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一刀斎夢録 みんなのレビュー

  • 浅田次郎 (著)
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みんなのレビュー14件

みんなの評価4.4

評価内訳

  • 星 5 (8件)
  • 星 4 (6件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
8 件中 1 件~ 8 件を表示

一刀斎夢録 上

2024/03/17 21:16

一刀斎夢録

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ミミン - この投稿者のレビュー一覧を見る

浅田次郎先生の幕末、新選組をテーマした作品群の最期を飾る力作だと思う。
今回は、新選組3番隊長にして戊辰戦争を経て、明治を生き抜いた数奇な運命をもつ、一刀斎こと斎藤一の語る様々なエピソードをメインにした歴史小説。
特に、坂本龍馬の暗殺のエピソードなど、1つ1つが短編小説になりえるような事が、
一刀斎のキャラクター・真剣の剣士の視点から淡々と語られ、私のみならず思わず引きこまれてしまうのではないでしょうか。

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一刀斎夢録 下

2016/11/23 00:42

数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

“凄味”のある本でした。『壬生義士伝』(2002)では、吉村貫一郎(南部藩を脱藩した下級武士)という存在はしたらしいが実像は不明な人物を主役とし、『輪違屋糸里 上・下』(2007)では、京都の島原の太夫・糸里ほかの女性たちの視点から、新選組を描いてきたが、本作の主役は永倉新八(松前藩士)同様、実在したばかりか後年まで生き残った数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。このように実在の人物なので、浅田次郎が資料とした取材資料も数多くあったのだろうとは思うが、それにしても資料として記録されていない部分を補いつつ文庫版にして約880ページに及ぶ文章を作り上げる想像力は“凄い”の一言では片づけられないですね。見る人によっても異なる一人の人間の生き様を、如何にも“真実”の生き様のように浮かび上がらせてくれるのだから圧倒される。また、齋藤一という人物を通じて、武士社会が崩壊する中で苦悩した一つの時代、その中で都合のよい暗殺集団として機能させられた新選組の姿も浮かび上がってくるのだから興味が尽きない。さて、物語の主題は、齋藤一の語る「剣の奥義」とは何かという点に収斂してくのだが、この点に関しては、私には少々難解で結論としては消化不良となってしまった。とは言え、面白いことには変わりはない。

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一刀斎夢録 上

2016/11/23 00:41

“凄味”のある本でした。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る

“凄味”のある本でした。『壬生義士伝』(2002)では、吉村貫一郎(南部藩を脱藩した下級武士)という存在はしたらしいが実像は不明な人物を主役とし、『輪違屋糸里 上・下』(2007)では、京都の島原の太夫・糸里ほかの女性たちの視点から、新選組を描いてきたが、本作の主役は永倉新八(松前藩士)同様、実在したばかりか後年まで生き残った数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。このように実在の人物なので、浅田次郎が資料とした取材資料も数多くあったのだろうとは思うが、それにしても資料として記録されていない部分を補いつつ文庫版にして約880ページに及ぶ文章を作り上げる想像力は“凄い”の一言では片づけられないですね。見る人によっても異なる一人の人間の生き様を、如何にも“真実”の生き様のように浮かび上がらせてくれるのだから圧倒される。また、齋藤一という人物を通じて、武士社会が崩壊する中で苦悩した一つの時代、その中で都合のよい暗殺集団として機能させられた新選組の姿も浮かび上がってくるのだから興味が尽きない。さて、物語の主題は、齋藤一の語る「剣の奥義」とは何かという点に収斂してくのだが、この点に関しては、私には少々難解で結論としては消化不良となってしまった。とは言え、面白いことには変わりはない。

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一刀斎夢録 上

2015/08/24 20:40

斎藤一伝の最高傑作

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:プチトマ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ラストに近い西南の役の回想は心に重くのしかかる。
明治になってまで生き残らざるをえなかったのは、
ここで死ねなかった責務からか。

新撰組を描くなら斎藤一を軸に据えるのは有り。
ただし浮き上がってくるのは新撰組の暗い「裏面」と
それを飄々とこなした斎藤の居合。

氏の与えた冷酷なキャラクターは、長年の史実に則った斎藤ファンをも
充分唸らせる隙のなさ。
だから会津戦争後も生き残り、西南の役でも斬りまくって生き残った
唯一の隊長だったわけもわかる。
それらを毎夜の回想で語らせるとは秀逸な設定。

