多崎礼氏の知の冒険へ読者を誘う長編傑作です!
2020/07/26 10:54
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『煌夜祭』、『神殺しの救世主』、『血と霧』をはじめ、「〈本の姫〉は謳う」シリーズ、「夢の上」シリーズ、「八百万の神に問う」シリーズなどの傑作で知られる多崎礼氏の作品です。同書は、どこまでも続く広大な砂漠の果て、そこには古今東西の知識のすべてが収められ、至りし者が神に等しい力を手にできる図書館があるという伝説があり、それを求めて長い旅路の末、ようやくたどり着いた一人の旅人が主人公の物語です。鎖に縛められたその扉を開こうとする彼に守人は謎をかけます。鎖は十本、謎も十問です。果たして、この旅人は万智の殿堂へたどり着けるのでしょうか?ぜひ、この続きは同書をお読みください。
10の短編がつながって一つの物語となるというが…
2024/06/15 21:47
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投稿者:りら - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編ごとのつながりがよくわからないが、一つずつの短編は世界観が凝縮されていてそれぞれ楽しめる。
ただし、明るい幸せな物語というよりは、どの世界でも現実の過酷さの中で、たくましく生きていく人を描くものが多かった。
で、それらの10の短編が全部繋がっていくのかというとそうでもなく、断片的に繋がっているところもあるかなという程度で、その意味ではモヤモヤ感が残る。
にしても、各短編35ページで、一つの世界を表現していく筆力は単純に凄いと思う。
全体では相当な分量だが、ぐいぐい読ませるところも、レーエンデ物語につながるものを感じさせる。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとなくわかっていても深くは考えない事柄について、
風景と言語を与えてくれる問答小説。
と、おもって読んでいたのだけれど、
終盤は捻った展開に。
こういうことが起こると思ってしまうのは、
「面白さより設定の辻褄を考えてほしいな」ということ。
問答ばかりでは起伏がないのだろうけれど、
この展開では「10の質問で……」というのは何だったの、
と思ってしまう。
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ひとつひとつの短編はおもしろい。長編として読みたかったレベルなんだけど、最終的に意味がわからなかった……。
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ファンタジー好きには堪らない仕様ではないでしょうか。
何しろ10編の異なるファンタジー(一部SFですが)が味わえて、それぞれの話が長編書けるというレベルで濃厚な内容になっていますから。
ファンタジーと言っても、中世ヨーロッパ風のものから和風伝奇もの、未来が舞台のものまで実に多種多様。
流石「図書館」収蔵作品の内容が半端ないと思わせる物語ばかりでした。
それでいて、通して読むと一つの長編になるという摩訶不思議な作り。
しかも、それぞれの物語が導き出した「答え」から、更なる「答え」が導き出されるというのも凄い。
あの感動は是非本編を読んで感じて欲しいです。
全ての答えから一つの答えに辿り着いた彼女の思い描いた未来は、もしかしたら既に自分たちがどこかで目にしているのかもしれないななんて思うと、読後も楽しめる……そんな余韻も素敵な作品でした。
こんなに内容たっぷりな話が1冊で読めてしまうのって、本当に最高の贅沢ですよ。
凄いや(語彙力が尽きた)
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面白かったんだけどなー。
設問の一つ一つの答えの物語がとても良かったのだけど、ラストがイマイチ理解できなくて星は三つ。
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今回も納得の多崎礼ワールド。
旅人は、図書館にかけられた鎖を解こうとし、番人は謎を提示することで、対抗する。
その謎に対して旅人は、寓話を語ることで、謎を解き、一歩一歩、真実に近づいていく。
十の短編が一つの大きな流れを作り、終結へと導いていく。
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あらすじを読んで気になったので購入。
確か著者はC★NOVELSからファンタジーでデビューした人じゃなかったっけ……と思ってググったら当たっていた。不惑を過ぎて色んなところが耄碌しているが、抜けていない記憶もあるのだw
本書は著者初の雑誌連載でもある短編集。各短編は概ねファンタジーかSFのどちらかに分類されるが、基本的にはファンタジーであると思う。何というか、SF的なガジェットを用いていても、何処か『魔法』っぽい。
また、楽天的とも思えるほど未来を信じようとするラストは、今時、珍しくもある。こういうストレートさは清々しい。
