日蓮の思想 ――『御義口伝』を読む
著者 植木雅俊
『御義口伝』は、日蓮が身延山で口述した法華経についての講義を、弟子の日興が筆録したものとされるが、その難解さ故に解説書は少ない。そこに展開されている日蓮の法華経解釈、ひいてはその底流にある仏教思想を、NHK「100分de名著」の名講義でも知られる著者が懇切丁寧に解説する。南無妙法蓮華経と唱えるのは、失われた自己を回復し、真の自己に目覚め、人格を完成させるためだと日蓮は説く。そうした日蓮の人間主義の思想を、『御義口伝』をテーマ別に再編成しつつ読み解く。
日蓮の思想 ――『御義口伝』を読む
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日蓮の思想 『御義口伝』を読む
2024/06/16 21:35
散漫な本
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
御義口伝は日蓮の真筆や身延曾存、古写本どころか「王仏冥合論」の元になった三大秘法抄の写本より新しいものしかないからか、「はじめに」で暗に「御義口伝偽作説」を触れつつ居直っている感じがする。それは著者の信仰上の立場にしても「御義口伝真筆説」の根拠でも主張した方がよかったのではないか?例えば踰年改元のない日本で末尾の「弘安元年戊寅正月一日」という個所について。
本文も御義口伝の主張より著者が言いたい事ばかりが書かれている感じがする。それも主張が色々と飛ぶので散漫。「架空の仏」批判の中で観音菩薩も含まれていると言わんばかりに観音品を批判しているが、それでいて元々法華経には含まれていないというのが定説の提婆達多品には龍女成仏が記されているからか重宝している。何故鳩摩羅什は法華経だけでなく法然上人が浄土三部経に含めた阿弥陀経を訳したのか?と聞きたくなる。