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800年の歴史がよくまとまっている。慣れない地名人名に戸惑うが、人種宗教の単純な対立ではない歴史を改めて知る。誠実な基本書として。
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スペインはヨーロッパのなかで特殊であり、特にわからないのが、なぜスペインだけイスラムに支配され続けたのかである。レコンキスタといえば、敬虔なキリスト教徒が大変な思いをして800年もかけてイスラムに支配された国土を回復したというイメージを持っているが、どうやら多くの住民が狭量なキリスト教よりも寛容なイスラム教を選んだのだ。そして隣接するキリスト教国もアンダルシア地方が、緩やかなイスラム支配を選んだのだ。
グラナダのナスル朝が支配している面積も人口も国力も、カスティーリャ王国に比べればとても小さいにもかかわらず、250年もの間追い出さなかったのは、そんなに邪魔ではなかったし、キリスト教徒がアンダルシアで普及しなかったという背景もある。16世紀の近代社会は効率的な封建制度を確立するためには、キリスト教で国家を統一しなければならなくなった。1492年にグラナダが陥落するのだが、その年にユダヤ人を追放し、1502年には、イスラム教徒を追放するのだ。
この本は、スペインという国を理解するには良い本だと思います。というよりレコンキスタを理解しない限り、スペインはわからないのだと思います。
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「レコンキスタ」という語は中世では使用されておらず、19世紀に国民国家を形成するために作られた造語であるが、カトリックを信奉するスペイン人が一致団結してムスリムを駆逐・追放した国民運動と当のスペイン人を含めて世界中で誤解されている。本書はムスリムのイベリア半島征服から所謂レコンキスタの終わりまでの800年間の通史である。
イベリア半島を支配していたイスラーム王朝をキリスト教勢力が15世紀末に一気に奪還したかのような印象があった。実際には、闘争と共存を繰り返しながらも800年間バランスしていたイベリア半島において、カスティーリャ・アラゴンの両国が婚姻により実質的に統合された事、同時期のオスマン帝国の伸張によりキリスト教国にイスラーム脅威が高まった事を契機として、結果として15世紀末に「レコンキスタ」が成されたのが歴史の事実であると知った。
スペインの地名に馴染みのない自分は巻頭の地図を何度も往復しながら本文を読み進めた。kindleで購入しなくて正解だった。
【読書メモ】
ウマイヤ朝による西ゴート王国征服(というより併呑)の実態として、「剣かコーランか」といったかつて言われていたような事はなく、既存の勢力を穏健的に取り込んでいった。また、人頭税も非ムスリムから徴収するため改宗を迫る事もなかったが、次第に立身出世や人頭税の免除のため庶民達もイスラームに改宗していった。ムスリムの増加が税収低下に直結し国力が低下する皮肉。モサラベ(アラブ化した者)やムワッラド(イスラームに改修した者)等が各地で割拠していたが、10世紀初頭までにに中部以南は後ウマイヤ朝により統合された。
その後地球温暖化とヨーロッパでの効率化による農業革命が契機となり、人口増加・新興有力者の勃興・封建社会に変貌し、戦士階層を抱える事によって力関係が逆転した。キリスト教・イスラーム共に離合の繰り返し、イスラームは王朝の交代を数度経ながらも宗教は無関係に敵対と同盟を繰り返す戦国時代となった。
カスティーリャ王国・アラゴン連合王国・ポルトガルがイベリア半島をほぼ制圧し、ムスリム勢力は南部のグラナダ周辺のみを領有するのみとなったのにも関わらず、相変わらず敵対と同盟を繰り返して15世紀末までの250年間均衡してたのは面白い。
領土の分割相続、幼帝の擁立は洋の東西を問わず戦乱のフラグ。
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レコンキスタというキーワードを軸に、中世のスペイン史について学ぶことができる本。単なる宗教対立ではなく、各時代の国、領主のパワーバランスにより、領土や協力関係が移り変わり、歴史が紡がれて来たことを知ることは、現代の情勢にも通じるものがあると感じた。
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単語はしっているが、細かいところは知らなかったので手に取ってみた。
レコンキスタがどんなものかは感じられたが、そもそもスペイン史に興味を持っている人向けの内容で、スペインの地理に疎く、世界史もとっていなかった身としては通読したに止まってしまった。人名も聞きなれないことも原因かもしれない。
個人的な興味をもつ目的とはミスマッチだったが、本書のタイトルを見てもっと深く知りたい方にはピッタリだと感じた。
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中世のスペインを理解できる良書。キリスト教とイスラム教、十字軍、ジハード等、目まぐるしくスペインの領地で争いが続く。前半の史実を追う部分は詳細すぎて頭がついていかなかった。後半の第6章にある征服や闘いの実態が記載されているところが興味深い。クライマックスはグラナダの陥落。旅行で訪れたグラナダの街を思い浮かべながら読んで、かなり没入できた。
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イベリア半島の中世史を概観する。
レコンキスタって用語は後世になって用いられたもので、当時の人々は用いていない。つまりレコンキスタという目標が掲げられて王国の興亡が展開されたわけではない。
この時代、洋の東西を問わず攻撃力よりも防御力が優っていたので、殲滅戦にならない。いったん敗北しても他日の復活が容易だ。そのためいかに戦闘を終了させるかの交渉力にも長けていく。欧州のしぶとさはこんなところにもあるわけだ。もうひとつ、王権の継承にあたっては必ず兄弟間で揉める。これも東西共通で、人の業なんだろうな。