暗いところで待ち合わせ
著者 乙一
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ...
暗いところで待ち合わせ
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商品説明
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。書き下ろし小説。
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面白い
2024/01/20 18:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
分量と内容のバランスがちょうどよい感じだと思いました.2時間ドラマくらいに上手くハマりそう.
盲目の女性宅に忍び込んで,気づかれないように生活するって,一歩間違えるとエロい展開を想像してしまうのですが,その期待(?)は見事に裏切られ,二人の関係はほのぼのとしていて,読後も何となく暖かい余韻が残ります.
ミステリーとしての部分も,伏線もしっかり張られており楽しめるのですが,この作品ではどちらかというと,重心は二人の関係性にあって,読み終わってみるとそれで良かったという印象を持ちました.
最初にも書きましたが,さらっと読めてちょっと暖かい気持ちになれる,コストパフォーマンスのよい作品ではないでしょうか.
こんな話は絶対にありえないと思うけれど…
2002/05/30 15:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藍桐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
いくら盲目だからといって、ある日突然他人が入り込んできて一緒に生活していて気づかないなどということは、現実には絶対にありえない。そう思いながら、先へと読み進めていけばこの物語の面白さはそんなこととは関係ないところにあると気づきました。つまり、状況はともかく、描かれているその登場人物達の心の交流がなんとも言えず読者の心をうつわけです。ミステリー好きの人がそのつもりで読むと全く面白くないかもしれませんが、そうではなく、寂しい人々の心の交流を読み込めば自然と涙を流さずにはいられない物語でした。
日常生活からなんとなくはみ出しているような気がする人、何故かはわからないけれど寂しいような気がする人は是非。
静かで優しい時間。生きにくさを感じる人におすすめ。
2003/06/06 12:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察に追われる身のアキヒロは、目の見えぬ女性・ミチルの家に逃げ込んだ。気配を隠すアキヒロと、何かがおかしいと気付きながらも普通に生活するミチル。全く会話の無い二人の奇妙な同居生活は、いったいどうなってしまうのか!?
口をきけば壊れてしまいそうな、静謐な時間。優しすぎることで、不器用すぎることで社会に馴染むことが出来ぬ二人の男女が、一種異常な状況の中でこころ通わせあう。殺人事件を出会いの契機としながらも、しみじみとのどかな物語。好意がすぐに肉欲に結びつく脂ぎった話が多い中で、この小説のプラトニックな男女関係は儚く美しく、貴重だ。
アキヒロの真実はある程度予想圏内であるし、無粋なことを承知で言えばトイレは?とかオナラはどーするの、とか男ってオトコ臭いから女性が気付かぬはずはない、とかリアリティについて考えてしまう。けれど、この世慣れていない二人の一種オママゴトのような無垢で優しい関係が、読者をして魅了させずにはおかないのである。傷付け合う攻撃的な現実に疲れたとき、このような言葉を必要とせぬコミュニケーション、胎内回帰的な静かな空間というものに惹かれるのだった。だから、この愛らしい二人をいつまでも見守っていたくなる、そんな本。
男目線ではいい話だが・・・
2017/12/21 20:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:papanpa - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひとり暮らしの盲目の女性の家に隠れ住む殺人手配犯
二人はお互いを恐れながらも、少しずつ距離を縮めていきます
男目線から見ると心温まるストーリーだが、女性や障害者の目線で見ると
「なにこれ、気持ち悪い、こんなの男の妄想ラブストーリーじゃん、全然違うよ」って言われるんじゃないかな?たぶん・・・
自分は男だから面白かったですが。
孤独な人たち
