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先日立川駅から小旅行に出かけたのですが、電車の時間まで15分以上あったので綺麗な駅構内を歩いていたら本屋さんがありました。そこで、この本の著者である森永氏の本を2冊見つけました、選んだのがこの本でした、もう一つの本はネットで購入しまたが。。
電車の中で読むために掘ってきた本を差し置いて、この本を読み始めてしまいました。森永氏は余命4ヶ月の宣告を受けて、大胆な見直し(断捨離)を行なっているようです。私より7歳上の先輩ですが、老後をいかに充実させるかというアドバイスが多く書かれていて参考になりました。
以下は気になったポイントです。
・本書では、新NISAを始めようとしている人には投資に手を出さないように、そしてすぐに手を出してしまった人には、1日も早い全面撤退をするようにアドバイスを送りたいと考えている(p5)
・6つの神話の嘘、1)年金の不足は投資で補う、2)分散投資でリスク回避できる、3)長期積立投資で利回りは預金を上回る、4)国内よりも成長性の高い米国株に投資すべき、5)専門家に任せておけば投資はほったらかしで良い、6)株価が下がった時こそ投資のチャンス(p12)
・金融庁の報告書(年金2000万円不足問題)には、1)年金額の将来の減少、以外に、2)95歳で死ぬという前提を置いている問題がある。2023年の簡易生命表によると、65歳の人が95歳まで生き残る確率は、男性9.7%、女性26.5%と相当高い。統計学で使われる検定基準に「5%有意」がある、これは確率が5%以下のものは「起こらない」とみなすが、それ以上の確率のものは「起こり得る」と考えるという基準がある。95歳で死ぬという前提は、この5%有意水準を男女ともに見たいしている。そこで100歳まで生き残る確率を計算すると、男性1.4%、女性6.5%となる、だから老後資金は100歳まで生き残ると仮定して35年間分を用意する必要がある(p17)ゼロ成長と仮定すると、35年間で「5876万円不足する」ことになる(p17)
・バブルが崩壊する時には株価は一斉に下がる、我々が目にする株式指標は分散投資がされている、日経平均は225、TOPIXは東京証券取引所プライム市場に上場する全銘柄(約1800)、ニューヨークダウ平均は30、S&P500は500社に分散投資した時の平均株価である、それだけの分散投資をすれば価格変動がかなり抑えられそうだが、現実には大暴落が起きる(p21)
・ドルコスト平均法は、株価が割高の時には少ない量を買い、株価が割安の時は多い量の株を買うことになるが、その主張が間違っている、株価が割高の時には株を少なく買うのではなく、買ってはいけない、それでも長期積立投資を推奨するのは、割高の時に株を買ってもらえなくなったら、彼らがひあがってしまうから。顧客が損をするのを分かっていながら、自分たちの儲けを安定化させるために推奨している(p29)
・アメリカ株のパフォーマンスが良いのは、1)アメリカ株式市場が大きなバブルを起こしている、2)不当な円安が進んだことによる(p30)2024年のIMFが明らかにしているドル・円の購買力平価は、1ドル=91円であり、本来90円に落ち着くべきである、乖離している原因は、投機が存在するから(p41)
・今回の株価下落の大きな原因は、急速に円高が進んだこと。1ドル=152円と、わずか10日間で10円も進んだ円高はまだ調整途中(理由は米・英が金利を下げる中で、日銀が利上げをした)である、モデル計算でも購買力平価でも、均衡為替レートは、1ドル=110円程度で、本来の姿に戻るのにあと40円ほどの円高が必要になる(p51)
・日経平均株価は中長期的には3000円程度まで下落する可能性があると話したが、私(森永氏)のコメントは全てボツになった、テレビ・雑誌・新聞にしろ、金融関係からの広告を受けていないメディアは、ほぼない(p53)2024年8月に起きた株価の暴落を機に、潮目が変わったと判断している、今度のバブル崩壊は同じこと(崩壊直後からバブルが形成)は起きない、資本主義の抱える矛盾が最高潮に達していて、バブルを引き起こす資本主義自体が終わると考えているから(p55)本来は2008年リーマンショックの時に資本主義は終わるはずだったが、それを妨げたのが中国が行なった天文学的は開発投資であった、アメリカが開発投資に100年かけて使ったコンクリートを中国はたった数年で使った、中国はその時の過大投資が原因で、今不動産バブル崩壊で身動きが取れなくなっている、もう救世主はいない(p55)
