ハヤカワなのでミステリかと…
2016/06/24 17:33
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投稿者:ひややっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユニークな設定なのは読み始めでわかりましたが、てっきりミステリなんだとばかり思って読んでいました。冒険小説といってもよいのかも。人の気持ちを理解できない、クリストファーと彼を大切に思う家族を含めた普通の人々。クリストファーは彼のままですが、大きく大きく生活の幅を広げていけるのだということが伝わってきました。適切なサポートは必要ですが。クリストファーの世界の感じ方が理解でき、自分の中の新しい窓が一つ開いたような気分になりました。
地下鉄に乗ることは難しいこと
2017/07/18 17:14
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投稿者:トマトのへた - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてのことは怖くて簡単にはできない。でも怖いことを始めるよりも、一度決心したことをやり抜くことはもっと難しい。
ひととうまく付き合えないクリストファーは探偵となって犬を殺した犯人を探す。それは「初めてのこと」であり、そして彼はそれをやり抜く。
簡単そうで難しいことを教えてくれる一冊。
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ですます調やったり、じゃなかったり、使い分けがうますぎて、これは感情移入するしかないやろ。愛情が溢れてる。
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海外ドラマ「グリー」にハマって以来、行く予定もまーったくないのにブロードウェイで今なにやってるか見てたり、トニー賞とか気にしてたりして、昨年そのトニー賞をとったってことでこの作品も気になっていて。(たしか、わがアイドル、ダレン・クリスも見にいっててブロードウェイ版で主演だったアレックス・シャープと仲よさげにしてたんじゃなかったっけ。どうでもいいが!)
で、予想以上にすごくおもしろかった!
発達障害のある少年が、隣家の犬が殺される事件に巻き込まれたり、ひとりでロンドンまで電車に乗っていったり、っていう、ミステリで、冒険モノで、成長物語で。わたしは途中で意外な展開に、下手なミステリなんかよりずっと驚いた。文章にユーモアがあって、少年の普段の生活ぶりなんかも楽しいし、はさまれる科学や数学の高度な話もわからないながらなんだか素敵だなーと思ったり。
あと、少年が通ってる特別学級の先生がいい先生だってことがよくわかって、こんな先生に指導されていてよかった、とか。
ラストで、もっと奇跡みたいな感動的なことが起きるのかな、と予想したけど、それほどでもなくて、なんだかひょうひょうとした感じで終わったのもすごくよかった。
これ、舞台化されるといったいどんな感じなんだろうー。見てみたかった。ブロードウェイで主演だったアレックス・シャープは写真でみただけだけど、クリストファーっぽかったな、と。
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父親すごく辛抱強いけど他のところで爆発しちゃってるし、母親も常に気を張っていっぱいいっぱいだし。両親とも、自分を擦り減らしながらギリギリのところで暮らしてる。それでもクリストファーのことを当たり前に認めて向き合おうとしてるのが、なんかもうたまらなかった。
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表紙とタイトルだけで衝動買い。
ミステリと数学の要素を取り入れた、少年の冒険小説。
主人公の少年の心理描写が絶妙。共感せずにはいられない。
ごく普通の都市での冒険が非常にスリリング。
これは買って良かった!