2002/07/02 16:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TAIRA - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の目の前で起きた殺人事件の犯人にされ、警察に追われるアキヒロが逃げ込んだ場所は、一人暮らしをしている盲目のミチルの家だった。誰かがいる気配を感じるミチルだが、自分の身を守るため気づいていない振りをする。こうしてアキヒロとミチルの奇妙な同居が始まった。
他の人間と上手くいかないという、どこか淋しい心を持つ人間が、見えない誰かと同居して救われていくという設定は、『失踪HOLIDAY』に収録されている「しあわせは子猫のかたち」を思い出させる。しかし、「しあわせ〜」より人物の心理描写がしっかり描かれており、長編なだけに読みごたえがある。けれど、登場人物が、どこかしら心に闇を持っているものばかりなので「しあわせ〜」より、ちょっと暗い感じ。個人的には、「しあわせ〜」の方が好きかも…。最後はちゃんと事件も解決するので悲しくはならないものの、ちょっと切ない感じにはなってしまう。
心がじんわりと温まります。
2011/04/24 11:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かず吉。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「乙一さんの書く文章は怖い」といつの間にか、思い込んでいました。
初めて乙一さんの文章を読んだのは「ザ・スニーカー」という雑誌でした。
僕と乙一さんは1歳しか年齢が違わないのに(しかも彼が年下)
あんな文章を書いていたのか!と驚愕の事実を知ったのはつい
最近の事です。
さて、この「暗いところで待ち合わせ」。
印象的なタイトルで某書評のサイトにコメントが載っていたのを
読んで読む決意をしました。「乙一さんの書く文章は怖いという
友人に この本は絶対大丈夫! っておすすめしました」という
内容だったと思います。
確かに。表紙もタイトルもちょっと怖いけど、読後感のいい1冊
でした。
人の怖さも書かれているけれど、人と繋がって行こうと思わせる
そんな文章。人の優しさが、互いを思いやる気持ちが「暗がり」に
溢れていました。なんだか心がじんわりと温まったような。
途中まで思い込んでいた事がひっくり返されたりして、
その文章テクニックはさすが。秀逸です。
この本で乙一さんの文章の良さに改めて触れたので、
怖いもの苦手な僕ですが、他の著書も読んでみようと思っています。
昔読んだ本も再読したいなぁ。でもやっぱりちょっと怖い。
共感できるのが辛かったけど
2022/03/25 21:16
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
失うと怖いから、
手に入れないでおこうと思う気持ち、
それ以上を望めないと知っているから、
それ以下の楽しみも封印してしまう気持ち、
共感できるのが辛かった。
それだけに、
一人でいることを自分に強いてきた二人が、
お互いに希望を与え合う展開に救われた。
ミステリーだけどあたたかい
2022/03/24 22:21
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある殺人事件で追われた男が盲目の女性が住む一軒家に忍び込み、二人の奇妙な共同生活が始まるが・・緊迫感のある展開ながらも著者らしい優しい雰囲気に包まれた素晴らしいストーリー。さすがです。
心に沁みる温かいストーリー
2020/12/12 19:35
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
目の見えない中、一人で住むミチル。そんな中、殺人容疑で追われるカズヒロが家の中に侵入。ミチルはなんとなく存在に気づきながらも怖くて言い出せず、お互いに息を潜めて数日過ごすというストーリー。両方の立場から交互に語られるところが、それぞれの相手に対する気持ちがよく分かり、面白かったです。ミチルは自分のことを『世界という名前のシチューの中で溶けずに残った固形スープ』と表現する程孤独な人間。目が見えないって想像以上に孤独なんだと思いました。ストーリーは予想外の展開。温かく心に沁みる話でした。
お互いを徐々に認識してゆく
2020/09/04 10:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
盲目の女性と逃走中の男というストーリー設定がこの作品の価値を最も高めている点である。特に二人が閉ざされた部屋の中でお互いの存在を徐々に認識し始める場面や、ヒロインが二人分の食事を作る場面は、非常にいいと思った。
逆に結末の謎解きの部分は少々書きすぎだと感じた。伏線をすべて回収する必要はなくいくらかは謎 または偶然で置いておいた方が情感が残るように感じた。暗くて冷たい情景ばかりの作品だが、最後にほんのり「明かり」の気配がするのが救いである。
