灰塵の暦―満州国演義五―(新潮文庫)
著者 船戸与一
満州国国務院へ出向した敷島太郎。抗日ゲリラの殲滅を続ける次郎。三郎は関東軍が細菌戦を準備していることを知り、四郎は謎めく麗人に心を乱される。岸信介ら新官僚の到来と大移民計...
灰塵の暦―満州国演義五―(新潮文庫)
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商品説明
満州国国務院へ出向した敷島太郎。抗日ゲリラの殲滅を続ける次郎。三郎は関東軍が細菌戦を準備していることを知り、四郎は謎めく麗人に心を乱される。岸信介ら新官僚の到来と大移民計画に沸く満州。その南、中国では軍人たちが功を急ぎ、兵を突き進ませてゆく。昭和十二年、日中は全面対決へ。戦火は上海から南京へ燃え広がる。敷島兄弟が目撃したこの世の地獄とは。戦慄の第五巻。(解説・西木正明)
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9巻に及ぶ壮大な歴史物語も遂に頂点を超えた感じ。
2020/09/27 13:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
9巻に及ぶ壮大な歴史物語も遂に頂点を超えた感じ。多様な国際政治の中で形成される歴史。何処かで流れを変えれなかったのかと思いつつ読み進む私にとって、1~4巻まではまだ立ち止まる余地はあると見えたが、事実上1937年7月7日の「盧溝橋事件」で始まる「日中戦争」そして1937年12月17日の「南京入城」で泥沼に完全に嵌ったと思わざるを得ない。何時も感じることだが、この間も戦争を回避しようという勢力もそれなりの努力を行っているのに、それが決して良い結果を生まずむしろ悪い方向を助長したのではと思わざるを得ない点である。本書では深く触れられてはいないが、その最大の勢力は国民自体ではなかったのか。国内の経済不況を国外で緩和しようとし、富国強兵制で生じた余剰労働力、特に農村の次男以下の活躍の場として戦争も辞さない、いやむしろ歓迎する風潮が後押ししてたのではないかと思わざるを得ない。アッ脱線でした。さて本書で多層的な側面からの語り部的存在の敷島4兄弟。一時は、政治家(太郎)と軍人(三郎)が激しく対立するなど視点の相違でのすれ違いも有ったが、現実の戦争という場面を目の当たりにして4兄弟の視点もまたまとまり始めてきた感じがする。泥沼から底なし沼へと駈け下りていく6卷以降、敷島4兄弟が何を見、何を感じ、どう行動していくのかが楽しみ。
崇高な理念も。。。
2016/10/19 01:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラストで三郎の怒りが爆発するシーンがなんともやりきれない。軍服を脱ぎ捨てて逃げ出す国民党軍にも嫌悪感。一般市民も巻き添えになるとは考えないのか。もともとの原因を作った列強諸国にも腹が立つ。どんなに崇高な理念があろうが、現場のゲス連中には意味が無いのだろう。今作は南京事件を描いていたが、同じような悲劇は、現在のイラクやシリアでも毎日のように起きているのだと思うといたたまれなくなる。