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うつ病の真っ只中だった時、まさにこの状態だった。
書類や本が読めない、自分で取ったメモを見てもさっぱりわからない、不意の質問に頭が真っ白になる、簡単なメールの返信に半日かかる、“不安”になればなるほど頭は働かなくなる…そして、突然限界が来て休職に至った。
当時から、自分でもこういう困難があると思っていたし、ネット上を探せば同じ病気で同じように困っている人は沢山いた。だから、界隈ではこれらのことは当たり前のように共感を得ていた。
こういう辛さ、困難さを家族には説明してきたつもりだったが、おそらく、伝わっていなかった。
「あの時、この本があったらよかった」
この本を相手に手渡して、こんな風になっていると言えたらよかった。そうしたら、不安が減ったかもしれない。もしかしたら、業務調整だって出来たかもしれない。もっと早く回復出来たかもしれない。今も残る脳性疲労は、もっと少なかったかもしれない。
支援者や周囲の人、今はまだどちらでもない人(でもいつそうなるかわからない)に、ぜひ読んでほしい。そして、この困難を想像してほしい。きっと、想像してもわからないと思う。けれど、そういうことがある、と知ることで、当事者に対する見え方はきっと変わる。
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人から見たらサボっているのでは?どうしてそんなことができないの?と自己責任論で分かりやすく分類されてしまうような人たちが、筆者の体験に基づいてなぜ彼らはそうなのかを解説した本でした。
我々の日常生活でも、やろうと思っていた事を別の事に気を取られて忘れてしまったり、考えるのも嫌な事から目を逸らしていたら忘れたり、本を読んでいてもいつの間にか仕事の事を考えていて全然ページが進んでいない事にはっとする瞬間などがありますが、脳の障害や疲労により、そういう症状が極端に現れてしまった人たちが、社会的にも貧困に陥りやすいと言う事が分かりました。
そう言った症状が、先天的なものなのか?後天的なものなのか?などもう少し深堀されていると良かったと思います。筆者によると特に子供のころの虐待や搾取などの体験が大きな影響を与えているようですが、虐待を受けると誰でもそうなるのか?先天的に困難がある人が虐待を受けるとそうなるのか?など、もう少し知りたいと思う点がいくつかありました。
実際に今できる事が難しくなってしまった時の対処案なども丁寧に書かれています。何でも分かりやすく片付けてしまう今の世の中で、多くの人が持つ視点とは異なる視点の学びはあったと思います。
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「貧困者はなぜ怠惰なんだろうと思っていた。自分が高次脳機能障害になって彼らの気持ちが本当にわかった。」
この繰り返しに辟易した。
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最貧貧困女子から10年
なぜの原風景:
違和感の原体験
圧倒的不可能感
不自由な脳→貧困
当事者:
不動産ローン破綻者
失業プロセス
タスクの優先順位を見失う
彼らの言葉:
脳がつかれる=脳性疲労
自身も理解困難
脳性疲労→自罰
働けなくなる不自由
働けない脳:
探せない&融ける時間
把握・判断・自己決定力喪失
供述弱者
座して破滅を待つ:
不安スイッチ
依存の風景
制度利用が困難:
背景症状
記入作業≒地獄
書類を作る側の問題
当事者と周辺者・支援者へ
生活保護界隈
貧困の正体:
生涯特性
円環の摂理
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貧困に大きく影響する不自由な脳の働きは、貧困だけでなく、虐待、PTSD、DV、うつ病、発達障害など過酷な環境や疾患など、誰にでも起こりうること(特に人と接する仕事やホワイトカラーの人)が丁寧に説明されていて、分かりやすかったです。範囲を広げれば、抗がん剤治療やワクチン接種後のブレインフォグも、一時的かもしれないですが、不自由な脳に該当するとも考えられ、こうした人の復職支援もこうした視点が参考になると思いました。
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ずっと考えていた劣悪な家庭環境と発達障害の因果関係。正解がここにあった!作者が終始自分の間違いと向き合っていて良かったな。中盤はくどかったけど高次脳機能障害や発達障害の当事者への共感、慰め、解決方法提示も兼ねてるだろうからしょうがないか。あとがきも染みた。所謂ヤンキーや売女と言われてるような人間の背景が不条理で同情深いものだということがもっと知られるといいな。
メモ
・貧困家庭の連鎖。
・認知されない水面下の自助努力。(高次脳機能障害に近いワーキングメモリーの低下やそれによるパニック、様々な判断能力認知能力の低下)
・女性はセッ久ワーカー・ナイトワーカーへ、男性はヤクザへ。
→劣悪な環境から逃げた先で学んだマジョリティの社会性による沼。
・振る舞いや問題解決の誤学習。劣悪な生育環境により脳の発達が妨げられ、後天的な発達障害に。
・これらを考慮できない人による無慈悲な"制裁"という間違った自己責任論。
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高次脳機能障害の当事者となった著者が、かつての取材で出会った貧困の中にいる若者たちの特性を、再度捉え直し、彼らの言葉や行動を翻訳する。そして、脳の障害を持つ当事者自身の対策と、周りにいる家族らの支援のあり方について提言する。当事者ならではの説得力がある。