呪にまつわる名言の巻
2015/09/06 20:44
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投稿者:スリーピングドッグ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全話を通して"呪"を課題にすえている。陰陽師シリーズの中でも、同一テーマにすべてを絡める展開はめずらしいと感じた。
やはり、異界の雰囲気が、なんとも言えずすばらしい。
いつもながら平安時代の時間の流れを味わう
2006/04/16 20:56
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投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつもの主人公、安倍晴明がその友人、源博雅と繰り広げる平安時代の物語である。本書は短編6本をまとめたものである。
これだけ数を重ねると、どうしても類似した話が出てくるものである。経典写経の際に文字を誤ったために、奇妙な出来事が起きるという話は以前に似たような話があった。話は常に晴明と博雅が晴明の邸の縁で酒を酌み交わして、雑談をしている風景から始まる。
自然の移り変わりなどを博雅が話題にして、晴明に何かを問うと、晴明はきまって呪を持ち出す。それに対して博雅がクレームをつける。ここまでは決まったパターンといっても良い。あとがきで著者自身が『男はつらいよ』と同じでパターン化していることに言及している。
パターン化していても、類似した話が再登場しても、平安時代の話としてみれば、このシリーズは神秘性があり、和風の情緒があり、何となく惹かれるものである。とにかく時間がゆっくりと流れているのが描写から感じ取れるのが嬉しい。
当初は好敵手であった蘆屋道満がこのシリーズでは兄貴格の友人になっているところが注目すべき点であろうか。この太極の巻では、以前のようなグロテスクなシーンはほとんどない。精々鬼にバリバリと喰われるところくらいである。
鬼や敷神の存在もまた神秘性を深めると同時に童話の趣も味わせてくれる。続編が出ればまた読みたくなるのは、このシリーズのまさに魅力であろうか。
飽きないシリーズ
2017/09/29 05:28
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
相も変わらず清明と博雅は濡れ縁で酒を飲み、誰かの依頼で奇怪な事件の解決に出かけていくパターンですが、事件はいつも違った趣を持ち、マンネリのようでいて決してマンネリ化しないシリーズだな、と7巻まで読んで思っています。
清明と博雅のやり取りがまた深くて面白いです。博雅は直感的に真理をつかみ取り、それに心を動かされて「不思議だなあ」と思ったことを言うのに対して、清明は「呪だ」「空だ」と陰陽道や仏教の概念を使って、つまり理屈で物事を説明しようとし、いつも博雅の素直な感動を台無しにするところがまた味わいがあっていいですね
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安倍晴明と源博雅、濡れ縁でゆるゆるとお酒を傾けている風景、大好きなんです。そこに誰かが尋ねてきて、「ゆこう」と出かけていく。偉大なるワンパターン。あとがきによると、夢枕獏はこのシリーズを一生書き続けると記しており、嬉しいことです。
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この素敵過ぎるワンパターン!!!!
濡れ縁での風景、本当に大好きです。
ずっと続いていって欲しいですvv
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やっぱり平安の都は素敵です。いつも通りの雰囲気の安倍晴明と源博雅の二人のコンビが良いですね。艶やかな事件解決。読み終わったあとも景色が溢れます。
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読んだか読んでないか分からなくなり、借りました。(読んだことあった…)
でも面白かったです。
やっぱり晴明&博雅のコンビがいいです。
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このシリーズも7冊目。
相も変わらず、晴明と博雅は庭を愛でながら四季を感じ、酒を楽しむ。
そしてその合間に不思議な出来事を解決していく。
毎回同じパターンなんだけど、水戸黄門みたいなもんで、それが心地いい。
寝る前に読んでると、時間がゆっくり流れている感覚になって、心が穏やかになって寝つきが良くなる。
あとがきで、夢枕獏さんはこの「陰陽師」シリーズを一生書くと仰っている。
まだまだ楽しめるのかと思うと嬉しい。
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「コンビ物」好きには堪らない本。
ゆったりとした時間の中、漂うに為される晴明と博雅のやり取りが好きです。
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「二百六十二の黄金虫」は、「陰陽師」の1冊目を読んだときの気分を思い出させる一編でした。
以前は、けっこういろいろな物語の運び方があったのですが、最近は、もう完全にパターン化しています。
意識してそうなっているというよりも、落ち着くところに流れたら、こうなったという感じでしょうか?
