バカバカしいことを真剣に。
2018/05/03 22:40
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あきらめず、真剣にやり遂げる姿に心を打たれた。
いくらなんでも、草は食べない方がいいと思った。
イグノーベル賞侮れない!
2018/02/02 17:58
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投稿者:ふみしょう - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヤギになる命がけの実験!
多くの分野のプロを巻き込み(助けたくなる人柄も魅力だ)ヤギになる、なりたい!気持ちを追求し。
笑われる勇気に 笑いつつ感動。
翻訳も面白かった。
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自宅の裏庭で鉄鉱石から鉄を抽出し、ジャガイモの澱粉からプラス
チックが作れると知ればチャレンジし、某国の硬貨からニッケルを
入手する。考えられるあらゆる手段を駆使して原材料を揃えて、
自作のトースターを作り上げたイギリス人のトーマス。
大学院の卒業制作だったこのトースター・プロジェクトをまとめた
『ゼロからトースターを作ってみた結果』(新潮文庫)は世界中で
反響を呼び、作品はトーマスが暮らすイギリス以外の国の博物館で
も展示された。
無謀とも思えるチャレンジを繰り返すトーマスの姿に笑えた一方、
大量生産・大量消費を考えるきっかけも与えてくれた。そんな
トーマスが、またやってくれた。今度は自分が作品になってし
まっているのだ。それも、ヤギ。
めでたく大学院を卒業してフリーランスのデザイナーになったもの
の、暇である。仰せつかったのは姪っ子の愛犬の散歩。既に33歳に
なったトーマスは、将来に対するぼんやりとした不安を抱えていた。
その解決方法は…そうだ!しばらく動物になって人間としての悩みを
忘れちゃえばいいじゃんっ!
ど、どうしてそうなる?トーマス。フリーランスを辞めて就職する
とかって選択肢はないの?それか積極的にデザイナーとしての自分を
売り込むとかさ。
私の思考の斜め上を行っているのであろうトーマスには現実逃避が
一番の選択だったようで、思い立ったら行動は早い。早速、医学研究
などの支援をしている団体に「象になりたいプロジェクト」の申請
を出す。
そう、そもそもの始まりは象になることだった。でも、実際に象を
見る機会があってその大きさにあっさり断念。象になりたくなくなっ
ちゃった。さて、どうしたものか。
そこで相談したのがシャーマン。えっと…動物学者とかじゃなくて、
何故にシャーマン?ねぇ、トーマス。どうしてそうなっちゃうの。
そしてシャーマンの助言は「ヤギなんてどう?」だった。それ、
いただきっ!ヤギになって草原をギャロップしたいっ!
見事な方向転換だよ、トーマス。
イギリス国内のヤギの権威に「ヤギって悩むんですか?」などと話を
聞きに行き、言語神経の研究者に電気ショックで人間の言葉を失わせ
て下さいとお願いし、病気で死んだヤギの解剖に立ち会って体の構造
を調べ、義肢技術者に頼んで本来の仕事の合間にヤギのように動ける
補助具を作ってもらう。
完璧だよ、トーマス。ママに作ってもらったヤギ用防水スーツもある
し、これで一通りヤギになりきるツールは揃った。さぁ、ヤギの群れ
に同化する為、アルプスへ出発だ!
なんでわざわざアルプスなのか分からん。ヤギについてレクチャーして
もらった保護施設でもいいんじゃないか?でも、きっと雄大な自然の
なかで草をモグモグするヤギがトーマスの目標だったのだろうな。
アルプスでのトーマスはしっかりヤギになっていた。しかも、ヤギたち
から「仲間」と認められちゃってた。
こうと決めたら走り出す方向が人とは少々違っているけれど、トース
ターの時といい、今回のヤギになりきるプロジェクトといい、「やり遂
げる力」の発揮度合いは超人的だ。
トーマスがアルプスに行ってヤギになりるまでには哲学的考察があり、
人間と動物の進化についての言及があり、人間の言語を理解すると
言われる動物に対しての検証もありで、人間とその他の動物との
違いを考える上で非常に参考になる。
やっていることは破天荒かもしれないが、トーマスって実はとても
教養豊かで感受性の鋭い人なのではないかしら。
嫌な出来事が重なったりすると「あ~、鳥になって好きなところへ
飛んで行きたい」とか、「猫になって1日中ゴロゴロしていたい」と
思うことがある。だからって、トーマスのように本当に人間をお休み
してしまうことはないんだけどね。
だって、本書を読むと人間と動物の体の構造の違いが分かってしまう
から、人間は人間以外のものにはなれないんだと思っちゃう。
さて、念願の(?)にヤギになってアルプスを歩き回ったトーマス。
次は何をしてくれるのだろうか。期待しちゃうよ。
尚、ヤギになれたトーマスだがギャロップは人間の体の構造上無理
だった模様。ヤギのように前脚(人間なら両腕)から着地したら、
鎖骨が折れてしまうのだそうだ。
各章、カラーでの写真が豊富でヤギ・プロジェクトの様子がよく理解
出来る。だが、解剖時の写真もあるので苦手な人は要注意だ。
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<目次>
はじめに
第1章 魂
第2章 思考
第3章 体
第4章 内臓
第5章 ヤギの暮らし
<内容>
『ゼロからトースターを作ってみた結果』のトーマスが帰ってきました。この人の発想力、行動力、気にしない力に驚きます。特に、象になりたい→ヤギに変更はまだいいとして、四足歩行のために、義足のプロに頼むあたりや、ヤギになる以上、セルロースを消化しようとしたり、そのためにヤギの解剖をしたり…。そのためにどんどんプロの所に聞きに行く…。素晴らしい。イグ・ノーベル賞受賞おめでとう!
