- 販売開始日: 2020/08/14
- 出版社: 柏書房
- ISBN:978-4-7601-5249-0
戦争の歌がきこえる
著者 佐藤由美子
「僕は日本兵を殺した」私がアメリカのホスピスで見届けたのは、第二次世界大戦を生き抜いた人たちの最期だった。思い出の音楽とともによみがえってきたのは、語られずにいた数々の証...
戦争の歌がきこえる
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商品説明
「僕は日本兵を殺した」
私がアメリカのホスピスで見届けたのは、
第二次世界大戦を生き抜いた人たちの最期だった。
思い出の音楽とともによみがえってきたのは、
語られずにいた数々の証言。
「マンハッタン計画にかかわっていたんだ」
男は涙ながらに告白し、
「彼らが来る!ナチスが来る!!」
女は恐怖に囚われつづけた――。
これは、ひとりの音楽療法士が記録した、
日本人の知らない「もうひとつの戦争の記憶」であり、
「戦争」の比喩が不気味に飛び交う現代日本において、
トランスナショナルに平和の意味を考えるための一冊である。
目次
- プロローグ 日本人の私が、戦争を経験したアメリカ人とかかわること
- 音楽療法について
- 第一部 太平洋戦争(Pacific War)
- 第一章 良い戦争という幻想――「僕は日本兵を殺した」
- 第二章 記憶の中で生きる――「忘れないでくれ」
- 第三章 原爆開発にかかわった人――「誇りには思っていない」
- 第二部 欧州戦線(European Theater)
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他者の記憶に触れ、戦争や歴史を考える
2024/02/18 12:33
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はアメリカの認定音楽療法士。ホスピスで歌や楽器の演奏をして終末期の患者や家族の精神的身体的サポートをする仕事なのだという。
その過程で、日本人である著者が「かつての敵国」の兵士だった男性をはじめ、戦争の記憶に苦しむ患者たちのさまざまな「声」を聞き、書き留めたのが本書だ。
第2次世界大戦で日本兵を殺したことを打ち明けた人、ベトナム戦争で枯れ葉剤をまいた帰還兵、捕虜となって心を病んだ夫との生活に苦しんだ妻などなど。
著者はアメリカで一般的に言われる戦争の「正義」とか退役軍人の英雄視といった既成概念に疑問を抱く。いろいろな人種が暮らす大国だけあって、戦争の傷を抱えているのは元米兵だけでないところがまた興味深い。
原爆開発に関わったという科学者、ホロコーストを生き延びたユダヤ人、口を閉ざし続けた元ドイツ兵、旧日本軍による攻撃を生き延びた中国系米国人。
著者が耳を傾けた人たちの記憶/心の傷は、日本ではあまり意識が向けられない歴史の一断面だ。
日本人の著者もそうだったのだろう。
自国に都合の悪い歴史が抜け落ちる「集合的記憶」や「社会的忘却」の問題をつづる思索に大変共感できる。