人の心は傷つきやすく癒えにくい
2017/08/02 22:37
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投稿者:ケイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
重いものを背負っていながら、犯罪に(犯罪を取り巻く人々に)真摯に向き合い、厳しくも温かい目を向け、繊細な心遣いをする夏目刑事の大きさにこれまで唸らせられてきた。
だが、やはり夏目刑事も人間だった。大きな悔いを残したことだろう。
人の心の複雑さを改めて考えさせられた一冊。
傷ついた心に救いはあるのか。
いろんな意味で衝撃的
2017/05/22 21:47
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投稿者:maki - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏目刑事第3弾。
洞察力の彼が、まさか責められる日がこようとは・・・
オムライスから続く最終話、いろんな意味で衝撃すぎた。
次回作、あるの?あるなら、どう書くの?
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刑事・夏目の祈りは届くのか万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。
刑事・夏目の捜査で、その後少年は意外な相貌を見せる。絶望がしのび寄る世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。
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201607/薬丸岳はほんといい。そして今回の夏目シリーズ、短編なのにどれも濃厚で、また他者から見た夏目が書かれることで、より人物像が多面的に捉えやすく、初見でも楽しめると思う。さらっと書かれてるけど、境遇や闇さが半端なくて胸がつまるんだけど、かすかな光明と人の優しさという希望が救い。
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夏目刑事、活躍するのだけど元気がなさげ。
前作で、娘を植物人間に追いやった犯人を逮捕したのだけど、燃え尽き感が出まくり。
過去に関わった人物も色々登場し、夏目の鋭い洞察力が事件解決や未然に防ぐ力にらなるのだけど、結末はどれも物悲しい。
元気な夏目さんも次は見てみたい。娘さんも気になる。
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『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』に続く夏目信人の活躍を描く連作短編集。
収録短編は5編。いずれもミステリとしての完成度だけでなく、それぞれの謎をめぐるドラマが切なく、そして哀しく人情ものとしても傑作ぞろいです!
「不惑」はかつて強盗事件の被害を受けその後、交際相手が自殺したビデオディレクターの謎をめぐる短編。自分が担当するカップルの新郎が事件の犯人だと知ったディレクターは、ナイフを式場に仕込み……
少年犯罪と贖罪という薬丸さんお得意のテーマに加えて、夏目が解き明かすディレクターの真意。人の善意だけでなく、ずるい面、自分につく嘘、そうしたものも夏目は解き明かしますが、その真骨頂ともいえる作品だと思います。その上でどこか優しさと希望の光も残してくれます。
「終の住処」はホームヘルパーを突き飛ばした認知症気味の老女をめぐる短編。
老女のため、老人ホームへの入居を進めていたホームヘルパー。そして質素な部屋に置かれた不釣り合いな桐ダンスの謎。この謎が解き明かされた時の、老女の思いと切ない感情は、犯罪と贖罪というテーマに真摯に取り組み続ける薬丸さんだからこそ書けるものだと思います。
そして表題作の「刑事の約束」はシリーズの大きな転換点となりそうな作品。
『刑事のまなざし』の「オムライス」で実の母親から殺されそうになった前田裕馬が再登場。何らかの形で殺人事件とかかわっている様子で…
さらに、かつて通り魔に襲われ植物状態になってしまった夏目の娘が、夏目たちの声にかすかに反応し…
人間の悪感情は連鎖する部分もある気がします。叱られて落ち込む、悲しむ、反発する。それがいい感情に向かえばいいですが、そうならなければ、負のスパイラルに陥ってしまう気がします。
理不尽な犯罪に巻き込まれた場合の負の感情は、きっとそうしたものとは比べようにならないほどの感情が、噴き出してくるように思います。
人間に対する不信、世界に対する怒り、そして失われてしまった心はどう救われるのか。裕馬が抱える絶望と虚無は、きっと夏目も抱え、そして今も戦い続けているものだと思います。だからこそ夏目が裕馬の真意を聞き、決意した感情は重く心に響きます。
そして、裕馬や夏目が抱えた感情は、夏目の娘である絵美も抱き得るものだと思います。こうした感情に対し、夏目は今後、どう向かい合っていくのか。シリーズを通してのテーマの一つがよりはっきりした作品だったと思います。