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トースターを鉄鉱石から自作するという、無茶苦茶な実験で鮮烈な世界デビューを果たしたトーマス・トウェイツ氏の第2弾、今回は「ヤギ男になる」がテーマらしい。表紙から想像するに、自作の着ぐるみを身に付けてヤギと寝食を共にする、そんな内容だと思っていた。
トウェイツ氏はある公益団体から、このプロジェクトの資金援助を受ける事になるのだが、その申請の際の記載内容が、人口の胃を開発して草を消化するとか、外骨格を装着してのアルプス越えなど、既に若干うさんくさいのである。しかも申請の時点ではゾウだったのだが、あとから無断でヤギに変えてしまったのだ。
しかしながら、人間とヤギの違いについて哲学的な考察から始まり、脳に磁気刺激を与えるTMSという装置を使用した実験を行い、また実際にヤギを解剖して骨格や筋肉そして消化器官を調べるなど、テーマはクレイジーだがアプローチの方法は意外なほど論理的であった。
様々な人々や団体を巻き込んだ、壮大な実験の結末はどうだったのでしょうか?ネタバレになるので結果は書かないが、今度はどんなくだらない事に挑戦するのか、少し気は早いが次回作も楽しみである。
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くくくくだらないことを永遠に考え過ぎてて、お腹痛い。悩みがあるだれか!あなたはまだまとも過ぎるのだ。
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悩み事を抱えたとき、多くの人はそれを解決するために、考えたり、行動したり、誰かに相談したり、する。近所の犬や猫を見て、いいなこいつら悩みなんてないだろうなとか、誰もが思ったことがあると思う。この作者のすごいところは、では動物になってしまおうと考え、行動したこと。そして選択したヤギになるために徹底的にヤギを分析。ヤギの時間のとらえ方なんか考えたことなかった。過去と未来が無いない=悩まない。胃袋まで作り上げて、スイスまで行き、アルプスのヤギの群れに入っていく作者の写真を見ると、この人のこと本当に好きだなという感情が湧いてくる。くだらない事に真剣な人は大好きだ。
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トースターの時みたいに、いきなり鉱山に行って鉄鉱石を取ってきたりはしないので、そういう行動に期待して読むと、はじめの2章は行動より思考が多く、なかなか始まらない感じがするかもしれないが、そういうのは3章以降にあり、充分笑えるので、安心して初めの2章をじっくり読んで欲しい。
人間と動物の違いはどこにあるのかということを脳や骨格といった生物学的なアプローチにとどまらず、精神、心理まで分析し、人と動物の歴史もあわせて紐解く、初めの2章もかなりおもしろいから。
もちろん、実際にアルプスに行ってヤギの群れに入り、ヤギと同化しょうと四苦八苦する5章は笑いが止まらない。いや、本人は本当に大変だっただろうとわかるだけに。
人間の悩みから解放されたいとヤギになる努力をしてきたが、そんな大変なことしなくても「ヤギ農家になればいい」と気づくところが最高に脱力できる。そうよね、別に無理しておいしくない草を食べてヤギにならなくても、俗世間から遠ざかって生きればいいんだものね。でも、トーマス君は俗世間にいながらにしてヤギのように悩まずにいたいのだろうね。そしてそれは、無理だ。
結論は分かっていても、ここまでできる人がそもそもいるということ、彼の発想を実現するために付き合ってくれる仲間がいることは、人間の素晴らしいところじゃないかなと、ポジティブな気持ちになれる本だった。人間もなかなかいいものだな、と。
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ニートのようなヒモのような,そんな生活をしている著者が,動物になりきることで人間特有の悩みから解放されるのでは,と思い立ち,実際に動物になろうと奔走する内容.一見ばかげたプロジェクトであるにも関わらず,大学教授や義足製作の技術者といったその道のプロたちが,動物になるとはどういうことか,動物はどのように形作られているかといった問いに真摯に答えているのがすごいと同時に面白かった.脳の特定の部位に磁場をかけて活動を阻害し,擬似的にその部位がない状態を作るという研究があることには驚いた.
