書の欠点に気づかせくれます。
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誰もがここで書かれている彼女のことを好きになってしまったり、そうでなくても嫌いにはなれないんじゃないかと思った。賢くて繊細で、情熱と愛があり時に弱く、悲しみと喜びに満ちた人生を送る女性。彼女の言動には優しいぬくもりを感じるし、言外に親密な空気が漂うところが好きだ。
「カルメン」や「ミヒート」で描かれている、悲惨な状況に陥ってしまった女性や子どもの話がとてもつらかった。あまりにも克明でハラハラしながら読むことになったが、決して同情的には書かれておらず、作者の冷静な目線をいつも感じた。
姉妹のバカンスを描いた「哀しみ」が特に心に残った。少しの嘘だって、すべて妹への愛にほかならない。誰の視点かによって物事の見え方がまったく変わるところが良い。
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彼女が執筆した全76篇の短篇のうち65篇を岸本氏が訳したもののうち、19篇を収めた短編集。
順番としては「掃除婦のための手引き書」が先だったようだけど、私はこちらが先だった。まあ、短編集だし独立しているし、順番は関係ないか。
最初の2篇を読んだあたりでは「なるほど。おしゃれ。」程度で、少し時間が経つと思い出すのがしんどくなるくらいの印象でしかなかった。
そこからもう数篇読み、ルシア・ベルリンの語る語り口に慣れてくる頃になると、この作家のすごさが見えてくる。
表題作を読むあたりでは、岸本氏が後書きで「そして文庫の帯で」書いているように「一篇読むたびに本を置いて小さくうなり、深呼吸せずにはいられない」という状況がやってくる。
「なるほど。すごい。」に変わる。
どれも、とても平易な語り口で読みやすい。
だからファーストインプレッションは、さっきも書いたとおり、軽い。
ただ、よくよく読んでいるとそうではない。
一人称を中心に、個人の主観を語る中で語り手の人となりを、その人間性を深くから描き出す一方で、その姿を客観的に見たときの第三者的な違和感を実に見事に表現している。
客観的に見たら明らかにおかしい(あるいはおかしくない)のに、主観的にみたらまったくおかしくない(あるいはおかしい)というギャップ。
これが物語に強い陰影を与え、読む側はずいぶんとそのギャップにはらはらさせられる。
読むのを止められなくなる。
もう一つ、特徴的なのは、独立した、そして孤独な人間が中心に据えられていること。
そして上記の主観云々も関連するのだけれども、本人はそれを孤独だとも悩みだとも思っていない。
ただ客観的な我々読み手は、主人公から強い孤独さを感じずにはいられず、そこになんとも言えない感情が生まれる。
これもまた、すごい。
アルコール依存の女性が登場する物語がとても多く、これはなにを意味しているのだろうとずっと考えていたのだけれども、これは筆者本人がアルコールと戦ってきたということが反映されているのかな。そこからなにかを表現しようとしているのかもしれないけれども、そこは今回私の読み方では見いだせなかった。
例の孤独さを強調しているような役割は感じられたけど。
読むのが辛くなるような展開のものもあるけど、でもどれもものすごく秀逸。素晴らしい。
掃除婦〜も読んでみようと思う。
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単行本でもっているけれど、文庫になって『掃除婦のための手引き書』と書店でならんでいたのが嬉しくて、つい買ってしまった。文庫で再読したい。
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「一篇読むたびに深呼吸せずにはいられない」の帯の謳い文句に偽りはない。
何か悪いことをしたような、それでも何か郷愁をそそられるような、一篇ごとにそんな気分にさせられる。
登場人物はみんな傷を持っている。
その傷一つ一つは、誰しもがいつか感じたことのある傷みを見いだせるような気がする。
あの時の、あの感じ、という気分になりたいとき、ぜひ。
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前作にブコウスキーのようなパンクを感じていたので読んだが、
今作はパンチが弱いと感じた。
読後感はとても普通だ。なので、何も入ってこない気がする。
訳者あとがきを読んでようやく、各作品を見出しぐらいの短さでまとめてくれていて、ハチャメチャ感を知ることになり、星2つから星3つにした。
しかしやはり、この作品には作者の女性らしい優しさを感じるので、他にはない特長が消えたと思う。それは訳者にもせきにんあるとおもう。
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作品によってスッと入るものとそうでないものがある。『メリーナ』『カルメン』『BFとわたし』は描写が丁寧で心地よい
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記録。キャラクターが多種で、魅力的。未熟な人たちの苦しい日常の中でもがく生命力が描かれている感じでした。