犯人の動機を知れば、切ないことも
2025/01/28 16:01
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリの女王、アガサ・クリスティーには、エルキュール・ポアロやミス・マープルという偉大なる名探偵が活躍する長編小説群のほかに、いくつかの短篇小説を集めた短編集もあって、文庫本で14冊となっている。
それらの短編集の中には偉大な名探偵が登場するものもあって、この『死人の鏡』に収録されている4作品はポアロが登場する、いわゆる「ポアロ」ものである。
事件が起こると必ず問われるのは、その「動機」だろう。
通り魔的な事件であっても、事件を起こす「加害者」側には何らかな「動機」がある。
それがどれだけ理不尽であってもそうだし、事件によっては「動機」から犯人をつきとめることもある。
「手に入る新しい事実の一つ一つが、死んだ人間をいろいろちがった角度から照らし出してみせる。(中略)そのうちに全体の姿がはっきり見えるようになるだろう」
これは、表題作である「死人の鏡」の中でのポアロの言葉だ。
そのようにして見えてきた犯人の「動機」まで行き着くと、なるほど犯人が殺人を犯すべき「必然」が見えてくる。
子供かわいさゆえの親心。
犯人の「動機」がわかってしまえば、切なくなる事件だ。
その他に「厩舎街の殺人」「謎の盗難事件」「砂にかかれた三角形」が収められている。
「砂にかかれた三角形」は、夏の海辺の避暑地での事件。女性の背に日焼けオイルを塗るポアロって、ちょっと愉快。
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投稿者:ホームズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの作品も読んだことがあるな~って感じたけどもとになる短編があったんですね~。そしてきっとどの作品もドラマの方で観たことがあったんだな(笑)『死人の鏡』はそれなりに良かったとは思いますがそれ以外の作品は少し微妙な感じがしてしまった。全部がポアロの登場なので楽しめはしましたが(笑)
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「砂に書かれた三角形」、読んだことがなく面白そうな題名だと思っていたらあの長編の中編版?同じところ、違う所を読み比べるものも楽しいです。
どうも既視感が漂う作品が多過ぎて、クリスティーの短編集、そしてポアロものの短編集としては、いまいちでした
2013/06/22 17:16
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投稿者:ミルシェ - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうも、これはポアロもの限定の、短編集ではありませんが、これも同じく短編集の、「教会で死んだ男」の「潜水艦の設計図」と、こちらの「死人の鏡」収録の、「謎の盗難事件」、そして長編「白昼の悪魔」とこちらの短編収録の「砂にかかれた三角形」が、人間関係、話の展開、共に似過ぎているなという気がしました。上記は、政治家が巻き込まれる、軍事・外交絡みの事件というのが同じだし、どちらも盗まれるものが軍隊関連の設計図だし。また、後の方の話も、奔放な女性を巡る、三角関係という構図が、似ているなと思ってしまいました。
この中で、敢えて推すといえば、「厩舎街の殺人」と「死人の鏡」になるのでしょうが、やはり、どちらも、トリックはともかくとして、殺人という行為を犯す動機としては、やや弱いような気がしてしまいした。
どうも、私は利害・怨恨など、どういう動機にしても、ある程度動機に説得力が感じられるものではないと、興味深く読めないんですよね。
どうも、いまいちという感じでした。やはり、あまりにも多くの作品を、量産していると、どうしても似通ったものが出てきてしまったり、殺人の動機に弱さを感じるものが、出てきてしまいがちなんですかね?