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イギリスのグラフィック・アーティストである著者が、「悩む」という人の逃れられない宿命から逃れるため、身も心もヤギになることを目指す。タイトルが示す「ヤギになった結果」ではなくて、「ヤギになるための過程」が描かれています、これはちょっと注意。
「魂」「思考」といった内面から、「体」「内臓」といった具体的身体的構造を、それぞれのプロフェッショナル(シャーマンから行動学や身体構造・運動学の大学教授、義肢装具士などなど)にものおじすることなく接触し、ヤギになるために奮闘を重ねていく。
バカらしい、でも思わず読んじゃうんですよ。というかこのバカらしさがいいんでしょうね。無計画ながら一生懸命に物事に取り組む、何となく前向きになれるし、最後のヤギとともに過ごすくだりは、大きな感動とまではいかない、でも「ああ、良かったねぇ、ホント」というような、不思議な感慨が味わえますよ。
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人間的な悩みから解放されるために、現実的かつ科学的にヤギとしての生活を追求する著者。
研究や実験と言える活動ですが、もはや僅かな思考と強い意志という印象で、彼だからこそできる(彼以外は絶対にしようと思わない)偉業です。
多くの挫折に見舞われますが、出来得る限り最大限の努力をしてヤギを目指します。
意見を求めたシャーマンや学者などの専門家からは完全に異常者扱いを受けますが、その真剣さから援助をも受けることに成功。
最終的にその専門家や資金提供スポンサーからも「死なないこと」を条件に、スイスへ送り出されます。
読了後に「よかったな、トーマス」と、謎の感慨深さを覚える一冊。
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さいこうの自由研究。
無茶な目的に、全力でアプローチし、ユーモアと批判精神を共通言語に、専門家を巻き込んでいく。
壁にぶつかりながらも解決策を次々とひねり出していくクリエイティビティ。
お金や自意識といった「人間的な」(あるいは「非ヤギ的な」)悩みを軽々とギャロップするかのように飛び越えていく姿に胸がすく思い。
必ず2、3段落に一度オチをつけてくるサービス精神あふれる文体、真顔で冗談をかましてくるのでとても楽しく読める。
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おお!あのトースターの彼が帰って来た!
しかもかなり馬鹿馬鹿しい内容で!!
と思い、本書のトーマス・トウェイツ並みのハイテンションで手にして一気に読んでしまいました。
…うーん…他の方も書かれていらっしゃいますが、ヤギになる過程をリポートしていて、本来の目的である「人間をお休みして」現実逃避してみた結果について書かれては居ないですね…。まあ、結果こういうリポート書いてますって事なのかな?無職からの現実逃避を全力でした結果イグノーベル賞までたどり着いたよ、という事?(笑)
脳神経を刺激して言語機能を遮断してしまう発想とかもうSFだと思うのですが、スレスレな機能を肉体に施してヤギ化に邁進していくアッパー系行動力は脱帽ものです。
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単におちゃらけた本かと思ったら、結構マジメで興味深い本だった。人間めんどくせえ!とか、人間にはうんざりだ!という著者の気持ちはわかる。そこを出発点にして人間をやめてヤギになることを目指すんだけど、単に体の構造を真似るのではないところがおもしろい。心や記憶や考えといったところまでヤギになれるのか?ということを考え、その過程で人間とは何か?ということが浮き彫りになっている。
まずおもしろかったのはシャーマンの動物観。人間が狩猟生活をしていた頃は、食うだけでなく食われる立場でもあった訳で、人間と動物の境目が今よりずっとあいまいだったのは、そうかもしれない。動物を殺して食べるということが仲間を食べることと同義だったとすると、その罪悪感は今よりずっと大きかったのではなかろうか。そう考えると、シャーマンが動物の魂に祈りを捧げ、人間と動物の融合を図ろうとしたのもわかる気がする。今の殆どの人間は動物を自分で捕まえて屠る必要はないし、他の動物に襲われる心配もないから、自分が動物の仲間だとは意識しにくい。人間と動物の線引きがしやすくなっている。
次に興味深かったのは、動物だけでなく人間も家畜化していった点について書いた箇所。家畜化の過程で凶暴な個体は排除(死刑に)された結果、人間も動物も性格がおだやかになり脳が委縮したという。やっぱり狡猾で性格悪いほうが頭いいのだろうか。だとしたら残念な話。そして、この家畜化の過程について考えてしまうのだけど、病気や障害を持つ個体の排除はどうだったのだろう。やっぱりそういう個体も排除してきたんじゃないだろうか。南米の近代化されていないヤノマミ族には障害者がいないという話を思い出した。現代になって凶暴個体の排除(死刑)の廃止や障害者権利が叫ばれるようになった、つまり脱家畜化しているのは、社会に余裕ができたからなんだろうか。生物としての弱体化とか優生学とかモヤモヤ考えてしまう。ホントかどうか知らないが、現代人の精子はどんどん劣化しているとかいう記事を思い出した。
人間が体構造や食事の点でどうやったらヤギになれるか、というあたりの記述は、まあそうだろうなという感じ。とにかく思考(試行)錯誤がおもしろい一冊だった。あと訳がフランクな感じで良かった。
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ヤギになってみた結果が詳しく書かれていないのが残念だが、これは邦題の訳し方のせいなのか。ヤギ男実験のその後が知りたくて読んでいたので期待とは違ったが、第5章が面白すぎたので許す。