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こちらでフォローしている方の感想にひかれて読むことに。とても面白かった。わたしが知らないだけで、話題になっていたのだろうか。タイトルから軽いミステリかと思っていたが、こういうお話だったとは。
アスペルガー症候群の少年が書いたものという形をとっている。「普通の人」による妙な意味づけや解釈抜きに、彼の精神世界が開示される点がとてもいいと思った。傍目には奇妙だったり困惑させられたりする行動の一つ一つが、彼にとっては必然性のあることなのだ。読み進むにつれ、それが胸に落ちてくる。さらに、彼を深く混乱させる大量の情報に常にさらされて平気でいるわたしたち自身、ある意味では異常なのではないかという気がだんだんしてきた。
いや、そう言う自分だって、最初から「平気」だったわけではないはずだ。試行錯誤して大なり小なり失敗しつつ、この世界と何とか折り合ってきたわけで、彼の混乱や苦しみはまったくの他人事とは思えない。障碍者を無垢なものとして描くという類型に陥ることなく、そうした共感を呼び覚ますところがとても優れていると思う。
だから、「アルジャーノンをしのぐ感動作」とか「少年の成長を描く」とかいう惹句は、ちょっと違うんじゃないかなあ。
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タイトルの通り、夜中に犬が殺害された事件を解明していく物語。
犬殺害が一冊の物語として成立するのか、というところだが成立する。なぜねら、この作品は犬殺害事件の犯人が誰なのかというところが重要なのではなく、誰がこの物語を書いたのかが重要だからだ。
この作品はクリストファーという少年が書いている、という設定。このクリストファーはいわゆる発達障害の少年。
そのため、他人の心情を理解したり想像したりすることが困難である。自分の中にある規則を守って生活していたいクリストファーは、周囲の人々と円滑な関係が保てない。
こういうクリストファーがある夜に殺された犬の死体を発見するところから物語ははじまる。
この作品には章題として番号がついているのだが、その番号は“2”からはじまる。
2、3、5、7、11、そう、この章題は『素数』でついている。
こういったところからもクリストファーが一般的な物の捉え方をしないことがわかる。
「アルジャーノンに花束を」のように文章自体にもクリストファーの特徴が表れている。
クリストファーの行動にはクリストファーにとっては正当な理由や動機がある。しかしその理由や動機を知らない人には。なぜ突然クリストファーが叫んだり暴れたり、暴力を振るってくるのかはわからない。クリストファーが、周囲の人々がなぜ自分の嫌がることを突然してくるのかがわからないのと同じだ。
この作品の著者マーク・ハッドンは、こういった障害のあるひとと関わった経験があるため、文章からこの障害を伝え、互いに理解出来ないために起きる苦悩を緩和させる一助となる。ダニエル・キースによって多重人格などで苦しむ患者と理解出来ずに戸惑う周囲との橋渡しがなされていたことと同じように。
モンティ・ホール問題(p108)なども出てくる。
これは知っているかたもいると思うが、確率についての問題で世界中の知識人でさえ間違えた問題をマリリン・フォス・サバントという女性ひとりが正しく答えたというもの。わたしもはじめて知ったときは驚いた記憶がある。
これ以外にも数学の証明問題など、クリストファーが特定の事柄に強いこだわりがあることなどが描かれている。
障害の中でも目に見えてわかり想像もしやすい身体障害に比べ、見てわからないところへ理解しがたく想像しにくい精神面や脳内の障害は偏見も生まれやすい。そういった障害は本人は勿論、家族の辛さは測り知れない。
難解な病名や症状、病態生理のようなことの書かれた専門書からでなく、読みやすくわかりやすい小説という形で知っていくというのは大きな意味がある。
それほど重要ではないがタイトルにもなっている犬殺害事件もきちんと解明されているため、ミステリーとしても問題ない。
クリストファー少年の冒険と活躍を愉しめると共に、最近話題になっている障害への理解にも繋がる一冊。
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クリストファー少年はある夜、道を挟んで斜め向かいの家で飼われている友だち=ウェリントンという名の犬が、横たわっているのを見つける。家を抜け出して、傍まで行ってよく見てみるとウェリントンは大きなフォークのような道具で刺されて死んでいた。
クリストファーは素数が好きだが、黄色と茶色が嫌いで、赤色は好き。決められた時間に決められた行動をするのを好み、人ごみや、人に触られるのは大嫌い。言葉を使わないで喋る、つまり人の表情も理解するのが苦手。でも、数学は大好き。
そんなクリストファーはシボーン先生から「自分が読みたいと思うようなものを書きなさい」と言われたので、自分の好きなシャーロック・ホームズの小説のように、ウェリントンを刺して死なせた人を探すミステリ小説を書くことにした。
