クーベルタン、オリンピックの本当の目的は
2024/10/03 15:27
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
進化の過程にはダーウィンのとなえた自然選択説と親の獲得した形質は遺伝するというラマルク説が存在した、今では厳しい自然環境が生物に無目的に起きる変異(突然変異)を選別し、進化に方向性を与えるという自然選択説が定説になっているが、19世紀後半にはラマルク説も有力だったようだ、近代オリンピックの提唱者、クーベルタンもこの説の信奉者の一人で、世界からアスリート(ただし欧米の白人)を集めて、フランス人アスリートを精神的、肉体的に向上させ、次世代のフランス人アスリートの先天的能力を向上させることが目的だったというのは怖い、だから今でもオリンピックは欧米諸国の無理が通るのかとも思ってしまう。優生学が猛威を振るった欧米で「ダーウィンはこういっている」と言っていないことも彼に擦り付けていたというのもかなり怖い話だ
優生学と遺伝子操作
2024/08/19 08:49
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝子操作についての倫理的な問題や課題、というのが、いままであまりよくわかっていなかったけど、この本を読んで、ちょっとわかった気がしました。優生学についても、いまではなんでそんなことを、という感覚だけど、当時は「科学」としてかなり真剣に考えられていたということも。日本の優生保護法なんていうのも、この流れの中にあった様です。気を付けないと、似たような間違いをまた招くおそれも十分にあるんだろうと感じました。
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高等動物創出の要因としての論ではなく学としての進化。偏見や差別の強化に科学を武器に利用した優生政策としてのダーウィンの呪いを見ていく。
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なかなか歯ごたえある本でした。
千葉聡氏の本にしては、読みづらくもありました。
予想と異なりダーウィンの呪い→優生学でしたね。
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ダーウィンの提唱した「進化論」。
種の起源を紐解いたその意味と、現在利用される際の意味との違いを歴史の変遷や後世の学者の理論等を解説しながら説明している本。
生物学的な「進化」の意味:一定方向への変化を意味しない。つまり、発展・進歩・退化、すべてが「進化」である。
しかし、ダーウィンは生物学者としては進化を「方向性のないもの」として、社会哲学者としては「進歩」として説明した。このダーウィン自身が「進化」の用語の利用時に揺らぎがあったことが後世の進化論の理解をゆがめることとなった。
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題名に惹かれて、夢中で読んでみた。ダーウィンの言葉として「最も強いものが生き残るのではない。最も賢いものが生き残るのでもない。唯一生き残るのは変化できるものである」が有名であるが、「種の起源」にこのようなことは一言も書いてないと言うのは驚きである。
反対にダーウィンは「進化の普遍法則とは、最も強いものを生き残らせ、最も弱い者を死なせることだ」と言っていると言うのだから驚きだ。
「適者」という言葉が、出生率と生存率が高いという生物学的意味ではなく、弱い者が排除され強いものが生き残るという日常用語的に解釈されてしまうことからダーウィンの言葉は不正確に伝えられてしまうのだ。
世界がそのように理解され、人間社会の発展も進化論的に解釈されてしまうのだが…
一度目を通しておいた方がよろしい本ではあるが、期待したほど…でした。
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新聞の広告で目にして図書館で予約し運よくすぐに借りることができた。
ダーウィンの「種の起源」、その解釈次第で悪魔の思想にもなる、ひと握りの知識階級による優生思想への傾倒、その鳥肌がたつほどの恐ろしさを本書は余すところなく伝えている。しかし、これからはより優位な特性を持つ個人を生み出そうとするひと握りの富裕層のための遺伝子操作技術がひとり歩きするのか。
これほど瞬時に情報が世界を駆け巡る時代(フェイク情報も多く含まれるとは言え)、「優生思想」がひとり歩きすることはなさそうだが、富の偏在は技術を活用できる者とそうでない者を生み出し優位者と劣等者を生み出すのではないか。そんな不安がよぎる。
とは言え、著者は「オリンピック」に内在する優生思想の残滓にも焦点をあて、世界が熱狂する祭典にひそむ「呪い」にも警鐘を鳴らす。ダーウィンが考えた「適者生存」の本来の意味を考えると、ダーウィンが悪者のような可哀想な気になる一冊だ。
