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春、特殊自然災害係に異動になった広瀬は、事務職員ながら人手不足により、美郷や怜路たちと現場に向かうことになる。もののけを見ることも祓うこともできない、『普通のひと』である広瀬ができることと思うこと。おそらく読者により近い彼には、たくさんのエールを送りたい!
一方で、「面に取り憑かれたモノ」と対峙した美郷は、かつての夜を思い返し――尽きぬ悩みを抱えながら、改めて怜路の存在を認識する。やっと気づき始めたそれは、互い境界に立つ者同士であるだけでなく、一緒に過ごすなかで濃く強くなっていった繋がりなのだろうと思う。
もののけ側も人間側も登場人物がぐんと増え、それぞれの人物に立場や悩みがあって、読んでいるうちに自身を顧みてはうっかり「面」に取り付かれそうな怖れを覚えながら読み進んだ。
尾関山の桜や広島の神楽と温泉施設、今回も地域に密着した舞台が描かれ――特に神楽は、今回の事件に大きくかかわっているようで、逃亡した面や若者たちの悩みの行方とともに、続きを楽しみに思う。 #NetGalleyJP
【追記】
改めて……いや、何度でも薄闇の中庭の約束シーンが、好きでたまらないです……! そして、読み返すほどに……広瀬クン、他人への気遣いをスマートにできるわりに……自分が強く好意を感じる相手には尻込みするタイプとみる……。いや、人間……好きなほど、嫌われるのが怖くていろいろ先回りして考えちゃうものかもしれないな……。そのことに――自分がそんなに悩む理由に……どうか、気付いて……