僕のなかの壊れていない部分
著者 白石一文
「どうして自分はあのことを忘れることができないんだろう?」
剥きだしの叫ぶが響く、著者の初期傑作。
美しい恋人・枝里子をサプライズで京都に誘った。
それは、昔の男が住む京都で枝里子の反応を見ようという悪意だった――。
東大卒出版社勤務、驚異的な記憶力を持つ「僕」は、同時に3人の女性と関係を持ちながら、誰とも深いつながりを結ぼうとしない。
その「理屈っぽく嫌味な」言動の奥にあるのは、絶望なのか渇望なのか。
彼の特異な過去を知った枝里子は。
「自分の人生にとって本質的なことからは決して逃れられない」
切実な言葉たちが読む者の胸を貫いてロングセラーとなった傑作が文春文庫に登場。
解説・窪美澄
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僕のなかの壊れていない部分
2020/05/03 12:25
考えることが好きな人が読むべき。
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投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなに色んなことを事細かに考えられる思考力とずば抜けた記憶力や知識を持ち合わせていても、母親に捨てられた経験に代わるものはないのだ。主人公の言っていることこそ、どこかの誰かの哲学を都合よく組み合わせて作り上げた自分の生きることに対する言い草でしかないと思った。人間は時に、行ったり来たりなことを考えて矛盾したことを言ってしまうことがある生き物だ。発言は取り消せないのが事実。だけれど、その時はそう考えていたのもまた事実だ。人の感情や思考については、どこにも正しさはないし、どこにでも正しさはある。