時間的にも空間的にも科学的にも壮大な物語
2024/04/23 14:51
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
600ページ読んでまだ序章! これから起こる出来事について行くなら最初にこれだけ覚えといてくださいね、っていう感じの内容なのに徹頭徹尾飽きさせない作りこみって何なのさ?
文庫版で初めて読むので的外れなら申し訳ないが、異星人の侵略が主軸に物語が展開するのだろうか。1巻時点では地球の研究史、天文学、信仰心の発露について掘り下げられて、異星文明の興亡、開発史などなど、科学やSFのことはサッパリだが、とにかく広範な分野に渡って濃密な描写がされていることだけはわかる。タイトルは「三体」だが、今のところ作中に言及される架空の理論「象徴としてのコンタクト」に重きを置かれているようにも読めた。異星文明の存在を知ること自体が多大なリスクを孕んでいる――果たしてお互いの存在を察知した人類文明と三体文明はどうなっていくのだろう。読み終えて早速続きがきになった。
第二部まではVRゲームの設定が荒く見えて、少しばかり退屈するかもしれない。ただ、ゲーム性のなさ自体にもちゃんと意味があると第三部でわかってくるので、どうか堪えて読んでみてほしい。
ここから始まるのか
2024/11/01 23:40
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投稿者:ヤマキヨ - この投稿者のレビュー一覧を見る
手にずっしりの文庫本。
SFなのになぜか冒頭の舞台は文化革命まっただ中の中国。ここから三体IIIのラストの壮大なスケールまで物語が展開していくのは驚きしかありません。
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投稿者:ムギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく話題になった本だということで読んでみた。普段SFはほとんど読まないし映画も見ない。どちらかというと苦手であったが、この作品は抵抗感なく読み進められた。三体という名前のゲーム世界の話と現実世界の物語、登場人物の過去の物語に最後には異星人の物語まで、次々と展開が進むが、章立てが細かく、置いてきぼりにならずに読みやすい。キーとなる三体問題についてはイマイチ理解できたかといわれると微妙だが、それで投げ出さないくらい物語として魅力的だった。
異次元の面白さの傑作SF。
2024/04/28 10:11
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
異次元の面白さの傑作SF。「三体問題(三体運動)」を巧みに活用したVRゲーム“三体”の奇妙な世界観に引き込まれる一方で、現実社会では諜報戦を思わせるミステリアスな展開が進行。二つの流れが一つに収束し始めると、地球外知的生命体との関連が見え隠れし始める。終盤には諜報戦を思わせる活劇を経て、遂に地球外知的生命体の登場。3巻に及ぶ長編SFの導入部に相当する作品ながら、この巻だけでも十分に楽しめる構成になっている。地球外知的生命体との具体的な駆け引きが中心になるとみられる次巻以降が待ち遠しい。
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投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからして三体問題の話かと思ったら果たしてそうでした。
人類が地球外文明とのコンタクトを目指す、先駆的なSETI的プロジェクトの物語が進行する。1970年代におけるそれは文化大革命によって頓挫したかに見えたが、送信した電波は止まることなく宇宙を飛び続けていた。そしていつの間にか人民解放軍とNATO軍合同による、地球に向かって来る宇宙船団を迎え討つため作戦本部が始動している。一方で地球最高の学者たちが「三体」というソーシャルゲームに次々に勧誘され、そこに参加することで三体の謎が徐々に明かされていく。
人類防衛のプロジェクトと、ネット上のゲームの関係もまたサスペンスタッチで明かされていくのも面白いが、惑星文明間のコミュニケーションが、通信レベルでは光速で行われ何年かの単位となり、さらに実際の物理的な移動には数百年がかかるという、タイムスケールが二重のズレが、人間の社会生活とや感覚とのギャップとなって、理屈では分かったつもりだったとしてもこうして描かれてみるとやはり面白い。さらに人類も三体人もそれぞれ一枚岩ではなく、さまざまな意見や勢力がいて、複雑な対応が並行して進んでいく。
