拡張するキュレーション 価値を生み出す技術
著者 暮沢剛巳
情報を組み換え、新しい価値を創る! 梅棹忠夫の「知的生産技術」、柳宗悦の「創作的蒐集」、岡本太郎の「対極主義」、ハラルド・ゼーマンの「構築されたカオス」。新たな価値をいか...
拡張するキュレーション 価値を生み出す技術
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
商品説明
情報を組み換え、新しい価値を創る! 梅棹忠夫の「知的生産技術」、柳宗悦の「創作的蒐集」、岡本太郎の「対極主義」、ハラルド・ゼーマンの「構築されたカオス」。新たな価値をいかに生み出すのか。「価値」「文脈」「地域」「境界」「事故」「食」「国策」という七つのテーマごとに、現代美術に限らない「知的生産技術」としてのキュレーションの実践を読み解く。庶民の生活雑器を収集し独自の価値体系を築いた柳宗悦の「民藝」、博物館の資料展示の見せ方を刷新し賛否両論を巻き起こしたフランスの「ケ・ブランリ美術館」、インディペンデントキュレーターの誕生によって観光資源として多くの来場者を集めるようになった芸術祭、死後見いだされたアウトサイダーアートの偉業――。情報を組み換えることで新たな価値を生み出すキュレーションという営みは、誰もが情報生産者となりうる現代を生き抜くための創造的なヒントに満ちている。
目次
- 序章 展覧会企画と情報検索/第一章 「価値」のキュレーション/第二章 「文脈」のキュレーション/第三章 「地域」のキュレーション/第四章 「境界」のキュレーション/第五章 「事故」のキュレーション/第六章 「食」のキュレーション/第七章 「国策」のキュレーション/終章 展覧会――情報処理としてのキュレーション/あとがき/参考文献
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
キュレーションという観点でものをみるということ
2021/05/22 21:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
数多ある情報を、収集・分類・選択することを通して価値を生み出す、あるいは筆者の言葉を借りれば「行く場所、食べるもの、することを、独自の美意識に基づいてチョイスしつつ、世界を自由に漂っていく」ための技術としてのキュレーションを、様々な展覧会の実例を通して解説しています。本書のタイトルから真っ先に思い浮かんだ、バーンズ・コレクションの展示などは、既存の枠とは違う分類・選択・組み合わせによって新たな価値を生み出した一例なのではないかと思います。
展覧会を企画し、何を展示し何を展示しないか、プロモーションは、etc. といったことを取り仕切る役割として”キュレーター”が認識されていると思いますが、そうした営みはもっと一般性があるのだ、たとえば旅の計画など、という筆者の主張には納得します。本棚、ワードローブ、ワインが好きな方ならワインセラーに何を残すか等々。キュレーションとは、美意識に合うもの、美意識を表現するものを選び取る一方で捨てるものを選ぶ営みだと思います。本書は展覧会として提示されたキュレーションの結果、選択の結果を示していますが、タイトルの”拡張”というところにこだわれば、美術から離れた展開の例を示す、また何が選ばれたかではなく何が捨てられたかに焦点を当てる、などされると、さらに深まったかなと思います。
批判的な話から入ったので、続いて評価したい点です。
序章でキュレーターの語源にさかのぼって、そもそもキュレーションとは何かというところから問い直した点は評価したいです。石田博さんの『10種類のぶどうでわかるワイン』ではソムリエはそもそも何をする人だったのか、というコラムが設けられていましたが(ソムリエもキュレーションを生業とする人ですね)、そうした原点を確認しないと、イメージ先行で浮ついた話になりかねない。
「事故のキュレーション」という章では、アウシュビッツや広島の原爆ドームなど、過去の悲惨な出来事をメモリアルとして人の目に晒し、それによって記憶をつないでいくことに焦点が当てられています。この点はもっとも”拡張”が感じられた章でした。
生々しい写真や模型がなくとも、想像力を駆り立てることができます。マイルドであれば良いというわけではありませんが、何をどう展示するのかは、史料的な観点だけではなく、例えば心理学的な観点も求められそうです。目を背けたくなるからといって過去から目を背けてはいけませんが、一方で「この前こんなところに行ってきたんだけど・・・」と友人に話し写真を見せられる、それによって体験を共有できる、ということもあります。正解はありませんが、何を選び、何を捨てたか、その背景にある考えは何か、それも展示と合わせて伝えることがキュレーターには求められるでしょう。
また、「国策のキュレーション」という章では日独の戦時下における展覧会が取り上げられています。これも独自の切り口だと思いました。あとがきによれば、編集者からのsuggestionだったようですね。美術史の空白域と取られがちですが、戦争画を通して最も美術が庶民に近づいた時代でもあり、日本では、戦争画の展覧会が開かれた百貨店が、戦後も展示会場の一つであり続けました。筆者は批判的に評価していますが、宮下規久朗の『美術の誘惑』では美術史的観点から一定の評価が与えられ、最近では植民地化の芸術を取り上げる企画展も催されていることが紹介されています。宮下氏の書籍ではカラーの図版も載っていますし、日本の戦争画は東京国立近代美術館の常設展で見られます。実際に見て感じることも大切です。
組み合わせる魅力
2021/04/04 12:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぷー - この投稿者のレビュー一覧を見る
新しい価値を生み出すキュレーション技術。物質が豊富かつキュレーターが幅広く深みのある教養を持っていれば、人類史の捉え方でさえも変えていけるように感じました。
陳列と展示
2021/03/31 17:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
集めた情報から新たな価値を創造する力としてのキュレーション。展覧会企画を意味するキューレーション。IT本なのか美術関連本なのかと手に取った本書。果たして答えは・・・。