ドライブインまほろば
2023/03/24 12:49
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投稿者:なみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
遠田作品は、どうしてこんなに切ないんだろう。皆、哀しみを背負って、過去から逃れられず、苦しんでいる。
小学生の憂が、「生まれてこなければ良かった」と言う。生きる意味がわからないから、とりあえず「目標」を作って、その為に生きる、と言う。そんな想いをさせるなんて、辛くて、哀しくて、たまらなくなった。
皆傷付きながら、それに向かい合う勇気を持って終わる。そのラストに、救われた。
図書館で借り、即、購入。
2022/05/11 17:23
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投稿者:ゆうあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小6の男の子が義理の父親を殺して、妹を連れてきた場所は思いある土地。知り合った主人公は、実の母親を許せない気持ちの中、小さなドライブインを経営。幼い兄妹がどうしても気になり、衣食住共にするなかでお互いの傷に気付き、寄り添いあうようになっていく。男の子を追いかけてくる男。
それぞれの痛み、喪失、理由。やるせなくて辛くて悲しい。
誰もが大切な人がいる。大切に思えない人も。
血縁ありなし関係なく、命と向き合い、一緒に生きて欲しい、そう思えた本でした。
ラストが良かったです。
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な親がいて、様々な子供がいて、親と子供の様々な関係が生まれる。そんな組み合わせの幾組かが、物語で描かれる。過酷な生き方を余儀なくされる人、生きる価値がないとあきらめる人が、立ち寄る場所が、ドライブインまほろばなのだと思う。人は救われることはある、しかしそれ以上に、生きようと前を向き、歩みを進める必要はある、その人には。
行き場のない人々の停車場
2022/08/01 09:08
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
小6にして過酷な人生を歩んできた、兄・憂と妹の来海に胸が痛みます。実の娘を失った比奈子との、疑似親子のような関係に救いがありました。
「光」を感じさせるラスト
2022/03/04 13:11
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
語り手となる3人が辛い境遇にあって読み手も救いを見出せない中、来海ちゃんの無邪気さや料理の描写、十年池の美しさに癒されながら読み進めました。まさに「光」を感じさせるラストなので、登場人物たちのこれからが幸多いことを願います。
楽しい話ではなかった
2024/12/18 13:25
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
勝手に、楽しい雰囲気の話かと思って読み始めたら、全然違った。
現実として、愛されない子どもはいるからなあ。
ラスト、どれくらいの時間が経った想定だったのかな。
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峠越えの山道にある古びたレストラン「ドライブインまほろば」。
経営しているのは一人娘の里桜を交通事故で亡くし、夫と離婚した比奈子36歳。
そこへ「義父を殺した」という小学校6年生の坂下憂が父親の違う妹の来海5歳を連れてやってきて「何でもするから8月いっぱいだけ置いてください」と頼まれます。
憂は8月の終わりに、十年にいっぺん現れるという十年池を見たいのだと言っています。
比奈子は憂が、おそらく親から虐待を受けていたことを感じ取り、勘によって憂と来海を警察には連れていかず、8月いっぱい匿うことに。
以下最後までネタバレしていますので、お気をつけください。
憂の義父の坂下流星には双子の兄の坂下銀河がいてヤバい系の仕事をしていたので、憂の盗み出したノートパソコンを追って探しにやってきます。
憂は来海を連れて逃げ出し、比奈子は銀河を包丁で刺し立ち向かいますが、かなわず、二人で憂の行った、十年池を目指します。
作者の遠田さんは今回も凄いと思いました。
最低の父親、流星と銀河の物語もちゃんと読ませてしまうところがなんといっても凄い!
そして、憂と銀河と比奈子さんは十年池で夜を明かし、一晩話をして、十年池の言い伝えにあるように、生まれかわります。
そして憂が生きる希望を見出したこと。
比奈子さんのおかげで銀河とその妻と子もやり直すことになったこと。
比奈子にも希望が見えたことは本当によかったです。
そして何といっても、遠田さんの作品の中でもまれに見る悪役キャラが再生したのは本当に凄い作品だと思いました。
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親に虐待されて育って「生まれていいことなんか何もなかった」と語る憂。極悪人に見える親やその兄も苦しみを背負い、そして大切にしたい存在を抱えている。
ストーリーに引き込まれて一気読み。
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★4.5
途中までは満点。ラストがややご都合主義でうまくまとまりすぎたハッピーエンド。人、殺してますけど…。そんな幸せでいいんですか?