今後シリーズが続いていく中で、夏目や裕馬は何を思いどう生きていくのか。ミステリとしても楽しみですが、そうした重く深いテーマを薬丸さんがどう描くか、それもまた気になります。
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夏目シリーズ第三弾。やはりこのシリーズは深い。人生は単純ではないのだと語りかけてくる。何とも言えない灰色の結末、普通ならモヤモヤ感が残りそうなものなのだが、なぜかそうはならないのが不思議。物語の奥底に光が垣間見えるからだろうか。とても興味深い作品なのは間違いない。
あらすじ(背表紙より)
万引き事件を起こした少年は、得体の知れない女とひっそり暮らす無戸籍児童だった。憐れむべき存在かと思えた少年はしかし、刑事・夏目の捜査で予想外の相貌をみせる(「無縁」)。割り切れない事情が、時にやりきれない犯罪を生む現代。絶望がしのび寄る乾いた世の中に、わずかな希望のありかを探る傑作短編集。
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人間の心奥を鮮やかに描き出す、夏目刑事シリーズ第3弾、短編の5編それぞれに重いテーマが。
結果は同じでも、「ミルフィーユ」のような重なりがある加
害者の心理を、丁寧に解きほぐす夏目刑事の捜査手法は、本作でもいかんなく発揮されている。
夏目の同類とも目される志藤検事がまた登場するが、彼の背景はいろいろありそう。次回作あたりに、期待したい。
表題作では、夏目一家に大転機が訪れ、こちらの行方も注目される。
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夏目刑事シリーズは初読。出世コースからは外れているが、鋭い洞察で警視庁の刑事たちに一目置かれている所轄刑事という設定。
物語の語り部がほとんど夏目でないのがいい。実際の言動から夏目の鋭さや人としての温かみが表現されている。奥行きのある終わり方も気に入った。
前2作も読みたくなる。
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夏目シリーズ第3弾。人情味溢れる心を震わす短編集。無縁は万引きで掴まった少年の孤独の秘密に親子の繋がりと幸せの意味を考えさせられる。不惑は寝たきりになった婚約者の復讐に燃える男の複雑な本当の思いに驚かされる。被疑者死亡は殺人を犯して死亡した元夫の秘められた思いに感動させられる。最後に表題となっている刑事の約束は母親に殺されそうになった少年の深い傷をもった思いに犯罪被害者の深い苦悩を感じさせる。
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事件が色々起こっていく中で、動機がそれぞれに悲しい。
外で読んでても涙がでてきた。
友罪も図書館から借りてきてたけど、もういいかなと思ってしまった。
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刑事のまなざしと同じ主人公のシリーズもの。
数々の事件をトリックというより、犯人の心理を深く洞察することで自供をさせる。
刑事のまなざしと同様に悲しい感じの事件ばかりでどの話の犯人も根からの悪者ではない。
だからやり切れなさが読後にのこるのかも。
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夏目シリーズ第三弾。5つの短編から成っています。
いずれも、夏目刑事が事件を解いていくのですが、
夏目本人の目線でなく、同行した刑事や友人の視点から夏目刑事と事件が語られます。
5つの作品の中では最初の「無縁」がミステリっぽくて一番楽しめました。
シリーズ物らしく前作の登場人物が出てくるのも面白かったです。
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シリーズ3作目。
表題作がやはり印象的。ついに、といった感じ。ということはシリーズ終わりなのかな。夏目は今後どうするのだろう。
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夏目刑事シリーズ(?)第3弾。過去作に登場した何人かが再登場していますが、検事の志藤と「オムライス」に登場した裕馬以外はパッと思い出せず…… 良くも悪くも現実的な設定・言動のキャラクターが多く、強烈な個性を持った人物が少ないから?(実際は、単に私の記憶力の問題なのでしょうけど……)
連作短編で各話興味深いものではあるのですが、最終話「刑事の約束」のインパクト(昏睡状態にあった絵美の目覚めと「オムライス」での被害者・裕馬がとってしまった行動の2点)が強すぎて、それ以外の作品の印象が霞んでしまいました。
最終話は拡充して別冊にしてくれた方が、他作品の良さが薄まることなく、また「刑事のまなざし」を読んでいない人にもわかりやすいものになったんじゃないかと思ってしまいました(余計なお世話かと思いますが……)。