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「進歩せよ」を意味する「進化せよ」。
「生き残りたければ、努力して闘いに勝て」を意味する「生存競争と適者生存」。
んで、「これは自然の事実から導かれた人間社会をも支配する規範だから文句言うても無駄」を意味する「ダーウィンが言うとるさかい」。
この三つの呪い。
ダーウィン、言うてへんねんけどと。
そもそも、ダーウィンが言うてても、それが真実かどうかは別の話やし、実際、ダーウィン自体もちょっぴし揺らいでるところもあったみたいやのに、「優生学」的なものを取り巻く社会の要請に、「科学」からお墨付きを与えると言う、正直トンデモ科学的なお札にされたみたい。
当時は、DNAも発見されてなかったし、獲得形質が受け継がれるような認識もあったらしいし。
なんというか、オカルトのベースにユングが使われるようなところもあったわけか。
本の大半は、ダーウィンを枕に、社会と優生学の関わり合いの歴史を綴っている。
実のところナチスのやってることを理想と賛美してた方々と、その結果でこれはあかんねやとやっと気がついた人々。
科学的事実を、価値や倫理に置き換えてはダメ。
だが、社会はそれを道具にすることができる。
その通りやなあ。
じゃあこの先どうするかって話になってから途端に描きっぷりがウザくなってくる。道徳とか価値とか語ってるわけだ。
余計。
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めちゃくちゃ面白い!
「進化」を「進歩」と捉えたり,「最も強い者が生き残るのではない。最も賢いものが生き残るのでもない。唯一生き残るのは進化できる者である」という現代人が陥りやすい罠についての解説から始まる。
多くのページを割いているのは,ダーウィニズムから優生思想へとつながる過程と,その時代に生きる科学者の主張,また社会に漂う価値観。このあたりがとてもよく分かる。
特に,ヒトラーによる独裁政権下での暴虐が批判されることは,誰が見ても明らかであるが,「暴虐へと至る過程も分析しなければならないだろう」という姿勢はとても大切だなと思った。
「理由は何であれ、これだけははっきりしている。自由と正義に反する非人道的かつ差別的、強権的な制度は、強権国家でなくても、自由と平等を重んじる人々の手で、正義の名のもとに、民主的に実現しうるのである。」という筆者の警告は,胸に刻まなければならない。
そして,本書の結びにあるように,
「しかし同時に,善悪,正邪,矛盾入り乱れ,人それぞれに異なる心の混沌も,私には魅力的に映る。世界から悪が消えたら胸のすくようなヒーローの物語は二度と楽しめなくなるだろう。大切なのはむしろ,人それぞれに夢を持てること。それからもし置いたレンガの場所が誤りだったなら,その失敗を修正できることではないか。」という筆者の生命観、倫理観にとても好感がもてた。
一方で,遺伝的浮動,遺伝子プールなどの用語に対して注釈がないため,高校で生物を学んでいない方や,ベースとなる知識に不安がある人からすると,特に前半の内容は読みづらいかもしれない。
個人的には理系の高校生や大学生に強く薦めたい書籍であると感じた。
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物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
東大OPACには登録されていません。
貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
返却:物性研図書室へ返却してください
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新たな発見が多くあった。
心理を知ることが必ずしも幸福に繋がることではない、というのは心に響く。人間とは?自分とは?という壮大な問いを心に持って、地に足つけ生きよう。
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人類が神という存在を発明したのと同じように進化論は発明だと感じると思います。
進化の意味には退化も内包することを噛み砕くために、HGウェルズの『タイムマシン』を引用するくだりは最高です。
進化の意味合いがいつの間にか拡大解釈され、進化と進歩が同一視されていってしまう過程。進化論がやがて優生学と結びついていく社会現象。
納得感のある歴史の流れを紹介しながら、最後に導びく“呪い”の説明は人間がもつ道徳と感情でした。
この帰結が気になり調べたら不思議な関連を発見。
アダムスミス『道徳感情論』1759年出版
ダーウィン『種の起源』1859年出版
呪いをとくには『種の起源』と『道徳感情論』を読まねばならいかもしれません...
