怖い俳句
著者 倉阪鬼一郎 (著)
世界最短の詩文学・俳句は同時に世界最恐の文芸形式でもあります。日常を侵犯・異化するなにか、未知なるものとの遭遇、人間性そのもの……作品の中心にある怖さはそれぞれですが、どれも短いがゆえに言葉が心の深く暗い部分にまで響きます。一句二句、暗唱して秘められた世界に浸ってみてください。不思議なことに、そこはかとない恐怖がやがてある種の感動へと変わるはずです。数々のホラー小説を手がけ、また俳人でもある著者が、芭蕉から現代までたどった傑作アンソロジー。
怖い俳句
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2024/06/25 19:51
大人になってようやく俳句が分かり、興味を持った
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:otr - この投稿者のレビュー一覧を見る
国語の教科書に俳句が載ってても、俳句とはなんでありこれの何が面白いのかさえ理解できていませんでした。本書を読んでようやく入口に触れました。
本書は「怖い俳句」というテーマのもと、まず「俳句は世界最短の詩」と言います。その性質が「怖さ」と合うのだと説く。歴史をたどりながら様々な俳句を紹介していきます。松尾芭蕉などは誰もが知っている俳人ですが、有名な文豪にも俳句があって驚きました。
ここから各俳人の個別の句集に手を伸ばしました。手に取ってよかった一冊です。
怖い俳句
2023/04/19 21:15
「俳句の怖さは、その決定的な身近さに由来します。」まえがきより。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やまだち - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖い俳句を集めたアンソロジーです。
ネタバレがあります。
第1章 芭蕉から子規まで
第2章 虚子からホトトギス系、人間探求派まで
第3章 戦前新興俳句系
第4章 実存観念系とその周辺(伝統俳句、文人俳句を含む)
第5章 戦後前衛俳句系
第6章 女流俳句
第7章 自由律と現代川柳
第8章 昭和生まれの俳人(戦前)
第9章 昭和生まれの俳人(戦後)
まえがきに「鑑賞する主体によって、感じる怖さはおのずと違ってきます。」とありますように、句の数だけ怖さの種類もあります。
句のテーマは深い闇や怪奇、稲妻、生き物やその死骸とホラーのオンパレードです。病や死、戦争をあつかった句は底知れぬ怖さがありました。無駄のない十七音だからこそ想像の余地がうまれ、不気味さが増すのでしょう。
印象に残った句が、
鶏殺すこと待て海を見せてから 大原テルカズ
解説の「残酷な抒情」という言葉とともに、深々と胸に刺さりました。
また、有名や俳人たちも「怖い俳句」を詠んでいたことにびっくり!「教科書に載っていない子規」の句はゾクゾクしました。そして句の解説によってその背景を知ると、作者の思いとリンクしてしまい怖さ倍増です。
*虫(ムシ・蟲)が苦手、あるいは集合体恐怖症の方はご注意を!
怖い俳句
2019/07/02 22:04
文字通りこわ~い俳句
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
倉阪鬼一郎という人の『怖い俳句』という本は、
文字通りこわ~い俳句を集めた本です。
「幽霊が写って通るステンレス」(池田澄子)とか
「百物語果てて点せば不思議な空席」(内藤吐天)とか。
俳句でホラーとは意外でしたが、想像力が凝縮された句がいくつもあるのですね。
ついていけないような感覚の作品もけっこうありました。
こわさは人それぞれということでしょうか。
そういえばホラーではないけど、有名な一茶の「やせがえる負けるな一茶ここにあり」も、弱い者への賛歌ではなく、どろどろした情念の句なんですよね。