・老後生活で否定すべきライフスタイル、1)大都市は魅力に溢れている、2)電気は電気会社から買う、3)食料も金で買う、4)東京は安全で安心、5)働き続けて健康と生きがいの一石二鳥、6)都落ちなんてできない(p58)
・岸田政権は原発を重要なベースロード電源として活用し、原発の新増設を認めるというエネルギー政策の抜本転換に踏み切った、原因として、夜間も大量の発電をするベースロード電源がないと、大都市の生活が成り立たないから。例えば、高層マンションにエレベータは不可欠、そのため住民が出入りするたびに大量の電力が消費される、洗濯物はベランダに干せないので、乾燥機で乾かす、水道も水道管の内圧で水が上がるのは3階まで、それ以上はポンプであげる、高層マンションは、電気がないと水も出なくなる(p65)
・2019年10月の台風19号のとき(我が家の目の前の通りが川になった)は、東京ドーム9杯分、1200万立法メートルの水が埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路に貯められて(神田川氾濫対策)、もう一つが、荒川の氾濫を防ぐための施設が、さいたま市の荒川彩湖公園である。台風19号の時にはこの公園が調整池の役割を果たして、東京ドーム31杯分、3900万立方メートルの水が貯められた。この2つの施設の存在により、荒川の氾濫リスクは大きく減少した、そうした対策をしても当時の荒川は氾濫寸前まで増水した(p71)
・最近では2024年8月7日の夕方に埼玉県を襲った豪雨では、ときがわ町、鶴ヶ島市、鳩山町、東松山市などで、時間雨量が100ミリをこえた(注:電車も朝霞台でストップし、志木駅まで歩いている最中に冠水を確認)(p72)
・2040年の労働力率は、男性:65-69歳が71%超(女性:54%)、70-74歳が49%超(女性:32%)となっていた、このような条件が満たされて初めて日本の公的年金制度が維持できるということ、男性の75歳というのは健康寿命(72歳)を超えている(p76)
・私(森永氏)の同級生の中には、60歳の定年を機に会社を辞めて、悠々自適の隠居生活を始めた人が少数派ではあるものの、一定数いる。彼らを話をしていると、幸せが伝わってくる。まだ体力があって自由に動けるので、サラリーマン時代にはできなかった様々な趣味に没頭することができる、彼らの共通点は、大都市での生活を捨てて、生活の基礎的支出を抑えている(p81)
・豊かな老後を過ごすためのマネー戦略、1)収入増でなく生活コスト減、2)投資から手をひく、3)嫌な仕事をしない、4)太陽光パネルで電気代をタダに、5)食料はできる限り自分で作る、6)最終目標は住民税非課税世帯(p86)生活コストを下げれば、大都市での暮らしを継続するのに必要だった「死ぬまで金を稼ぎ続けなければならない」
・医療費負担限度額を計算する場合の「合計所得」には投資収益も含まれる、つまり老後に働いたり投資で稼ぐと、社会保障負担がどんどん増えていく構造になっている(p93)
・若い人は新NISAではなく、iDeC(個人型確定拠出年金)が良い、イデコで一部または全部を預貯金で運用している人は、全体の30%以上いる、しかしメディアはそのこと自体もほとんど知らせず、彼らの大口スポンサーである金融機関のために、新NISAのキャンペーンに邁進している、一方、高齢者や高齢期が間近な中高年はどうすれば良いか、預貯金を続けるしか方法がない(p102)バブルが弾けた後には必ずデフレがやってくる、物価が継続的に下がっていくのだから、元本保証の預貯金の価値は確実に上昇していく(p104)
・住民非課税の所得水準は、大雑把な話(自治体によって異なる)をすると、単身世帯の場合、年金収入が168万円程度までなら、住民税非課税になる、月給5万円以下なら給与収入を加えても住民非課税になる、年金収入と勤労収入合わせて228万円という年収は決して難しくない、生活コストを下げて年収を減らすことができれば、住民税非課税世帯となる(p121)
