一刀斎夢録
著者 浅田次郎 (著)
「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」――最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!
一刀斎夢録 下
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一刀斎夢録 上
2024/03/17 21:16
一刀斎夢録
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミミン - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田次郎先生の幕末、新選組をテーマした作品群の最期を飾る力作だと思う。
今回は、新選組3番隊長にして戊辰戦争を経て、明治を生き抜いた数奇な運命をもつ、一刀斎こと斎藤一の語る様々なエピソードをメインにした歴史小説。
特に、坂本龍馬の暗殺のエピソードなど、1つ1つが短編小説になりえるような事が、
一刀斎のキャラクター・真剣の剣士の視点から淡々と語られ、私のみならず思わず引きこまれてしまうのではないでしょうか。
一刀斎夢録 下
2016/11/23 00:42
数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
“凄味”のある本でした。『壬生義士伝』(2002)では、吉村貫一郎(南部藩を脱藩した下級武士)という存在はしたらしいが実像は不明な人物を主役とし、『輪違屋糸里 上・下』(2007)では、京都の島原の太夫・糸里ほかの女性たちの視点から、新選組を描いてきたが、本作の主役は永倉新八(松前藩士)同様、実在したばかりか後年まで生き残った数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。このように実在の人物なので、浅田次郎が資料とした取材資料も数多くあったのだろうとは思うが、それにしても資料として記録されていない部分を補いつつ文庫版にして約880ページに及ぶ文章を作り上げる想像力は“凄い”の一言では片づけられないですね。見る人によっても異なる一人の人間の生き様を、如何にも“真実”の生き様のように浮かび上がらせてくれるのだから圧倒される。また、齋藤一という人物を通じて、武士社会が崩壊する中で苦悩した一つの時代、その中で都合のよい暗殺集団として機能させられた新選組の姿も浮かび上がってくるのだから興味が尽きない。さて、物語の主題は、齋藤一の語る「剣の奥義」とは何かという点に収斂してくのだが、この点に関しては、私には少々難解で結論としては消化不良となってしまった。とは言え、面白いことには変わりはない。
一刀斎夢録 上
2016/11/23 00:41
“凄味”のある本でした。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
“凄味”のある本でした。『壬生義士伝』(2002)では、吉村貫一郎(南部藩を脱藩した下級武士)という存在はしたらしいが実像は不明な人物を主役とし、『輪違屋糸里 上・下』(2007)では、京都の島原の太夫・糸里ほかの女性たちの視点から、新選組を描いてきたが、本作の主役は永倉新八(松前藩士)同様、実在したばかりか後年まで生き残った数少ない新選組生き残りの“齋藤一”自身が過去を語るという形なのだから凄い。このように実在の人物なので、浅田次郎が資料とした取材資料も数多くあったのだろうとは思うが、それにしても資料として記録されていない部分を補いつつ文庫版にして約880ページに及ぶ文章を作り上げる想像力は“凄い”の一言では片づけられないですね。見る人によっても異なる一人の人間の生き様を、如何にも“真実”の生き様のように浮かび上がらせてくれるのだから圧倒される。また、齋藤一という人物を通じて、武士社会が崩壊する中で苦悩した一つの時代、その中で都合のよい暗殺集団として機能させられた新選組の姿も浮かび上がってくるのだから興味が尽きない。さて、物語の主題は、齋藤一の語る「剣の奥義」とは何かという点に収斂してくのだが、この点に関しては、私には少々難解で結論としては消化不良となってしまった。とは言え、面白いことには変わりはない。