- 販売開始日: 2013/11/01
- 出版社: KADOKAWA
- レーベル: メディアファクトリー新書
- ISBN:978-4-8401-3958-8
なぜ人妻はそそるのか?
著者 本橋信宏(作家)
夫人、奥さん、主婦、女房――かつてそう呼ばれた女性たちは戦後、いかにして男性を惹きつけ、「オンナ」を獲得してきたのか。団地妻、ビニ本、AV、出会い系……メディアと現実の相...
なぜ人妻はそそるのか?
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商品説明
夫人、奥さん、主婦、女房――かつてそう呼ばれた女性たちは戦後、いかにして男性を惹きつけ、「オンナ」を獲得してきたのか。団地妻、ビニ本、AV、出会い系……メディアと現実の相互影響が育んだ「性的幻想」の究極を、アンダーグラウンド文化を追い続けてきた作家が綴る、知的でココロ高鳴る文化史。
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辞書と人妻
2012/02/21 08:08
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近はインターネットや電子辞書の普及で辞書をひくということをあまりしなくなりました。言葉をたずねるということが容易になったことはうれしいですが、もう少し言葉を楽しむことがあってもいいのではないかと思います。
今回「よろめき」を調べるにあたっては本箱の中から分厚く重い広辞苑を取り出して、ちゃんと正統的に言葉をたずねました。
広辞苑には「よろめき」という名詞は出ていません。動詞の「よろめく」だけ。一つめの意味として、「足どりが確かでなく、よろよろする」とあります。
もちろん、本書でいう「よろめき」はこの意味ではありません。もっとも性的に爆発させてよろよろすることはあるでしょうが、私は経験ありません。
二つめの意味、「俗に、誘惑にのる。うわきする」とあります。本書はこのことを指しています。
だったら、「人妻」でなくても「よろめく」ことはあるのでしょうが、「よろめき」は「人妻」でないといけない。というのも、どうも「よろめき」というのは昭和32年に発表された三島由紀夫の、純朴な人妻の姦通物語である『美徳のよろめき』からきているようなのです。
著者はここから「人妻が夫以外の男に強い関心を示す」ことを「よろめき」と表現するようになったと推測しています。
本書はアダルトな世界で今や大人気となっている「人妻」を、先ほどの三島由紀夫のような小説や映画、それにテレビドラマといった媒体からその変遷を解き明かそうとする、まじめな本ですが、それでも大学の先生が書いた社会論でも風俗論でもないのでそこは適当に柔らかい、面白い一冊です。
ついでに「人妻」という言葉を広辞苑でひくと、「他人の妻、または夫」と「結婚して妻となった女」とありますが、どうもあまりおもしろくありません。
もう少し、よろめく感じを漂わせるのがいいような気がします。例えば、「結婚して妻となったが、女の色気がぷんぷん香りたつような女」とか。
あんまりうまくない、か。
言葉がもつ雰囲気はいろんな文脈で使われてこそ生きるもの。
「人妻」にしろ「よろめく」にしろ、辞書だけでは伝わらないものは、この本を読めば実感できます。