静かで優しく温かい話
2017/07/30 11:32
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投稿者:ケイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人との関わりに傷つき、社会に心を閉ざして生きてきた2人の不思議なコミュニケーションの話。
内気な人なら思春期に生きにくさを感じたことがあるはず。
若い日に集団の中で息苦しさを感じ、自分を落伍者だと思い、「普通」に生きられないと思い悩んだとしても、社会はそこそこ広い懐を持っていると気付かされ、いつしか思い悩んだことさえも忘れてしまうものだが、この2人はまだその渦中にいた。
奇妙な設定だけに、互いのアプローチは極めて繊細で臆病であるが、ここぞという時には大胆にもなる。深く傷ついた者だからこその優しさがにじみ出ているように思う。
静かで優しく温かい話。
いいですね、乙一氏
2002/12/24 11:42
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すみれ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても読みやすく一気に読めた。
言い切り形の文体は、やや鼻につくというか、
少し、力が入りすぎな気もしたが、
「目の見えない人」や、
「まわりの輪の中に入れない人」という、
一見、隔たった主人公たちの心情描写を、
見事に書ききっていたと思う。
どう考えても、この主人公たちに共感を覚える人は
少ないだろうというくらい、
隔たったふたりを書いているというのに、
なぜか、そんなふたりに感情移入できるというのは、
間違いなく作者の力であろう。
他の作品も是非読んでみたい。
気配を書ける作家
2002/12/18 00:13
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yaeba - この投稿者のレビュー一覧を見る
先月はじめて乙一氏の本(『失踪HOLIDAY』を読んだ。あまりに面白かったので、その他の作品も一気に読んでしまった。乙一作品にはいくつか共通している点がある。以下は私が感じる共通点であり、乙一作品を面白くしている要素でもある。
1 主人公が内気で社会とうまく馴染めない
2 動きがほとんどないのに(大した事件はおこらないのに)、展開がおもしろい
3 面白い比喩をつかう
4 微妙な感情の表現がうまい
5 ラストで謎が一気に明らかになる
6 意外な人がキーパーソン
7 読み始めたら止まらない。通勤電車で読んでいても眠くならない。
『暗いところで待ち合わせ』は以上の要素をどれも備えている。
内気な青年と盲目の女性のコミュニケーションを中心に話はすすんでいく。すぐに切れてしまいそうな細い細い糸を互いに手繰り寄せているような、繊細なコミュニケーション。その細い糸が、心の弱っている二人をたがいに励まし、勇気付ける。二人は会話せずとも互いを感じ取る。
気配−−。そう、乙一氏は「気配」を書ける作家なのだ。
まだ乙一氏の作品を読んだことがなく、しかし気になっているという人は、ぜひぜひこの作品から読んでみてください。
乙一作品の中で、私はこの作品が一番好きです。
悪趣味と背中合わせだ。
2005/09/24 05:14
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:豆丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はっきり行って乙一は文章を読ませるのがとてもうまいと思っていた。
だからウッカリ一気読みして、ウッカリとても楽しい時間をすごしつつ、ウッカリ切ない気持ちでしんみりしてしまった。
・・・が、冷静に考えたら、盲目の女性の家に忍び込むって、とっても悪趣味だよ・・・。
私は眼も見えるし、同居人もいるが・・・想像したらカナリ気持ち悪い。
そんな設定なのに爽やかに読ませる乙一・・・恐るべし!
設定の面白さ
2005/05/05 10:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
目の見えない一人住まいの女性宅に、殺人事件の容疑者として追われる男が住み着く。目の見えない女性は、男が自宅に入り込んだ事に気が付かないのだ。触れそうで触れない、両者。この危うい設定にハラハラさせられる。
そのハラハラ感に気を逸らしていると、思わぬ結末に圧倒される。見えないパンチで殴られたような衝撃。そう来たか、と。
でもこの作品はやはり、サスペンスでもホラーでも無く、純愛小説に分類したくなるような物語だと思う。