話の内容より、維新がこの本で披露する歴史観、それがいい。それだけで★五つは甘いか、でも予想外です、いいこと話してます、見直しちゃった・・・
2008/04/08 21:23
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いよいよ最終巻になりました。前巻のラストで意外な展開を見せたお話は、結局そのまま走ることになり、全体としての軽いという印象は決して変わることはありません。特に、第四章の家鳴将軍家御側人十一人衆との戦いは、いくらなんでも、これはないだろうという頁稼ぎ的なものではあります。
だって、その手の戦いは一人一巻ということで書かれちゃっているわけだし。ま、山田風太郎先生だったらもっと面白おかしい戦闘風景を描いただろうな、とはあらためて思います。ただし、全部が全部同じようなあっけなさで敗れ去っていく十一人を見れば、これも維新の予定通りの行動なのでしょう。
この巻で特に書いておきたいことは、家鳴匡綱の存在感の薄さです。総じてこの物語、登場人物に魅力がないのが特徴ですが、やはり重要な地位に居る人間はそれなりのものであるべきか、とは思います。結局、誰が一番得をしたかといえば、途中登場の否定姫と左右田右衛門左衛門、それと話半ばで姿を消してしまった七実ではないでしょうか。
逆に、この最終巻で最も意外なのは、我が家の高二次女も言っていたのですが、維新が述べる歴史認識です。歴史というのは、学問的には文字で記されたものだけが真実とされるのですが、ではそれが全て事実かといえばそうではありません。勝者に都合のいいものだけが残される、とは昔から言われ続けられ、だから史料批判が必要になるわけです。
しかし、さらに進んで維新は、創り上げられ捏造されたものもじつは歴史であり、それが混在しているのが現実であるといいます。さらに、それは最近よく言われる「作られた記憶」のように、私たち一人一人の中で歪められ或は増幅され、殆ど人類の数だけの歴史があるとも(ま、維新はここまで極論は言っていませんが)。
諸外国と日本の歴史認識の違いはよく言われますが、それは拉致問題、領土問題、国境問題においても見られ、世界に緊張をもたらしています。維新が描くこのお話も、荒唐無稽ではありながらも、決して絵空事と片付けられないものである、と言えないこともない、そう読むことも可能です。いずれにしても、私はこのラスト(イラストもですが)、納得して読みました。これで『刀語』との一年が終った・・・
蛇足ですが、私は全12巻揃ったものの懸賞には応募しませんでした。だって、巻末とはいえ本の頁の一部を切って送れ!とはないでしょ。それって12冊全部を傷物にしろってことなんですよ。本は読むものではありますけど、愛でて楽しむものでもある。いくら応募者全員にくれるものがあるとはいえ、まちっと上手いシステムを考えてくださいよ、講談社さん!
最後にデータ篇
目次ですが
序章
一章 別離
二章 家鳴匡綱
三章 城攻
四章 家鳴将軍家御側人十一人衆
五章 鑢七花
終章
アトガタリ
となっています。基本の五章構成。そしてデザイン関係は
画:竹
筆:平田弘史
本及ビ箱装幀:ヴェイア
版面構成:紺野慎一(凸版印刷)
本文使用書体:FOT-筑紫明朝 Pro L
竹さん、ご苦労様でした。貴方なくして『刀語』十二巻は語れません。むしろ竹さんの絵で救われたところも多かったと思います。栞、大切にします。
とがめ、そして七花
2017/06/03 21:05
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
とがめにはこの道しかなかったのかと思うと悲しい。でも七花が最後にああいう道を進んでくた事は嬉しく思った。
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投稿者:september - この投稿者のレビュー一覧を見る
慮ることができる刀、つまり心ある刀が最強の刀である。とおっしゃていた方がいらっしゃいましたが、まさに我が意を得たり。無双化 した七花を描いた竹さんのイラストにうち震えました、かっこよすぎる... 西尾先生の中ではきれいに完結したこのシリーズ。じゃあ最後にアレいっときますか。せーの『ちぇりおーーーー!』
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「あんたがいなきゃ、おれなんて−−−すぐに死んでたよ。すぐに折れて曲がって−−−錆びて、終わってたよ」虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめによる伝説の完成形変体刀蒐集の旅は、否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の所有する最後の一本−−−炎刀『銃』を前に、最期にして最悪の試練を迎えていた−−−。容赦なく、迷いのない“弾丸”に貫かれたとがめを、七花は果たして救うことができるのか−−−!?西尾維新と竹が描く、時代活劇絵巻。とある歴史の物語−−−これにて終幕!刀語、第十二話の対戦相手は、否定姫腹心にして元忍者、左右田右衛門左衛門!