ところで、博雅って、歌がさっぱりわからないっていう設定なかったですっけ?
それは、マンガだけだったかな?
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ワンパターンの導入(晴明邸での博雅との会話)が好きです。
晴明だけじゃなくって、博雅もぜったい(本人が気づいていない)
不思議なパワーがあるよねっ。
このシリーズは展開が読めなくて面白いんです。
不思議な空気です。
ほんと、マンガみたい(笑)
末永く書き続けてほしい話ですね。
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平安時代に活躍した陰陽師安倍晴明とその友の源博雅を
描いたシリーズ第七作目。
このシリーズには一つの「おきまりのパターン」がある。
いつも物語は、晴明の屋敷で二人が庭を眺め、
変わり行く景色を感じながら酒を飲むシーンから始まる。
素直でロマンティストな博雅は、その庭から感じ取った
あるがままの自然の姿について自分の感想をを率直に述べ、
それを晴明は不思議な微笑を浮かべながら聞いている。
時に博雅は、そこから生じた疑問を晴明に投げかけると、
晴明は「呪」の言葉を用いて説明しようとする。
しかし、単純な男である博雅は、
晴明の「小難しくてややこしい」説明を嫌がる。
本当は博雅はその「ややこしい」と言って嫌がる「呪」の理を、
根本では分かっていてそれをちゃんと口にしているのに。
そんな博雅を、晴明は「よい漢(おとこ)だ」と褒める。
そんな一通りのやりとりが行われた後、
博雅が晴明に相談を持ちかけたり、
客人が来たりして話が展開していくのだが、
今まで何度となく繰り返されてきたこの冒頭のやりとり。
なのに、毎回シリーズの最新刊を購入して
初めのページをめくった瞬間、このおなじみのシーンの描写が
自分の目に飛び込んで来る「お約束」を、
「またか」とうんざりした気持ちを覚えた事は
一度たりともない。
むしろこの二人がいつもの場所で簀子の上に座り、
ほろほろと酒を飲んでいると、
自分もまたいつもの場所に来られたような気がして、
なんだかほっとするのである。
夢枕獏の陰陽師シリーズは、いつまでもこの「お約束」から
物語が始まってもらいたいと思う。
今回収録されている六話の短編の中では、
本巻を最初に飾っている「二百六十二匹の黄金虫」が一番好き。
私の好きな登場人物の一人である露子姫が再登場。
相変わらず、平安時代のお姫様らしからぬ風変わりぶりだけど、
その「私は私よ」的な性格が彼女の最大の魅力。
今後もちょくちょく父実之の目を盗んでお屋敷を抜け出し、
晴明、博雅と色々冒険してほしい。
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さくさく読める。
博雅と清明の初めの掛け合いが、定型的ででも人ってそういうものかと自然な感じで、そういう気付きもできました。
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清明と博雅がお酒を飲み語る場面が必ずあってゆったりとした気持ちになり、その上であやかしを退治(?)していく緊迫感もある。短編なので切れ切れにしか読む時間がとれないときに読みやすくおもしろい。この中で、覚という人の心を読む妖怪と晴明との対決がおもしろかった。
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晴明と博雅の「呪だ」「また呪か」のやりとりは、毎度お馴染みなのは分かり切っているにしても、博雅はいい加減抵抗を止めれば良いのにと思わないでもありません。でもそんなところがいい漢なのです、博雅。
虫愛ずる姫再登場! 「ゆこう」「ゆこう」のいつもの掛け合いが、露子姫のおかげで違うバージョンになっていて愉快でした。「二百六十五匹の黄金虫」のお話はとても好きです。恨み辛みで現れた妖ではなく、淋しかったから、というところが可愛らしくて。そんな美しい怪異になら、一度遭ってみたい気すらしました。他の妖は勘弁願います(笑)