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「小説家になろう」で現状書き出されてる部分は全て読んだ。だから、こちらがいつか、書籍として世に出されるのだろうことは、なんとなく理解していた。アニメ化もしたし。満を辞して、はっきりと、世に出たのだ。
こちらは、「正史」と銘打たれた、ジルが「やり直す」前の話。
つまり、愛を求めてやまないままどうにもならなくなったハディスが傷ついて傷ついて仕方ない、報われないはなし。
初めての恋を踏み締めてそれが蹴散らされてもがきにもがいて槍に貫かれたジルの、傷ついて傷ついて仕方ない、報われないはなし。
そう、誰もが報われない、苦しい苦しい、はなし。
だから、正直、読みたくはなかった。
原作だって、しんどくてしんどくて、つらくて、だれも報われなくて、血と涙しか流れなくて、でもそれはジルが「戻る」前の現実だから、目を背けるわけにはいかなくて。
これは、愛のはなしである。
ジェラルドの、ロレンスの、ジークの、カミラの、ジルの、ハディスの、フェイリスの、……竜と女神の。
フェイリスは、時間を巻き戻し、そして、これから起きることを知っている。
なぜジルは、これからのことを覚えたまま、戻れたのだろうか。
フェイリスは、自分が「被害者」でなく「加害者」であると理解して、飲み込んで、そして、過去を巻き戻すことを決めた。
これからどうなるのか、願わくは、みなの愛が叶いますように。
・電子書籍版は書き下ろし特典あり。幼いハディスが畑作りに勤しむ姿が記される。
・歴史の流れ(年表)があるので、おおよその流れがわかるようになっている。うれしい。