伊坂作品のフーガとユーガみたいな、銀河と流星。どちらも虐待にあって深い絆で結ばれているけど、本作の双子は人に迷惑かけているぶん感じが悪い。それぞれ事情を抱えた登場人物たちの寂しさが共鳴しての十年池の魅せるファンタジーだった。
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山深い所にある「ドライブインまほろば」。かつては繁盛していたが、高速道路ができたことにより、客足は激減し、廃業していた。しかし、あることがきっかけで、比奈子は一人で切り盛りすることになった。
そんな時、突然お店に二人の幼い兄妹が現れた。「夏休みが終わるまで、ここに置いて欲しい」とのこと。その風貌に必死さが伝わったり、かつての亡くなった娘と重なった部分もあって、受け入れることになった。
時を同じくして、弟の息子が弟を殺害したということで、兄はその息子を見つけようと奔走する。
負の連鎖によって翻弄されるそれぞれの家族が、読んでいて心苦しい気持ちもなりましたし、怒りや虚しさなどあらゆる感情が渦巻いてきました。
自分の母によって子供が亡くなった母、弟が殺害された兄、養父を殺した息子。何かしらの暗い過去を抱えていますが、
絶望の状況からどう這い上がっていくのか。読み進めるたびに何度も誰か救ってくれと思わずにはいられませんでした。
遠田さんの描く「不幸」な描写は、良い意味で素晴らしく、心を揺さぶられました。不幸から幸福へと導く過程は、クリアではないですが、希望の光が灯されるような明るい方向へと進むので、いつも遠田さんの作品には期待が高まります。
たしかに一部には犯した罪など許せない部分もあります。それをどうカバーしていくのか。なかなか一人では答えを出せません。周囲の人たちがいることで、再生していくんだなと改めて感じました。
一度崩壊したら、完全に元には戻れません。読み進めるたびに心苦しい場面はありましたが、暗い気持ちだった分、最後は清々しく読めました。
それにしても、大人の身勝手さに子供を巻き込むなと何度思ったことか。読んでいて腹立たしさが何度もありました。
自分も気をつけなければいけないなと肝に銘じました。
そしれ最後に登場する「十年池」。描写は美しく描かれていて、心が浄化したような感覚もあって、一度で良いから、見てみたくなりました。
人々との温かみ充分に味わえた作品でした。
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202201/遠田作品は残酷なほどのリアルさと、うっすらとしたファンタジー加減が絶妙。感情描写がリアルだし読んでて胸が痛いことが多い。そして今作もつらい連続だったけど読む手は止められず一気読み。絶望と一筋の希望、見事な作品だった。
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優が月明かりの下で激しく震えながら泣く場面がいちばん切なかった。銀河、流星の双子の話には嫌な気持ちになったが、比奈子が愛娘を亡くした悲しみから目の前にいる子供たちを必死に守ろうとする強い気持ちが切なくも感動した。子供は死んではいけない。なにはともあれ優が生きてて良かった。
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幼い子供が店に転がり込んでそれを手伝うところに「アンチェルの蝶」を、酷い環境で育った兄弟というところに「オブリヴィオン」を想起させられます。
ただ、それらの作品以上に暗くて重い内容。憂の境遇はもとより、他の人物たちも何かしら過去に “傷” を負っていて、彼らには憐憫の情が芽生えてきます。
ただ、流星は凄絶な過去があるとはいえ憂への仕打ちがあまりに酷く、後半にその過去が明かされはしましたが同情の余地はないかな、と。
銀河については流星の過去を知らなかったことを差し引けば、流星に比べれとまだ救いがある方かとは思いますが、やはり過去に数多の女たちを売ってきたことを考えると、感情移入はしにくかった気がします。
そうした引っかかるところはありつつも、終章に至るまでがかなり辛い内容だったため、比奈子や慶子、憂、来海、光が希望を持てるような結末だったことには心底ほっとしました。過去に傷を負ったもの同士、何かを補い合う形で前向きになれているところがポイントなのかな?
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さすが、安定のクォリティ。タイトルの能天気な響きから、ひょっとして今回は軽い内容?とか思ってもみたけど、全然そんなことはありませんでした。やはり通底するテーマは贖罪。今回は子どもがメインということもあり、少し違った味わいも感じられはする。リーダビリティも高く、相変わらず読み進むうちに心打ち震えるんだけど、さすがに、初めて氏の作品に触れた衝撃は越えられませんわな。でも、きっと読み続けてしまうんだろうけど。
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少し前に話題になった「親ガチャ」という言葉を思い出す。
親は選べない。その絶望感に打ちひしがれながらも、どこかにまっとうに生きる道はないのか自問しもがく人々。
寂れた山間のドライブインに吸い寄せられるように出会った彼らの人生は再生されるのか。
こういう終章が邪道だとする人もいるかもしれないが、私は物語の行く末をはっきりと知りたいほうなので、ほっとした。