これも一つのハッピーエンドなのかな。
第0話虚刀・鑢とか出たらいいのに。
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西尾維新らしい破壊的な終わり方だったような気がする。でも意外な終わり方だったかな?1年間大変楽しませてもらいました。面白いので、読む価値はあったと思います。
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ここは『刀語 第十二話 炎刀・銃』のレビューを書く場所であって『刀語』シリーズ全体の感想を書く場所ではないことは百も承知ですが、それを知った上であえて絡めて書くことにします。 終わった、ついに終わってしまった刀語ですが、一ヶ月一作というリアルタイムで読んでいたこともあってか達成感が違います。 これは、一気に通して読む読み方では味わえないことだとも思います。 終わり方は西尾維新が得意とするところのハッピーとアンハッピーの混合。ハッピーの中のアンハッピーかそれともアンハッピーのハッピーか、どちらかのエンドなんでしょうけど、まさか序盤であのような展開になるとは思いもしませんでした。てっきり最後に○○○○○というオチを期待していたのですが・・・・・・。 結局この物語は三人の人間の解放の物語なんだと思います。 しかし、すべての刀を収集するまでにはたくさんの人が死んで、死んで、死んで、死にました。 その果てに七花たちが得たものとは釣り合わないと思いますが、彼も彼女も譲れないものがあってそのために生死をかけて戦って闘ったわけです。 この十二ヶ月およぶ物語の中で大勢の人が死んだわけです。 刀の所有者だった者、そうでなかった者、忍者、多くの者が死んだわけですが、彼は生きていました。死んでいないだけというわけではなく生きていました。 一生懸命頑張って。 最後に書いてあったように、いくら頑張ったって、いくら踏ん張ったって、それが結果につながらず、努力がまったく実を結ばないことなんて世の中には多々あります。 だから、それでも前を向いて一生懸命頑張れる人を、人は憧れるのだと思います。 ここからは、単体での感想。 否定姫ってツンデレだったのね。っていうか否定姫エンドかよ! 七花と否定姫の組み合わせも悪くないです。 それにしても、御側人十一人衆、さすがに途中で飽きる(笑) この時期に新キャラ十人、お疲れ様ですとしか言いようがありません。 否定姫って小っちゃ! 最初、とがめとの七花の娘かと思ったよ(笑) とがめはもっと小さいんだろうな・・・。 何にしてもこの十二ヶ月。長かったようで短かったようにも覚える。 これはちょっと・・・という巻も感もあったけど終わりよければすべてよし。 刀語の――――おしまい、おしまいです。
失敗を恐れずに前に進むことが勇気なんだなと思いました。
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第12話、炎刀・銃。舞台は尾張城。家鳴将軍家御側人十一人衆、右衛門左衛門を倒し、家鳴将軍の元へ。
遂に終幕。いろいろと「えー」って感じでした。七花が急に強くなった気がしたけど、「刀を傷つけてはならぬ」という縛りのせいだったんですね。この巻は否定姫が持ってちゃったねぇと思いました。
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なんかどうなのよ?って終わり方でした・・・。結局あとがきにもあったように必ずしも目的が達成されるわけではないってなことでしょうか?歴史の改竄ということ自体に意味があったのかどうかすら不明な感じで読後感は正直イマイチというか、12ヶ月なんだったの〜?的感覚はあります。
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虚刀流・鑢七花(やすりしちか)と奇策士・とがめによる伝説の完成形変体刀蒐集の旅は。否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の所有する最後の一本――炎刀『銃』を前に、最期にして最悪の試練を迎えていた――。
西尾維新と竹が描く、時代活劇絵巻――いよいよ最終回!