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謀略の犠牲になりかねないからと調査を頼まれたポアロは、依頼人の准男爵の邸へ向かった。が、待っていたのは密室の中での依頼人の死。自殺に見えるが動機は不明。また謀略とは何なのか?事件解決の手がかりは意外にも書斎の割れた鏡にあった!密室の謎に挑む表題作をはじめ、ポアロ活躍の四篇を収録する傑作集。
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表題作ふくめ、クリスティーらしい話が集められている。
「永遠の三角形」と「謎の盗難事件」がとくに。
翻訳が読みなれている方と違ったので、なんとなく違和感でした。
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厩舎街の殺人
謎の盗難事件
死人の鏡
砂にかかれた三角形
の4作品を所蔵。
最初は短編だと気がつかずに、読んでいて、あれ本の途中で結論がでて、終わるのかと思ったら、短編集でした。
厩舎街の殺人は、ガイフォークスデイという記念日の意味を知ることができました。
推理小説には、自殺か他殺かが問題になる筋書きは、いろいろありますが、他殺である場合が多いようです。
謎の盗難事件では、書類の盗難事件が課題となる。他の作品でも書類の盗難が話題になったことがある。似ているところもあれば、似ていないところもある。
似た作品があると、作品の違いを楽しむことができるか、辟易としてくるかは、人によるのかもしれない。
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『厩舎街の殺人』
エルキュール・ポアロ・シリーズ
ガイ・フォークス・デイの夜、花火の音にまぎれて発射された銃弾。密室の中で自殺と見える状態で発見されたアレン夫人。不自然な遺体。銃弾の跡と逆の手に握られた銃。再婚をまじかにしていたアレン夫人の過去。アレン夫人の親友であるプレンダリースの行動。死の直前にアレン夫人に会っていた強請り屋のユースタス少佐。
『謎の盗難事件』
エルキュール・ポアロ・シリーズ
兵器省長官メイフィールド卿の屋敷で行われたパーティ。新型の爆撃機の設計図についての相談をしていたメイフィールド卿とキャリントン卿。部屋の中から盗まれた設計図。ドイツのスパイとの噂のあるヴァンダリン夫人の存在。かつてドイツとの関係を指摘されスキャンダルとなったメイフィールド卿の過去。
『死人の鏡』
エルキュール・ポアロ・シリーズ
突然シヴァニックス・ゴアと名乗る人物から呼び出されるポアロ。ポアロの到着前に殺害されたシヴァニックス。食事の前に銅鑼を鳴らすしきたりのあるゴアの一家。ポアロが見つけた銃弾。自伝を書く為に雇った秘書ミス・リンガード。シヴァニックの養女リースの結婚と遺言状。娘の結婚を支配しようとするシヴァニック。
『砂に書かれた三角形』
エルキュール・ポアロ・シリーズ
ロードス島に休暇でやってきたポアロ。チャリントン夫妻、ゴールド夫妻の関係。奔放なチャリントン夫人と浮気をしていると疑われているゴールド。殺害されたチャリントン夫人。
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【厩舎街の殺人】【謎の盗難事件】【死人の鏡】【砂にかかれた三角形】の4編を収録。全てエルキュール・ポアロが活躍します。
格別優れている作品はありませんが、適度に凝った謎解きが楽しめます。
お気に入りは【厩舎街の殺人】。密室が無効になってしまう真相はやや残念ですが、珍しいパターンの反転で裏をかかれてしまいました。数々の不可解な点がキッチリと説明された佳作だと思います。
【死人の鏡】も密室トリックはお粗末ですが、人間関係が面白くなかなか読み応えのある作品だと思います。
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やや長めの短編3作と短めの短編1作から成る短編集。
「死人の鏡」が、物語としては一番よくできていると思うが、真相に疑問箇所がある。個人的に一番面白いと感じたのは、最も短いが、見事なミスディレクションの「砂にかかれた三角形」。
「厩舎街の殺人」
プレンダーリース嬢が田舎から戻ってくると、同居人のアレン夫人が死んでおり、当初は自殺と思われたが、他殺を裏付けるような事実が次々と見つかる事件。ポアロが現場を見て気づいたことが真相に活かされている点は見事で、動機にも捻りがあり、アタッシュケースの謎も面白いが、真相はイマイチ切れ味に欠ける。
「謎の盗難事件」
