9巻に及ぶ壮大な歴史物語も遂に頂点を超えた感じ。
2020/09/27 13:47
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
9巻に及ぶ壮大な歴史物語も遂に頂点を超えた感じ。多様な国際政治の中で形成される歴史。何処かで流れを変えれなかったのかと思いつつ読み進む私にとって、1~4巻まではまだ立ち止まる余地はあると見えたが、事実上1937年7月7日の「盧溝橋事件」で始まる「日中戦争」そして1937年12月17日の「南京入城」で泥沼に完全に嵌ったと思わざるを得ない。何時も感じることだが、この間も戦争を回避しようという勢力もそれなりの努力を行っているのに、それが決して良い結果を生まずむしろ悪い方向を助長したのではと思わざるを得ない点である。本書では深く触れられてはいないが、その最大の勢力は国民自体ではなかったのか。国内の経済不況を国外で緩和しようとし、富国強兵制で生じた余剰労働力、特に農村の次男以下の活躍の場として戦争も辞さない、いやむしろ歓迎する風潮が後押ししてたのではないかと思わざるを得ない。アッ脱線でした。さて本書で多層的な側面からの語り部的存在の敷島4兄弟。一時は、政治家(太郎)と軍人(三郎)が激しく対立するなど視点の相違でのすれ違いも有ったが、現実の戦争という場面を目の当たりにして4兄弟の視点もまたまとまり始めてきた感じがする。泥沼から底なし沼へと駈け下りていく6卷以降、敷島4兄弟が何を見、何を感じ、どう行動していくのかが楽しみ。
崇高な理念も。。。
2016/10/19 01:54
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラストで三郎の怒りが爆発するシーンがなんともやりきれない。軍服を脱ぎ捨てて逃げ出す国民党軍にも嫌悪感。一般市民も巻き添えになるとは考えないのか。もともとの原因を作った列強諸国にも腹が立つ。どんなに崇高な理念があろうが、現場のゲス連中には意味が無いのだろう。今作は南京事件を描いていたが、同じような悲劇は、現在のイラクやシリアでも毎日のように起きているのだと思うといたたまれなくなる。
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関東軍の暴走により、戦火は、上海、南京に広がる。
歴史を目撃する役目を負った敷島四兄弟は、それぞれに転機を迎えつつある。
四兄弟の目は、これから満州の歴史に何を見るのだろう?満州を見つめる目がどの様に変わっていくのだろう?
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満州国演義ももう五巻まで来ました。
船戸与一のハードボイルドを読みながら歴史の勉強もできる、なんとも贅沢なシリーズです(笑)
ついつい没頭して読み進めてしまいたくなるところを、じっくりゆっくり楽しんでます。
満州国建国からわずか5年、日中はついに全面戦争に突入していく。
時代が動く時のスピード感に驚きを覚えると同時に、現在の日本の情勢にあらためて危機感を強くした。
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1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。
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戦慄の南京事件。
日本軍の鬼畜ぶりに驚愕と嫌悪。
御大層な大義名分と実際にやっていることとの解離が凄まじ過ぎる。
日本史知識は中学校教科書と小学校教科書との中間くらいしか無い身としては、目を背けたくなる描写のオンパレード。
裏の世界から足を洗おうとしてる次兄の前に再び間垣徳蔵が現れ、さらにあちこちから「もう一度仕事をしないか」との声がかけられる・・彼の行く末が気になる一冊。
★4つ、8ポイント。
2017.12.12.新。
※日本史知識は無いわりにここ数年の歴史小説プチマイブームによってその都度wikiってきたところによると、世間では(?)「京事件は無かったとする派」が一定数以上いるとのこと・・・
・・・南京事件を描いた小説家がネットで炎上したり、漫画の南京事件描写編が単行本から削除され、かつ連載中断に追い込まれたりした事例があるのだとか・・・
そんな中でのこの描写とは・・・。
船戸さん、強気だな。
どちらの説が正しいかは知るよしも無いが・・・
今までに見たいくつかのフィクション作品中の描写や、ルポ、無かった派の記事等からの現時点での感想は・・
南京大虐殺30万人、とかはさすがにかの国の誇大主張かもしれないが、数の違いはともかく虐殺自体はあったのかも・・
そして、程度の違いは大小あれども、指揮官の統率から外れた場での虐殺事件は、日中間だけでなく世のあらゆる“戦争”“紛争”“事変”と呼ばれる事象の中ではたくさん行われてきたのだろう、と。
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国家、泥沼、ひとの性(さが)…混乱が混沌となり、同時代的視点からも時代が加速度的に転がり落ちていく。しかし、悲劇は止まらない。胸が痛いが、指先は次の頁を求めていく。これも、性か。
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時代も混迷、四兄弟も混迷。特に大きな岐路に立ったのが次郎だね。馬を下り、背広と車で次を模索するようになる。太郎はストレスフルな仕事の一方で小娘に手玉にとられ、四郎は相変わらず志は立派な理想家肌なれど気弱。三郎は関東軍がのさばるのを反映するかのように安定している。
南京大虐殺の模様、読むだけでも悲惨。政治レベルでも現場レベルでもまともな判断や統制がとれなくなってるんじゃないかと思う。これまだ1937年のこと。この頃から日本っておかしくなってたんだなと。