地球外文明が、人類よりはるかに進歩した神のごとき知性とすると、E.E.スミスの「レンズマンシリーズ」のアリシア人やエッドール人や、A.C.クラーク「幼年期の終わり」のように宇宙やその文明を導いていくような存在か、T.M.ディッシュ「人類皆殺し」のように人類など歯牙にもかけずに滅ぼしていく存在が考えられる。これが人類より少し進歩した文明だとすると、「マクロス」のゼントラーディや、「イデオン」のバッフ・クランのように好戦的な存在だったり、地球への移住を希望して交渉してくるバルタン星人のような可能性もあり、その文明が地球からどのくらいの距離のどんな環境にあるかというのも根本的な問題だ。
登場人物の中で無骨で柄が悪いが勘が鋭いテロ対策スペシャリストの刑事が、こういうの見たことある、ダーティーハリーかブルースウィルスのようなキャラで、ハリウッド的な演出の面白さかもしれない。
で、肝心の宇宙人=三体人は、なかなか登場しない。とにかく地球上の勢力争いが大変で、なかなかそこまで話が進まず、最後の方にちょこっと出て来るだけ。それで、この続きの第2部もそういう感じらしいので、もうそこは飛ばして次は第3部を読んじゃうことにしようかと思います。
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国のSFが面白かったです。三体の意味が最初はわかりずらかつたが、読むうちに数論の三体問題であることがわかり宇宙人である三体人と地球人の未来の話につながるところが面白いと思いました。続きがあるので読み続けていきたいと思います。
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さすが、話題になった作品だ。初っ端からグイグイ来る。
「〇ページ毎に場面を転換しろ、〇ページに一回は事件を起こせ。読者を飽きさせるな」と、かつてベストセラー小説の書き方を指南したのは誰であったか(クーンツかな?)、内容が面白いだけでなくスピーディーな展開に引き込まれる。
作品の良さに加えて訳文も良いからなのだろう、非常に読みやすい。
読み慣れない登場人物の名前が覚えづらかったが、さすがハヤカワ書房。
登場人物表を挟み込んでおいてくれるとは、気が利いている。
(半分ほど読み進むまでその存在に気づかなかったのが残念だ)
目立つピンク色の紙なので、これを栞にすればよかったのか。気づくまで新刊案内を栞にしてしまったぞ。
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人類に絶望したウェンジェ、ナノマテリアルの研究者にして人類の危機に立ち向かうワン・ミャオ。三体問題に命運を左右されることになる人類の行く末に熱中して読んでしまった。
読了後、語彙の無さからようやく出した言葉としては「スゴい…」だった。
これから迫りくる人類の危機にどう立ち向かうのか、まだエピローグ的な展開なのにこれだけの重厚感。
天体物理学やら、様々な学問の概念があり、理解ができないことも多い。しかしSFは自分の専門外のことも楽しむことができれば、世界観含めて興味深くある。良い意味で中国×SFの組み合わせはこれまであまり認知してなかったけど、ぶっちぎりに面白いので文庫待たずに(1ヶ月後くらいに文庫出る)単行本にいくか迷いどころだ。
オバマ、ザッカーバーグなんかも称賛する稀代のSF小説だった。
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面白かった。壮大な世界観で描かれており、出てきた物理法則も全くわからなかったもののSFとしてすごい面白かった。
三部作の最初であるものの、舞台は主人公の一人である葉文潔の幼少期の文化大革命から始まり、現代世界、そして、ゲーム上の「三体世界」と隣の恒星に存在する三体世界。舞台がわかるにつれて、前の章の意味もわかるようになり深みが増す構成だった。文潔が負った心の傷が人類の存亡をかける異世界間の関係に発展していくのが面白かった。異世界の力によって地球人の更生を願うのが面白い反面現実に対しては絶望しており、共感できてしまった。
また、もう一人の主人公である汪淼の研究が世界を救そうな気がして次巻の展開も楽しみ。
ただ、三体世界の文明であっても文化人的な人がいる理由は何なのだろうか。存在することが意義であるとしているのなら、文化が残ったのはただの偶然?残り香的なものにすぎないのかな。
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中国の史実、物理学、SFがミックスされて重厚で難解なストーリー。とても重いのに、展開が早い。壮大でリアルな世界観。振り落とされないように必死で読んだ。三体星人て本当にいるのでは…と思ってしまうほど細部まで説得力がある。
ずっと気になっていた本で、文庫版が出てやっと買えました。中国人作家の作品は初めて読むので、理解が追いつけるか不安だったけど、そんな心配は全く無用でした。
今後どんなふうに展開されていくのか、期待大!
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面白かった!