機密事項である爆撃機設計図が盗まれ、ポアロが調査を依頼される話。ポアロは、犯行可能性と必然性から、犯人を推理する。女中の悲鳴、メイフィールド卿の目撃証言など、色々と話を膨らませているが、やや肩透かし気味の真相。
「砂にかかれた三角形」
周囲の男性を虜にする魔性の女を巡る三角関係。それが原因と見られる毒殺事件。そう思って読んでいると、最後に見事にうっちゃられる。
最後まで読むと、「手遅れにならないうちに島を離れろ」というゴールド夫人へのアドバイスや、「犯罪者には、自惚れという共通の悪い癖がある」というポアロの言葉には、深い意味が隠されていることがわかる。
「死人の鏡」
ゴア夫妻のエキセントリックな性格設定をはじめとする絶妙な人間関係の構築や、関係者の聞き込み調査を通じて次々と意外な事実が明らかになっていく過程、最後に明らかとなる意外な犯行動機など、クリスティーらしい技巧を感じさせる作品ではある。しかし、真相を複雑にしすぎたために、ややわかりにくく、また、犯人が仕掛けたトリックが手が込み過ぎていて、そんなにうまくいくのかなと逆に思ってしまった。
(ネタバレ)
銃声の偽装の方を多くの人間が聴いているのに、実際の銃声を誰も聴いていないというのは、不自然ではないだろうか。
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著者:アガサ・クリスティ(Christie, Agatha, 1890-1976、イングランド、小説家)
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ポアロ、縦横無尽の活躍。
「死人の鏡」「謎の盗難事件」「厩舎街の殺人」の中編が3つ、4つめの「砂にかかれた三角形」はやや短い。
「死人の鏡」依頼人から呼び出されて屋敷に向かったポアロ。時間に厳しい依頼人が夕食に姿を見せない。依頼人は部屋で死んでいた。夫人、養女、甥、弁護士や自伝の手伝いをしていた秘書的存在など、様々な登場人物の話を聞きながら、ポアロが暴いた真相。そんなにうまくいくのかな、と思いつつ、密室よりも重要な真実は隠された人間関係。
「砂にかかれた三角形」リゾート地でポアロが出会った人々。夫婦、有名な美女とその新しい夫、若い女性。トリックはあっさりしていて、それだけか、とも思う。しかし、ポアロの警告の真の意味など、すっきりまとまって面白い作品。
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収録作品は、「厩舎街の殺人」「謎の盗難事件」「死人の鏡」「砂にかかれた三角形」の四篇。
この中で一番のお気に入りは、やはりアガサ・クリスティーらしさの表れた三角形だろうか。
「なにごとも見た目通りではない」アガサの真骨頂である。
購入したポアロものの短編(8本入り!)オーディオブックにも収録されているので、海外でも人気なのだろう。
どのお話も、クリスティー「らしさ」が楽しめる秀作。
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「砂に書かれた三角形」(1936)がおもしろかった。ポアロの鋭い女性心理観察。 男にはもてるが女には鼻つまみ、という女性を登場させ、その描写がこれでもかというくらい手厳しい。さらにダメ押しがその女の行く末。よほどクリスティはそういうタイプの女性がきらいだったのか。それとも離婚した最初の夫の再婚相手はそういうタイプだったのか。二組の夫婦のからみあう三角関係。
「厩舎街の殺人」1936 「マーケット・ベイジングの怪事件 」1923(教会で死んだ男に所収)と少し似ている。
「謎の盗難事件」1927 「潜水艦の設計図」1923(教会で死んだ男に所収)と設定が似ている。
「死人の鏡」1931 「二度目のゴング」1932(黄色いアイリスに所収)とトリック、犯人と被害者の関係は同じだが、「二度目のゴング」には無い人物を登場させさらにその人物にもう一つの関係を持たせている。「二度目のゴング」の方がすっきりしている感じ。
厩舎街の殺人1936
謎の盗難事件1927
死人の鏡1931
砂に書かれた三角形1936
1937発表
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ポアロ
短篇集
読み始めたところでオリンピックが始まったのでほっぽらかしになり、また読み直してと時間がかかってしまった。長篇と違って登場人物の一覧がないことも時間がかかってしまった理由。
「厩舎街の殺人」事件の構造の意外性と女性の友情に強い印象を受けた。
「砂にかかれた三角形」さらさらと気楽に読めたが
あーあのパターンかあ、という感じであった。