オカルトっぽい『ダーウィンの呪い』というキャッチーなタイトルでしたが流石の新書本でした。
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ダーウィンの言説はよく誤解されているといわれてきたし、私自身も誤解していたと気づいたのは大学に入ってからだった。筆者は「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」の3つを軸に、その由来と生まれた歴史的な背景を説いている。様々な人物が出てきて少し混乱する面はあるが、生物学の枠を超えて哲学的なアプローチにまで至ってくる。とても脳が刺激された。かつ優生学的な考えは現代でもゾンビのように蘇っていることを感じ、かつ今まさにトランプ政権においてアメリカ優位の考えと加速主義の融和が進むであろう現実を見るにつけ恐ろしさも感じた。
本を読めば、ダーウィン自身は「そんなこと言っていない」ことを改めて認識できるが、当時の状況からして彼が違う意見に理解する、寄り添うような言葉も残しており、それが第三者の記述によってダーウィンの言葉になっていった。自然選択と適者生存、獲得形質は似て非なるものだが、現代では混同されることが多いようだ。かつダーウィンの息子の活動は優生学寄りの活動をしている。歴史の皮肉を感じる。
クロポトキン対ハクスリー、ダーウィンジュニア対ジョサイア4世、ドブジャンスキー対マラーなど、生物学者、思想家らの思惑が入り混じった対決のドラマも読み応えがあった。「強いものが生き残るわけではなく、変化に対応できるものだけが生き残る」はクロポトキンの社会進化思想が背景あるとわかると、日本の人事院が、若手官僚に「種の起源」を勧める文句は皮肉でしかない。著者は、鮮やかな自己充足的予言の手際に拍手を送りたい、と評するが…
また時代が下ってからは、人種差別に反対した人物であっても優生学に理解を示す人物がいたり、リベラル左派も行き過ぎれば「よかれと思って」優生学を支持したりする人もいる。
個人的には統計学で有名なピアソンも優生学の支持者であり、ナチスに大きな影響を与えた点は知らなかったので参考になった。
動物の研究から導き出した科学的な事実を生物学にとどめるならよいのかもしれないが、社会性、文化性をもった人間の善悪、あるべき姿といった倫理的、道徳的な世界に入り込むととたん話しはおかしくなる。善悪を論じたくなる誘惑も理解するし、それは現代でも起きている。最後の章で取り上げられる遺伝子治療はまさにその世界だ。そして、ディープステートを信じる人がいるアメリカの動きからは目が離せないと感じた。
筆者は最後にこんな言葉でしめくくる。「生命は…最も美しく、最も素晴らしい無限の姿へと、今もなお、進化しているのである。」この言葉はもちろんダーウィンの言葉であり、他の人物が曲解したものではない。構成としてこれはよいですね。私も多少は呪詛が解けたと思う。
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進化の呪い、闘争の呪い、ダーウィンの呪い。進化論(学)、そして優生学についての過去と現在。今も優生学は陰に隠れているのかもしれない。
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そもそもダーウィンは進化という言葉をあまり言っていなくて、論文の最後の方に使っただけらしい。進化に対する誤解を解くという始まり方をした本だが、中身はかなり難解な優生学の議論。避けては通れない進化論の難しさ。「進化」という言葉の使い方に対して慎重にするように人々に語りかけるには、まあこれぐらいのボリュームは必要だと思う。労作。