人間が人間に絶望した結果、三体人の侵略が始まる。
文化大革命というものの恐ろしさも良く分かるし、絶望に至る説得力がとてもある。
とはいえ、王さん、史兄の登場から面白さが加速する印象なので、あとがきの通り少し飛ばして読んでもいいかも。
VR三体は小説ならではの読み手の想像でどえらいことが起きてるって思わせる表現満載で、それが後半の三体人たちの話に繋がるのは読んでいて面白い部分だった。
あくまで序章って感じなので続編にも期待!
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文庫化、ということで、SF初心者でしたが思いきって購入。
物理とか科学とか宇宙とか、専門的なことは正直…わからなかった…。
けれども、その壮大な背景にある真実に読書中何度も驚いた。
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去年話題なった中華SFの大作。文庫になったんでようやく読んだ。
テセント版のドラマを序盤の数話まで見た状態で読み始めたのだが、ドラマに
比べてそのテンポの良さに驚く。そこそこボリュームのある本だがさくさく話
が進んでいく。展開が早すぎて終盤の展開なんかはもっとゆっくりで良いのよ。
と思うぐらい。
内容はスケールのでかさ、科学とトンデモの絶妙なバランスといいSFを読んで
るぞという実感が心地良い。
久しぶりの小説だったけど、良いリハビリになった感じ。
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とんでもないスケールのSF小説で、書かれている事はかなり難解なんだけど、ぼんやり理解しても先に進める。
予備知識ゼロで読み始めて、戦争とか陰謀とかの話かななんていう予想をかなり大きく越えられてて、宇宙まで行っちゃった。SFと言われると、スターウォーズを思い出すが、話の作り込みの奥深さで言えば、大きく三体が上回っている…という個人的な感想です。スターウォーズも好きなんですが。
文庫本で読みたいという我儘のため、続きを読むのが少し先になるけど、それが毎日のモチベーションになるくらい面白かった。
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あらすじは、鴨が概要を紹介するまでもないと思いますので、省略。
鴨はこちらの原作を読む前に、テンセント版ドラマを30話まで鑑賞済みです。SF者としてこの作品の世界的な反響の大きさと大体の内容は事前に理解しており、ある程度の基礎知識を持った状態でテンセント版ドラマを鑑賞し、その上で原作を読んだ感想であること、まずはご了承ください。
思った以上に、ゴリゴリ正統派のハードSFでした。
しかし、それ以上に印象に残ったのは、一人の女性の絶望。狂気と紙一重の、絶望。
テンセント版ドラマでの描写も十分「ハードSF」と呼べる水準ではあります。が、科学的な裏付けをドラマ中では詳細に説明しないので(正直、かなりストーリー展開が冗長でしたので、あえて説明をカットしてイメージで伝える戦略を取ったのだろうとは思います)、SFの重要な要素である「科学的にうまく嘘をつく」その嘘のつき方の上手さがドラマだけではよく理解できず、原作を読んで「なるほど、こういうことだったのか・・・!」と膝を打つこと多々。”智子”の開発過程は、ドラマ版では割愛されていますが、これ映像化したら最高にエキサイティングだろうな〜と思ってしまう、SFとして「絵になる」描写が原作には満載です。
と、SFとしてのレベルの高さはもちろんのこと、やはりこの作品の特徴として挙げるべきは、中国の近現代史と容赦なく密接に絡み合わせた、登場人物の内面描写。
冒頭の文化大革命の激しい描写は、これよく中国で出版できたな、と思うレベル(中国出版バージョンは、順番が変えられているとのこと)。この冒頭シーンと、中盤の印象的なシーン・・・社会復帰した葉文潔が、父を撲殺した元紅衛兵の3人を呼び出して謝罪を求めるが、3人は謝罪する余裕もないぐらい貧困に喘ぐ「ただの人」だという事実に直面するシーン。どちらもドラマ版では描かれていません(というか、「描けなかった」というのが本当のところでしょう)が、このシーンを読んで、鴨は初めて、葉文潔の真の思い、人類社会に対する底なしの絶望と破壊による昇華への思いを理解できたような気がしました。
自分が始めた活動が、どんどん当初の思いとは異なる方向に暴走していく現実を目の当たりにしても、葉文潔が止めようとしなかったその無力感も、何となくわかるような気がします。
さて、そんな心に染みる第1作ではあるのですが、これは長大な物語の第一部に過ぎず、すべてのきっかけを作った葉文潔は、実質的にこの作品で姿を消します。
第二部以降は、さらに直球王道どストライクの侵略ハードSFになることは、火を見るよりも明らか。SFを初めて読んだ子供の頃に戻って、ワクワクと読み進めたいと思います!