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2 件中 1 件~ 2 件を表示

いい家臣に恵まれて

2025/01/14 16:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

徳川家にとって、八月朔日(ついたち)は元日ほどの重い式日だったそうだ。
 というのも、徳川家康の江戸城入城がこの日だったためで、
 この日は略して「八朔(はつさく)」とも呼ばれ、秋の季語にもなっている。
 「八朔の雲見る人や橋の上」と詠んだのは明治期の俳人内藤鳴雪である。
 そんな徳川家康には彼を慕う家臣団がいたことは有名で、
 村木嵐さんの『いつかの朔日(さくじつ)』は家臣団の一人、鳥居忠吉とその息子たちを描いた
 連作短編集である。

 小説誌での発表順ではなく、単行本ではまさに歴史的な順に並べ変えられている。
 それも編集の妙で、最初の「宝の子」は家康の祖父である松平清康が暗殺された日を描いて、
 続く「戻橋」では家康の父である広忠が弱小ゆえに家康の生母於大と離縁させられる逸話の物語である。
 三話で表題作となる「いつかの朔日」ではまだ家康(この頃は幼名竹千代)は織田家の人質でその姿は見えない。
 見えているのは、祖父の時代からの家臣である鳥居忠吉ばかりで、
 彼の目には雲のあわいより大軍を率いる主君の姿だ。

 この連作短編では、最後「雲のあわい」で関ケ原の決戦に挑む家康の姿と、
 その戦いの際に伏見城にあって石田三成率いる西軍を足止めさせた鳥居忠吉の息子、元忠の姿を描く。
 こうして見ていくと、家康という男がいかに家臣に恵まれていたかがよくわかる。
 こうして、260余年の長きに続く江戸時代が始まる。

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2024/12/17 16:22

投稿元:ブクログ

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