・豊かな老後を築くために必要なこと、1)生きがいのためだけに生きる、2)教養を身につける、3)Die with ZERO、4)教養とアートは生前整理が不要、5)オープンな人間関係を築く、6)何も持たずに生まれ、何も持たずに死んでいく(p124)
・夢を持ってはいけない、持つべきものはタスク(課題=解決すべき問題):である、いつかできたらいいな、という夢は手付かずで終わることが多い、だからとにかく興味があったら「今やる、すぐやる、好きなようにやる」ようにしないといけない。そして毎日1ミリでも前進すれば、ゴールは着実に近づいてくる(p125)
・生きがいづくりのコツは2つ、1)できるだけ多くの分野に挑戦する、これは合わないと感じたらさっさとやめる、2)できるなら世界一のポジションを取る(p128)
・リネットジャパンという会社のサービスは、便利、パソコンや周辺機器を引き取ってくれる(p138)エコトミーというモノの生前整理の会社に委託した(p139)
・あの世なんて存在しないことを認識しながらも、親鸞や日蓮といった鎌倉仏教の創始者は、あえて民衆に対して「あの世」の存在をアピールし、現実には存在しないもの「あの世」での幸福という希望を抱かせることによって現世での生きがいを与えた、その嘘をつく、という決意が「悟りを開く」ということだと(注:森永氏が受けた日本史の需要)というのだ(p156)
2024年10月2日読破
2024年10月2日作成
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昨年末に末期癌を宣告された森永さんが、忖度なしに精力的に仕事をしている最新の本。投資依存症という本もあったけど、新NISAは政府の詐欺同然のキャンペーンだ、と始まる。耳に痛い話が続く。
否定される6つの投資神話と否定される6つのライフスタイルは、十分納得できる。というより、投資をしない方が異常、というような世界がおかしいと思ってた気持ちと一致した。
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1989年に4万近くとなった日経平均は、2008年に7千円を割った。この間、長期積立しても目減りする一方だっただろうか?世界には同時期に急成長していた市場もある。…トカイナカに家を買い、農地を手に入れ、太陽光パネルに投資する。周囲に商業施設はなく、食料も電気も自給自足。…不良債権化する確率はどちらが高いだろうか?真面目に考えても仕方がない。政府の目論見に乗せられ投資に勤しむだけでは痛い目に遭う。肝に銘じる。一方、Die with ZEROは目指さない。寿命は予測できない。残された人に感謝の印も残したい。
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森永さんの本2冊目。
投資依存症と重複する内容多めだが、投資ブームで良い話しばかり見聞きしていたのでこういった逆意見の話しは冷静になれて勉強になった。
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NISAを肯定する意見ばかりで溢れているので、否定する意見も知っておきたいと思い購入。
NISAをしてはいけない理由をデータを交えて、述べられています。
腑に落ちる内容と腑に落ちない内容がありましたが、総じて勉強にはなりました。
まるまる一冊NISAについての本かと思いきや、中盤から終盤にかけては、森永さんが考える今後の生活の仕方についての解説。
太陽光発電をしなさい、食料は自給しなさい、最終的には住民税非課税世帯を目指しなさいということでした。
全て鵜呑みするわけではありませんが、知識の引き出しを増やすことができました。
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今年、森永先生の本を何冊か読んだのですが、最新刊のこの本もおおよそ同じようなことが書いてありました。特にサプライズはなし。
太陽光発電の件は新しい発見だったかな?
「老後生活に入ったら、まず、スーツをすべて捨てよう。」
はい!
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森永さんの発言には、説得力がある。人任せにせず、自分自身で考えて、選択していく事の重要性が記されている。納得