デジタル・ポピュリズム 操作される世論と民主主義
著者 福田直子
アメリカの大統領選挙やイギリスEU離脱の国民投票では、私たちが無意識のうちに提供している多くの個人情報が選挙キャンペーンや世論形成に利用された。嘘を混ぜたプロパガンダや個...
デジタル・ポピュリズム 操作される世論と民主主義
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商品説明
アメリカの大統領選挙やイギリスEU離脱の国民投票では、私たちが無意識のうちに提供している多くの個人情報が選挙キャンペーンや世論形成に利用された。嘘を混ぜたプロパガンダや個人の不安に直接訴える「マイクロ宣伝」といった、巧妙なサイバー戦略は、近い将来行われるであろう日本の国民投票でも使われるのは間違いない。これらによって醸成されたポピュリズムに私たちはどう抗うのか。欧米での徹底的な取材からデジタル時代の民主主義を考える。 【目次】まえがき/第一章 ビッグデータは監視し、予測し、差別する/第二章 「心理分析」データを使った選挙広告キャンペーン/第三章 ソーシャルメディアは敵か、味方か/第四章 ロシアのサイバー作戦が欧米のポピュリズムを扇動する――ロシアから「ボット」をこめて/第五章 デジタル時代の民主主義/あとがき/主要参考文献
目次
- まえがき/第一章 ビッグデータは監視し、予測し、差別する/第二章 「心理分析」データを使った選挙広告キャンペーン/第三章 ソーシャルメディアは敵か、味方か/第四章 ロシアのサイバー作戦が欧米のポピュリズムを扇動する――ロシアから「ボット」をこめて/第五章 デジタル時代の民主主義/あとがき/主要参考文献
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「いいね」をカンタンに信用してはならない
2018/06/11 08:49
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
「政治に関して理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、その支持を求める手法あるいはそうした大衆の基盤に立つ運動をポピュリズムと呼ぶ。ポピュリズムは諸刃の剣である。庶民の素朴な常識によってエリートの腐敗や特権を是正するという方向に向かうとき、ポピュリズムは改革のエネルギーとなることもある。しかし、大衆の欲求不満や不安をあおってリーダーへの支持の源泉とするという手法が乱用されれば、民主政治は衆愚政治に堕し、庶民のエネルギーは自由の破壊、集団的熱狂に向かいうる。(知恵蔵から抜粋)」
普通の暮らしをする多くの庶民大衆が政治に向き合うとき、その判断基準は何によるのか、かつては、新聞、テレビ報道などのマスメディアが主流であった。マスコミは「第4の権力」とも言われていた。しかし、今はその様相が大きく変化してきている。
本書は、最新のネット技術やネット情報の心理分析、世論操作を事業にする企業の実態などを紹介し、この間、世界情勢が大きく動いたアメリカ大統領選、イギリスのEU離脱国民投票はネットの世論操作が大きく関わったことを推測・分析している。
トランプ大統領の当選の陰には、デジタルテクノロジーが駆使された事実があったこと。有権者の個人データーが知らない間に利用される恐ろしさ・・・ネット利用者の個人データーのビックデーターの処理と活用で世論操作が行われたその手法。ネット上のフェイクニュースが大衆に与える影響などなどを明らかにして衝撃的だ。
ネットは世界の人々をつなげるものと、好意的に捉えるばかりではいけない。おそらく、決まった輪の中で、「フィルターバブル」の中に閉じこもる傾向が助長されやすい。そうした中で、テクノロジーによって「つぶやき」が広げられているのだ。ツイッターの書き込みの24%はボッットだという。ツイッターのアカウントのわずか5%が全体の75%の書き込みを行っているのだそうだ。「いいね」は信用できない。
アラブの春もSNS革命と言われているが、世論操作が行われている。イギリスの国民投票もしかり。スペインのカタルーニャの独立などはロシアの仕掛けが疑われるなどなど世論操作が、大国や大金持ちによって行われているというのだ。
そうした中での「国民投票」は真に、国民の意思が反映しうるのか、まさに「だまされない」本当の民主主義のためのリテラシーを確立しなければならない。
ちなみに、ドイツはナチスを台頭させた反省から、国民投票という制度はないそうだ。
国民投票という制度自体も再考する必要性が迫られているのかもしれない。