東洋と西洋の融合
2018/05/03 08:41
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
西洋における哲学(形而上学)の誕生から宗教の世俗化という歴史上の流れ、感情に基づく弱い道徳を通して、活路を孟子の性善に見出そうとした書。
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本書は、孟子の考えた道徳の基礎付けとカントやルソーのそれとを比較することで、西洋と東洋それぞれが袋小路にある道徳の問題を互いに揺さぶろうとする。憐れみや忍びない心情をもって、道徳律の根源への可能性を開く。
でもこのモヤモヤ感は何だろう。孟子の議論からは自由や民主主義が生まれないことをもって、それを西洋思想に対する劣後の要素としようとする感覚は。これが道徳を基礎づけようとする意志の一端なのだろうか。
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「道徳」というものについての考察。過去、この言葉がどのように捉えられ、政策者によって解釈され、人々に影響されてきたのかについて、東西の賢人の考え方を紹介される形で迫ろうとされています。洋の東西にかかわらず、人間に同質の性向があるということから、それをどのように捉えられてきたのかが、本書を読むことで少しずつ見えてくるようになります。利己的に生きることが当人にとっては一番のはずなのに、そうしないことは何故なのか。他者の苦しみに心動かされてしまうのは何故なのか。中国の孟子、西欧の哲学者達は、それをヒントにそれぞれ行動を起こし、それは奇しくも同じ時代に同じ動きをすることになります。
同じ時代に、東西それぞれにて行われた道徳についての考察を辿ることで、「道徳」を使うことで、人間に本質的に備わっている性向について知ることができると思います。
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ルソーの「憐れみ」を孟子の「仁」と比較するというように,ルソー・カント・ニーチェを中心とする西洋哲学の「道徳の基礎づけ」の構築・脱構築を,孟子を中心とする古代中国思想で補助線を引くことで新たな理解を試みる。文章自体は平易で,初学者でも挑みやすい内容となっている。