それがこの本だ。
人とのコミュニケーションを取るのが困難な発達障害を持ったクリストファー少年が、犬の死をきっかけに、その犯人を探すために周りの人に話を聞いていく、そして少しずつ彼らが嘘をついていたという事実を知っていき、パニックに陥り、そのパニックから逃れるために、大きな冒険(クリストファーにとっては)に出ていく話。それを発達障害を持ったクリストファーが書いた本という形で読んでいくことになる。
最初はクリストファーの奇妙な考え方や行動にちょっとビックリしたり、笑いそうになる。しかし、クリストファーが「冒険」に出発しだす頃からは、なんとか彼がその冒険をやり遂げて欲しいと応援するようになる。
勿論、読者がそんなにヒヤヒヤしながら、頑張れと思いながら、読んでいるということは、他人の感情を読み取ることが難しい彼には伝わらない。きっと、頑張ってと彼の手を握ろうものなら、クリストファーは大声で「さわられたくない」と言って逃げ出すに決まっているのだ。
でも、応援したくなる。そういう本だ。
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いきなり、なぜか2章から始まり焦る。あれ?ページ抜けてる⁇と確認してしまった。発達障害の少年が主人公で、その子が素数が好きで章の構成が素数になっているという。
発達障害の人が普段、どう見えてどう考えてているのか、少しだけ垣間見れた気がする。
ただ途中、脱線ばかりで飽きてしまった。それも仕方ない事とは分かってはいるのだけれど…
2017.4.8…10
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『ブリズン・ブック・クラブ』で取り上げられていて手にした。
アスペルガーの主人公クリストファーの語り口が面白い。何を気にし、何を恐れ、何に惹かれるのか。なぜ、そのように振舞ってしまうのか。理解されないことを、どう受け止めているのか。ノイズに満ちた都会での冒険を、どう乗り切るのか。
大人たちはそれぞれにギリギリで辛抱しながらも、クリストファーを愛しており、そのぎこちなさがまた彼を傷つけ、守りもする。
終盤、残りの紙幅がないのに、こんなにバラバラになってしまった状態からどう収拾をつけるつもりなのかとハラハラしたけれど、納得の展開で事態はまずはまとまったのであった。よかった。
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図書館で。
何かの障害があり、特別支援を受けている主人公視点で書かれる物語。すごいなぁ。こんなことを言ったら失礼かもしれないけれども違う生物みたいだ。同じ人間ならある程度こうすれば意図が伝わるだろう…という考えが通じない相手って大変。
文化の違いでも何が失礼で何が尊ばれる行動なのかは変わって来るのでそれこそ大航海時代の人々は本当に未知の土地で物凄いカルチャーショックを受けたのかもしれない。
とは言え、彼の言葉を額面通りに受け取るのもちょっと違う気がするなぁ。言葉にはしないけれども母親が死んだと聞かされた時には寂しさや喪失感を覚えたのかもしれない。父親に対する感謝や愛情も失われていないのかもしれない。ただそれを他の人と同じような態度や言葉に表さないからと言ってそう言う感情が無いとも言えないよな、とは思いました。
そして…正直、この息子は大変だなぁ…。取扱説明書通りに扱ってれば良いのかって言われたらそうでもないだろうし… 両親の苦労がしのばれます。まあだからこその家族なのかもしれないけど。
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ナショナルシアターライブで劇を観て、原作が気になったので読んだ。サヴァンシンドローム?の男の子が主人公で一人称の小説。世界の見方が違ってる感じを地の文で表現していてすごく面白い。読みながら、頑張れ頑張れ!と応援したくなる。舞台版はそれを見事に表現しているのでおススメです。
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リーダブルの最たるもの。
読者を選ぶかもしれないが理系センス的なものが好きな方には勧めたい。
原著が英語なのにめっちゃリーダブルなので思わず翻訳もかってしまったが、訳も良いのだと思う。
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発達障害の15歳の男の子が主人公。
タイトルや序盤の展開からミステリなのかな?と思ったけど、クリストファーの成長?というか冒険?のような話だった。
発達障害の子の周りからみれば突飛な行動も、こうやってクリストファーの内面を読んでみるとなるほどそういうことなんだなぁと彼らのことが少しだとしてもわかったような気がした。
いろんな人がいるだろうからこういう考えの人ばかりではもちろんないんだろうけど彼らなりのちゃんとしたルールがあるんだろうなあ。