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一刀斎夢録 上

2014/02/10 10:00

誰が呼んだか一刀斎。あの斎藤一が滔々と語る新撰組。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

これまで「新撰組を」語った物語と言うのは数多く出版されてきたし、浅田次郎氏もいくつか書かれていたし、私もいくつか読ませて頂いた。しかし、新撰組隊士がここまで新撰組を語りつくした物語と言うのは、終ぞ記憶が無い。しかもその語り手が、剣の腕ではあの沖田総司をもしのいだのではないかと言われた鬼の三番隊隊長、斎藤一だというのだからすごい。あの斎藤一が、400ページ以上の作品中で滔々と近藤勇や土方歳三、沖田総司から平隊士の面々までを、斎藤一目線で、語りつくすのだ。もうここまで聞いても、読まない手は無いと感じられるのではなかろうか。そしてもちろんあの鳥羽伏見の戦いであったり彰義隊の事実であったり、御一新等の史実もその本人の口から語 られる。何とももう、鼻息荒くなる内容。
しかしこれ、本当に難しいテーマ・・・というかようこんな物が書けたものだと、心の底から感心させられた。さすが、というのは簡単だけれど、ちょっと信じられないくらいすごい。もちろん本人にインタビューしたわけでもなし、それでこれだけ本人に話させると言うのは、どれほどの調査と取材を重ねたら出来るのか・・・。それでも色々と恐ろしくて、中々上梓出来る物では無いのではなかろうか。
果たして、私は多分浅田作品は全て読んで来たと思われるが、その中でも最も重厚で濃密な作品と感じた。蒼穹の昴より天切り松シリーズより、密度の濃さは上と感じる。作品の数行数ページがこちらを圧してくる圧力が、あまりに強い。幕末のあの頃、いや新撰組に少しでも興味があるならお手に取られるべき。間違いなく斎藤一とともに、濃密な時間が過ごせる事をお約束する。

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一刀斎夢録 上

2013/10/23 21:32

さすが浅田さん

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nobby - この投稿者のレビュー一覧を見る

とにかく面白い。
浅田さん好きなら読むべし!

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一刀斎夢録 下

2016/12/27 21:02

浅田先生のダンディズムここに極まれり

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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る

市村鉄之介は斎藤一のコピーではなく 鏡のような存在だったように思う。共に寒々しい家庭に育ち 剣に生き…。その鉄之介に剣を教えたのは他ならぬ斎藤だった。同じように相手を生かそうとし、自らに引導を渡そうとし。だが鏡が対峙した時 生と死がはっきりと別れた。生き残った者は鏡の生き様の語り部になるのは必定だったのだろう。私の中の漢が震えた一冊。

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一刀斎夢録 下

2014/02/28 19:18

また凄まじい作品をお書きになられたものだ・・・

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

大政奉還がなされてご一新となり、戊辰戦争から西南戦争が勃発した、まさに混沌としたあの時代。教科書でサラリと読んでも、官軍賊軍の何がしかすらはっきりと理解出来ない。西郷隆盛や山縣有朋、大久保利通にもちろん新撰組。一体どっちが官軍で誰が賊軍なのか、時代が動くと共にうつろう不安定な世の中。
そんな時代を、当事者の言葉で綴っているのがこの物語。それもかの新撰組三番隊隊長、斎藤一の口をしてだ。あの場面であの戦で、何を考えどうしてそのような行動に出たのか。なぜ、斬ったのか殺したのか。もちろん綿密な調査を元にした、事実もあるのだろうけれど、それだけでは到底この物語は生み出せるはずは無い。この時代への深い思いと理解、そして新撰組への果てしなき愛情がなければ書けるものではない。いやそれでもこんな物語を、一体全体どうしたら編み出せるというのだろう。凄いと思うのを通り越して、不思議にさえなってしまう。事実を並べただけの学術書、では決して描けなかったはず。小説、物語、であるから出来た奇跡の一冊と言っていいと思う。小説の面白さをまた改めて痛感させられ、また感謝の念すら覚えさせられた。
何せ浅田氏が文字通り、精根こめて命を削って綴ったに違いない事が読むほどに伝わってくる。浅田作品は全て読んで来たけれど、この作品ほど文章間から立ち上る、「気配」の強い物は無かったと思う。それはいつも「人を思う」気持ちだった。「生きろ」と思う気持ち。そして、「死ね」という強い念。「生きたい」という気持ち、「死にたい」と思う気持ち。様々な凄まじい「気」が、文章間から立ち上ってくる。また各章を括る一文にも、毎度ばっさりと切り落とされた気分になる。それまで濃く深く語られて来た新撰組、そしてご一新の時代の物語を、最後の最後に少しだけすっと力を抜くように、しかしまさに斎藤一の初発刀一閃のように、素晴らしい切れ味で斬り結ぶ。文章の、いや1文字1文字の隅々に極限まで、気と根とを詰め込んだ作品に違いないと思います。素晴らしい作品を読ませて頂きました。心から感謝。

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