投稿元:
レビューを見る
デザインギャラリーで行われた「ルール?展」の事後的なコンセプトブックとでもいうべき本。ルールについてメタに考えるためには良いガイドブックだ。
ちょうど、2024年の東京都知事選挙で史上最大数の立候補者が現れ、選挙のルールの隙をつくような目に余る行為が話題となり、立候補を受け付ける際の事前審議をやるべきだとか、選挙運動に対して一定のルールを課すべきだと言う議論になりそうになっている。逆に言うと、誰もが選挙に出ることを難しくする方向での世論を生み出すためのプロパガンダのようにも見える。選挙の活動に強力な表現の自由が認められているのは、そもそも何のためなのかを皆が理解していないと、その大きな権利をみすみす手放すことになってしまうのではないか。あの程度の悪ふざけは、無視して騒ぎにしなければ良いのだと思う。大騒ぎするのは思うツボだ。
ルール違反に対してルールの強化によって応答することを続けていると、息苦しい社会になるだろう。
投稿元:
レビューを見る
ルールが増えて生きやすくなっている時代である一方で、それによって手に届きにくくなったものも多くあるのではないかと思っていたところ、改めてそれらを捉え直せるのではないかと期待してこの本を手に取ってみました。
著者にデザイナーが関わっていたのでもしかしたらデザインに関する内容を期待していたのですが、思ったよりもそれに関する内容が少ない印象だった。
どちらかと言うと、法律などの公共的なルールに関する話が多かった。
この展示に関連するWEB記事も多くあり、そちらの方が個人の生活に落とせるような内容も記載されているので、とても参考になりました。
特にクリエイティブに関わる仕事をしているにとって、見直すという行為は新しいものを生み出す上で大事な考え方だと思うので、とても参考になりました。
面白いと感じるデザインや映画のシーンはルールを破ったり裏切りがあった時に感じるように感じます。
この展示の軸としてある「つくる」「使う」「見直す」「更新する」という図はとてもわかりやすく、汎用的に使いやすい考え方だと思いました。
法律やルールなど公共に関わる物だけでなく、バイアスや同調圧力、セオリーなど公共のルールとして定義されていないけどなんとなく合わせてしまっているものも改めて見直す価値があると感じました。
投稿元:
レビューを見る
ルールがあることで、多くの人が安心して、自由に生きることが可能となっている。
ルールは問題から生まれ、ひとつのルールを実行することが他人の利益や欲望と矛盾したり、さらに別の問題が表れてしまったりする。だから、ルールを事項することで刻々と変化する状況を常に観測しながらアップデートすることを前提とする必要がある。
ルールリテラシーとは「ルールの理解度を上げようと自ら勉強したり、教育や啓蒙の重要性を説いたりするアプローチ」を指す。一方、ルールコンピテンシーとは「ルールについて対話し、意見を言うなど行動し、参加・関与していくという主体性や行動特性」を指す。このうち、ルールを自分事としてとらえる視点や、ルールの受け手でなく作り手となって参加し、過程を楽しむという後者の能力が私たちには欠けている。
宇野重規「異なるルールによって運営されるコミュニティが多数存在することを前提に、どのコミュニティのルールが居心地よいかを考え、移動を繰り返しているのが、現在の私たちである。その意味で、ルールは「与えられる」ものから「作る」ものへ変わった後の今、「選ぶ」対象になりつつある」
「行動を誘導する」ナッジは「ルールを考える」ということにはそぐわない。また、絶対的なルールを決めてくれる人がいれば、それを守る人たちは「考える」というコストを支払わずに振舞える。よって、ルールを設定しないという野生の状態は、一見自由に見えても、ある意味すべてを民事で解決しようとすることで、必然的に個々人にコストがかかることを要求している。
投稿元:
レビューを見る
法律や条例に限らず規範や習慣などあらゆる意識的、無意識的な「ルール」について取り扱った展覧会をベースにそれらのあり方について見ていく
展覧会の内容に関する部分はやはり本で読むだけではあまりピンと来なかったが、途中に出てくるコラムや最後の展覧会後の対談はおもしろい
「ルールを作る方が明文化しないよりもコスト高いが守る側からすると明文化されないほうがコスト高い」というのはその通りだなと思ったし、社会論や組織論に繋がるなと思った
投稿元:
レビューを見る
ルール展という展覧会があったことを知らなかったけど、写真などでかなり詳しく説明があり、雰囲気が伝わってきた。
今までルールと感じていないこともマジョリティであるが故だという気づきなど、いろいろ考えさせられて興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
ルールは道具でうまく使うことで自由になれる可能性がある。元は「ルール?展」という展示会をまとめた本なのだが、面白いのは「ルール?展のルール」という覚書の部分。ルールの良し悪しは創作する側と運用する側の成熟度によるのだと思った。特に運用。ルール自体は悪くないが、運用が目的が課題の禁止に偏るとなんと相手も守らせねばと監視に陥る。そういう危うさがあるのだ。ルールがなんのために作られ、誰のためにあるのか。対立する者同士が場に集まる場合、どんな人にどんなふうに価値を提供するのか伝える工夫も大切なんだなと思った。
投稿元:
レビューを見る
●ルールとは、自由を縛るものというイメージはないだろうか。確かに一つの側面として、ルールは不自由さを強いるものになりうるだろうが、人がルールを求めるのは、より豊かに円滑に社会を生きるためではなかろうか。本書は、人が生きる上で意識せずとも当たり前のように存在するルールというものを、本書を読む人に意識させ、考えをめぐらせるきっかけとルールに対する新たな視点を与えてくれる。