蟲師
著者 漆原友紀 (著)
この世はヒト知れぬ生命に溢れている――。動物でも植物でもない、生命の原生体――“蟲”。それらが招く不可思議な現象に触れたとき、ヒトは初めてその幽玄なる存在を知る。蟲とヒトとをつなぐ存在――それが“蟲師”たる者。アフタヌーン・シーズン増刊から生まれ、アフタヌーン本誌の大人気作ともなった作品、待望の単行本第1集。
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蟲師(10)
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蟲師 10 (アフタヌーンKC)
2008/12/11 21:07
人は、誰かを思うからこそ、強くなり弱くもなる。だからこそ<蟲>はそこにいる。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
動物でも植物でもない、人の目には見えない「蟲」
それに惑わされ、魅入られる人。そして、それを払う<蟲師・ギンコ>の物語。
まず、帯をみてガクゼン。
「降幕の刻。」ですよ。
え、終わりになるんですか? と、どきどきしながら読んだ。
*光の緒
*常(とこしえ)の樹
*香る闇
*鈴の雫
圧巻は、「鈴の雫」だろう。
<山のヌシ>として生まれた妹。長じて彼女は、山へと消えてしまう。彼女と、そして彼女を何年も探し続けている彼女の兄に偶然あったギンコは、ヌシの力を山に返そうとする。
妹を思いつづける兄の気持ちが切ない。一時とはいえ里に帰ることができて、「家族を恋しく思っただけ」という妹が切ない。
自然は偉大かもしれない。
けれど、人が人を恋う、思う、気持ちは、自然から生まれてきたのではないのか。それを捻じ曲げることこそが間違っているのではないのか。
だから、ギンコは<ふたつめの瞼の裏>で立ちすくむ。
「蟲師」は、人の思いの話だ。
そしてそれは常に純粋だ。が、人の世は純粋であることを許さない時がある。だから、蟲は現れる。
もっと続きが読みたい、というのは「蟲師」の読者の共通の思いだろう。
漆原友紀氏は、物語を完全に閉じたものとして完結しなかった。だからこそ、私たちは自分の側にある自然、もしくは<蟲>の声に耳を傾けるのだろう。そして、どこか遠くにいるギンコの存在を夢見るのだ。
心にしみる作品をありがとうございます、と漆原氏にただ伝えたい。
虫師 5 (アフタヌーンKC)
2004/10/22 23:59
特に残酷さが記憶に残った第5巻
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
古き日本のようで全く別の国のようでもあり、それでいてどこか懐かしい。マンガ『蟲師』の世界のことだ。あやかしと人間がうまいこと共存していた世界(時代)。不思議なことが大好きな私は、読むたびに憧れてしまう。“蟲”にまつわる諸々を生業とする主人公・ギンコは、一体どれだけの不思議を体験出来るのだろうか、と。
本書5巻にも、様々な不思議話が収録されている。旅から旅の生活の中で、ギンコが出会った“蟲”の数々。恐ろしい蟲もいれば、とりたてて害のない蟲もいる。なかでも「曉の蛇」という話に登場する蟲は残酷だ。なぜなら、人の記憶を吸い取るから。
楽しいことに悲しいこと、嬉しいことに嫌なこと、覚えた人の名前に動物の名前、その他ありとあらゆる記憶が、一人の人間を形作っている。それが二つ三つと消えてゆき、やがて自分のことすら分からなくなってしまったら、いや、忘れたということすら忘れてしまったら……その人間はどうなってしまうのだろう。まだまだ若造の私だが、今、この自分が自分でなくなったらと思うと、とても恐ろしい。
作者は、引き込み方が巧みだ。ストーリーの進み方も馴染みやすい。なんとなくデジャビュを感じていたのだが、ふと思い当たるものがあった。それは、幼い頃見ていたテレビアニメの昔話。時に笑えて、時に悲しく、時に残酷で……昔かどうか、日本かどうかもすらも分からないが、私には“現代の昔話”のように思えてならないのだ。
2017/08/04 03:07
独特な世界観に囚われる
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つなかん - この投稿者のレビュー一覧を見る
蟲、身近にいるのに感知できない存在。
幽霊、宇宙人、妖怪、そんなありきたりなものではない、異色の存在。
それに関わる人々と、巻き込まれる蟲師の主人公の物語。
この世界に魅了されれば
暗闇では目を瞑り
雪の中で耳に手を当て
枕に頭を預ける時思いを馳せ
文字を見るたびに女を思い出し
沼を見れば場所を確かめ
虹を見れば目を凝らす
生活全てに蟲師の世界が侵食して、何度も読み返したくなると思います。