ラジオ番組のオープニング語りをまとめた本
2023/08/06 08:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りら - この投稿者のレビュー一覧を見る
3分程度の語りだそうだが、毎回原稿を書いているのだという。
それらをまとめた本。
一本ずつが短いので、さらっと読める。
その短い中に、じっくり考えた言葉たちが詰まっていて、自分の中に染み込んでいく。
子供の頃のことも含めて、いろいろなことをよく覚えておられる。
その時に感じていたこと、そして時を経て今になって考えること、そういう話題に特に惹きつけられた。
自分が歳をとったからかもしれない。
創作をしている人の作品に触れて思うのは、記憶力、その再現力、そこに歳月を経てなおご自身なりの意味を表現しようとする強い意思などが本当に桁違いであるなということ。
これは修練だけでは到底身に付かない感性のようなものではないかと思っている。
だから、そういう作品に触れると、生きてて良かったなと思う。
面白かった、本をテーマにした回
2023/05/01 13:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2020年春にNHKでスタートした「高橋源一郎の飛ぶ教室」、私はかかさず聞いていたというファンではないが車を運転しているときには聞いていた。私はやっぱり本好きなので「本」がテーマである時はわくわくしていた
投稿元:
レビューを見る
ラジオを聴いていて、楽しみにしているので買いました。文章はそんなに上手いと思わないが経験に基づく内容がとても面白い。途中まで読みましたが、病院の待合で読もうとあえてとってあります。まあ、何度も読んでも楽しいと思いますが。私には作家だった伯父(地方でささやかな創作活動をしていた)がいましたが、面白い本や、子供の知らないふしぎな世界を教えてもらった気がします。子供には、親以外にも人生の楽しみや滋味のようなものを教えてくれる大人が必要だと思います。源一郎さんはまさにそんな感じの大人。こんなおじさんがいたら楽しかったなぁという気持ちで読んでます。
投稿元:
レビューを見る
ノスタルジーとか郷愁を感じた。作者の昔話を読んでいるからかもしれない。過去の出来事と現在の出来事を自由に行き来して、自分なりに分類していて、人生経験の多さと、作者が若者ではないことを感じた。
いくつも、面白いエピソードがあるけれど、心に残ったのは、家族の話。特に自分の父親や母親の話。
もしかしたら、ぼくたちは、ある時期、たとえば十三や十四で「自分」というものになり、そこから先は、ほとんど変わらないのかもしれない。そして、いつかおとなになる、と思いながら日々を過ごし、ある日、突然、いた自分を見ておどろくことになるのかもしれません。
実は、私もそう思っていた。自分の心の内が文章になっているような不思議な感覚に囚われた。
もしかしたら、自分が小さい頃に思い描いたような、おとなになることはないのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
普段あまり男性が書いたエッセイを読まない私が、この本を読んでみようと思ったのは、新聞の人生相談欄で著者が回答しているのを読んだことがあったからです。
人はきれい事や、「前向きに頑張ればいつか報われる日がくる」なんていうポジティブな言葉だけでは立ち上がれない時がある。
一見厳しく、突き放したような回答にも、著者の経験に基づく考えや愛情が込められていて、とても誠実さを感じていました。
著者の小説を読んだことはないし、ラジオも聴いたことはないのですが、この本は読んでよかったです。
投稿元:
レビューを見る
高橋源一郎の本は読んだことがないし、放送も聴いたことがないが、なかなか面白そうな番組である。それにしても、波瀾万丈の人生を歩んでいる人なんだなあ。
投稿元:
レビューを見る
毎週金曜の夜開く学校。NHKラジオ番組「飛ぶ教室」の冒頭約3分間のオープニング・エッセイ2年分。コロナが流行り出しコロナと過ごした日々の中で放たれたメッセージ。どれも高橋さんならではの味があって響く。文章を読んでいるのに耳で聞いているみたいだった。折々で読みたい。本編の本の紹介の方も書籍化したらいいのに
投稿元:
レビューを見る
NHKラジオ番組の「飛ぶ教室」は時々聴いている。興味深い本が紹介されたり、ゲストの話がとても良かったり(伊藤比呂美さんのお話は本当に面白かった)、落ち着いて聴ける番組だと思う。本書は、その放送の最初のおしゃべりをまとめたもの。やはりあれは、ちゃんとしっかり考えた原稿だったのだ。短くてもの足りない時もあるけれど、味わい深いものが多い。
・指揮者ベンジャミン・ザンダーがTEDカンファランスで行った講演で、アウシュビッツ収容所の生き残りの女性の言葉を伝えていた。彼女は15歳の時アウシュビッツに連れてこられた。その時一緒に来た8歳の弟が靴をなくしたのを見て「なんてバカなの!」と言ったが、これが彼女が弟に最後に言ったことばになった。弟は生きて戻れなかったのだ。彼女は誓いを立てた。「生きて戻れるなら、それが最後のことばになるとしたら、耐えられないようなことばを二度といわない」と。高橋さんは「ことばを大切にしてくださいという、ザンダーのメッセージです」と結んでいる。