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読書が好きなひとなら、『図書館』とタイトルにあるだけでドキドキワクワクするでしょう❓
そこに、十の謎に呼応した、十の多彩な短編。
多崎礼さんならではの、SFとファンタジーのハイブリッドの美味しいこと‼️
短編ひとつひとつも、しっかり面白い。
その核心を、ひとつの言葉にしてしまうのも、すごい。
これ以上は書くまい。
と言いつつ、短編がそれぞれの時代や世界を描いているために、いつもの作品のような作品世界の手応えはやや薄かったかも。
贅沢な読書でした。
文庫版なのがもったいないほど。
表紙のイラストもとても素敵だけれど、持った手応えというか…だって、『叡智の図書館』ですよ‼️
ぜひ、もっとずっしりと美しい装丁で、手に取りたい。
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10話あるが、それぞれの元となる話が何となくわかってしまったので、今までの作品の様にぐいぐい引き込まれる、という感じではなかった。
もう少し、各話の登場人物の間に繋がりがあるかと思ったが、そんなになかったので、最後に綺麗にまとめる作者の手腕が見たかった自分はちょっと消化不良の感じです。
ですが、作者の言っていた各話のキリは良かったので、読みやすかったと思います。
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叡智の図書館を前に出される問いと、答えを導く短い物語が9セット。最後にまとめの1章。
大枠でその問答を行っている乙女とローグ(と石板)がいったいどういう存在なのか、最後になっても私にはつかみきれなかった。物語の佇まいとは別に、かなりSF的な設定なのかな・・・と思うけど、いかんせん、歴史の匂いのする物語とのギャップにちょっとついていけず。
物語一つ一つは面白かった。正義や道徳を試す寓話のよう。
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古今東西の知識のすべてを収める人類の智の殿堂。鎖に縛められたその扉を開かんとする旅人に守人は謎をかける。知の冒険へ誘う意欲作! 文庫オリジナル。
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13:あーめちゃくちゃ面白かった……。趣味嗜好がどこからかだだ漏れてるのでは?ってくらいツボでした。
これから書きたいモチーフがいくつか登場してンンッてなりつつも、幸せな気持ちで本を閉じることができました。知識は、情報は、人を幸福に導くだろうか。
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守人の乙女が十本の鎖と十問の謎と共に守るのは、広大な砂漠の果てにあるという時間にも空間にも支配されない万智の殿堂。そこに至った者は森羅万象に通じ、神に等しい力を手にすることができるという古今東西の知識と思考のすべてが記録された「叡智の図書館」。長旅の末「石板」と共に守人のもとへとたどり着いた旅人は、そこに至ることは出来るのか。
物語を紐解き未知に迫る謎解き系長編(ただしそれぞれに関連性のある短編集ともいえる)!!
それなりにボリュームはある(400ページ弱)し、序盤は取っつきにくく感じるかもしれないが、物語が進むにつれてどんどん引き込まれるのであっという間。
「知の探求」をテーマとした作品と、流れるような語り口が特徴。知の冒険に旅立ちたい方、なにかしら関連性のある短編集を読みたい方におすすめします。
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時間にも空間にも支配されない万智の殿堂。
そこから帰還したものは未だおらず、ただ伝説のみが流布している。
そこにやってきた旅人は、探し求めていた図書館と思しき建造物の前に来た。
守人の乙女像は謎かけをする。
男は不思議な石板から答えを導き出す。
問いに答え、彼は一つずつ、鎖から彼女を解き放つ。
このまま全て正解すれば、もしや叡智そのものが手に入るのでは…しかし彼は、死ぬ。
図書館は永遠に閉ざされたままなのか?
第四問は、ヒッチコックの「鳥」をはじめとした他の生物が人に襲いかかる。
その不気味なこと!おまけに救いがない。
グレゴール・ザムザの気持ちがわかる、気がする。
第七問は運命か、決断か。
これもまた、救いなどないといってしまえばそうに違いない。
だが、どちらを選んだとしても身を切られるような痛みがあるとしたら、果たして私たちはどちらを選ぶ?
問は解かれたのか。鎖は無くなったのか。
人はまだ、叡智の図書館には至らない。
それは見果てぬ夢なのか。
作り出された幻なのか。
乙女は、それでも、と前を向く。
光あれ、創造主はそう言った。
いままた灯火が見えぬなら、今なお高みに辿り着けぬなら、彼女は、己が闇夜に浮かぶ希望となろうとする。
いつかそこに辿り着くことを夢見て人々は歩み続ける。
夢半ばで去ったとしても、次世代に夢を託して。
それこそが彼女が愛した、ヒトという生き物なのだ。