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西尾さんを読んで感動することがあるとはよもや思っても見ませんでした。
いやあ人って成長するんですね。ひとを好きになるって本当に字大事なんですね。。私自身は否定姫に似ていると思うので、左右田さんに依存している関係は大好きです。七花相手だと人間変わって楽になるだろうなとも思うけど、不忍のの縛りもほしいです。本当にお勧めですが、、第1巻から読まないと感動はしないよね。だからこの本を読んで感動できる人は幸せです。
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完結。
意外ともベタともいえるような最後でした。
なんだかんだで読んでて楽しかったです。
何だか――悲しいですけど。
08'7'1
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完結。結局ぐだぐだで終了感が否めない。途中の戦闘はそこそこ面白かったが、この程度の戦闘シーンでも盛り上がるほど今までの戦いがつまらなかったような気もする。全巻通じて無駄な会話やら展開やらが多すぎ。この辺の行数をもう少し何とかして欲しかった。すぐ読めるし戯言シリーズほど意味不明でないので、暇つぶしにはちょうど良いが…
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一気に5〜12巻読み終えました。
まず冒頭で、えー!? ってなって。
そうきましたか西尾さん、みたいな。
寂しかったです。悲しかったというより、寂しかった。
で、縛りがなくなった七花は強い、と。
ぱこぱこやっつけていきましたもんねぇ。
右衛門左衛門さんとの戦いは好きですよ。
最後がやっぱり寂しかったです。
七花の隣は、とがめ以外はいてほしくないなぁとも思いましたが。
でもね、否定姫も寂しいんですよね。
似たもの同士で。
ひっそりと、長生きしてくれただろうことを祈っています。
楽しかったです!
さくっとよめるシリーズでした。
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救われない。救われない。報われない。
終わるための最終巻。とがめの本名が明かされ、四季崎記紀の−一族の目的が明かされ、全てがつまびらかにされ幕を閉じるこの一冊。
とがめは死に、おのれのために、七花は尾張将軍の城へと単身乗り込む。全ての枷を外された七花は、完了形変体刀虚刀「鑢」はこんなにも強かった。
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○2009/05/10
これまではちゃめちゃだった割には、終わりは王道っつーか、来るべくしてって感じだったかと。
とにもかくにも、西尾さんお疲れ様でした。最後まで笑かしてくれるのはさすが。
とがめは、前巻から当然予想はついてたものの、ちょっと寂しいね……と、いう感慨に浸るはずだったのに!(笑)ちぇりおバンザイ。
最後の最後でメインが否定姫に持ってかれちゃった気もするけど、でも七花の成長っぷりがなぁ。いいなぁ。破壊的な強さとかそういうところじゃなく、1年でよくここまで変わったよお前…という。最後2巻なんて特に決めゼリフがばしっと決まってたし。かっこよかった。
登場人物紹介の否定姫必殺技一覧には笑った。通常否定、嘘。二十否定、否。三十否定、照(笑)いいよかわいいよ。
そして最後の最後のとがめと七花の後ろ姿のカット。さりげなく重ねた手が最高です。このなりきれなかったカップルとても良い。
まぁ個人的にはこの巻まるごと惰性だったんじゃね?という気がしなくもないけど。結局西尾さんらしい有耶無耶のまま押し切った部分もあるし。でも12巻やりきったのはすごいと思う。エンターテインメントをありがとうございました。