・高橋さんは、自らの父を「最低の父親だった」と思ってきたが(これにはそれなりの事情がある)、ある日自分の幼い息子さんに歯磨きをさせていた時、自分がその父と同じ顔つきになっていたことに気づいて、ひどく動揺したそうだ。
「父もまた、いまのぼくが子どもに注ぐような愛情を隠しもっていたのではないか」「ぼくはすっかり父を忘れていたのに、父はぼくのことを忘れていなかった、そんな気がしたのです」
「親と子はいちばん近くにいる他人だと思います。親は子どもを理解しようとしてできず、子は親を理解しようともしません。なぜなら、子どもはいつも、親ではなく未来を見ているからです。そして、親はその後ろから、子の背中を黙って見つめるだけなのかもしれません。そして、子どもは、自分が親になって初めて、自分がそうやって見られていたことに気づくのです」
自分は子どものことを考えない日はないが、おそらく独り立ちしていった子どもたちは親のことなどほとんど考えないと思う。そう思うと寂しくなるけれど、自分だって若いころは親のことなど考えなかったわけで、それでいいんだろう。
・今回いちばん心に残ったのは、パンクロックバンド銀杏BOYZの峯田和伸さんのインタビューから紹介された言葉だった。ずっと心にモヤモヤしていたことがズバリ言葉になっている。胸を打たれた。
誰かが何かしでかすと、みんなが「謝罪しろ」という風潮。有名人が亡くなると、みんなが一斉に「ご冥福を」と声をあげること。どうして、みんな「関係ないね」といわないのか。
「世の中で何かが起こった。さっぱり関係ないはずなのに、『私はこう思う』とか、世界とすごくくっついちゃってさ。本来、自分と世界なんて違うじゃん。別に関係ないんだもん。世界と一個になろうとしてるんだよね。世界と一個になんかなれないよ。そんなの」
「ネットってさ、最初のころはすごい楽しみで『あっ、世界が近くなる』『もっとわからない世界が知れるようになる』ってワクワクしたんだけど、今はそんなにワクワクしない。広がると思ったのに、どんどん狭くなっちゃって」
その通りだとしみじみ思った。
投稿元:
レビューを見る
ラジオ番組〝夜開く学校「飛ぶ教室」〟のパーソナリティを務める高橋源一郎サンの番組冒頭でのオープニング・エッセイ二年分が収められた岩波新書版。 2020年に始まった〝はじまりのことば〟では、コロナの時代に揺れる現代社会と、2500年前に書かれた孔子の『論語』の世界観が語られる。そして2022年、ロシアのウクライナ軍事侵攻に揺れる世界情勢を背景にした、作家・高橋源一郎サンの切なくも滋味溢れ出るメッセ-ジに深く酔い痴れる。巻末の特別付録『さよならラジオ』では、筆者の哀調あふれる心情がしみわたる。
投稿元:
レビューを見る
ラジオで毎回聴いているはずなのに、1年前以上のものはすっかり忘れている。
聞いた当初は、心に残っているというのに。
著者の有難い言葉でも、深く心に残るのはなかなか難しいし、文章として残ることには意味がある。
しかし、文章にも残っていない言葉に感銘したり、人生を左右する言葉ってすごい力なんだと、改めて知らしめてくれたこの本は。
これからも「はじまりのことば」心して耳を傾けます。
投稿元:
レビューを見る
いつもの整形外科医院の本棚からお借りした
金曜日のラジオ番組「飛ぶ教室」の冒頭数分間のエッセイをまとめている
この番組、面白そうだなあ
ぴかりと光る言葉
メモしながら読んだ
でも忘れるのよねえ
「自分の中に変わらず生きている少年や少女に気づくことが大人になること」とか いいなあ
≪ さまよって ことば音楽 待つ人へ ≫
投稿元:
レビューを見る
どれも珠玉のような、そして心温まる87話と、おまけというにはもったいないような著者自身によるの短編作品。どのお話にも、著者の人柄が色濃くにじみ出ている。
投稿元:
レビューを見る
読んでいて、ああ、そう、それ。みたいな感じに何度もなった。自分とは全く違う時代、違う環境を生きてきた人なのに、途中そう感じずに、何か近くにいる感覚というか、不思議な心地良さがあった。作家だから当たり前なのかもしれないけど、ああ、言葉にするの上手いな、と唸ってしまうこともしばしば。また読み返したい。次は、源一郎さんがラジオの前にするみたいに、線引っ張りながら、付箋つけながら読んでみたい。そして自分も言葉で表現することに挑戦してみたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
読みながら思い出したのは『天声人語』や(もちろん肯定的な意味において)、あるいはアラン『幸福論』といった文章群だった。つまりここに収められているのは高度に思弁的な内容の文章でありつつ、同時にこのぼくたちの生活の中において息づくぬくもりを備えたホットなエセーたちだと思った。高橋自身にとっての「10代の思い出(『青春』、とも言えるだろうか。かなり色合いの異なる『青春』だが)」や「老い」について沈思黙考の産物として書き出された文章が目立つ。したがってその美しい文体に陶酔しつつ読むうちにぼくはつい襟を正してしまう