陰陽師 みんなのレビュー
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陰陽師
2002/09/02 18:26
いつか晴明神社にお礼参りに行きたいです
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナオコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、私が心から感謝している一冊です。私は、高校推薦受験の時、先生方から「愛読書について面接で聞かれることが多い」と聞き、困りはてました。受験に向けてどんな本を読めば良いのかわからなかったのです。周りの人はその頃流行だった「五体不満足」を読んでいました。確かに、五体不満足はすばらしい本です。でも、受験者の多くがそれについて言うほど五体不満足は流行っていました。だから、面接で愛読書を問われたとき私はあえて「陰陽師」と答えました。理由は友達の大切さを教えてくれるから。それに、私は小学生の頃から平安時代が好きで、安倍晴明は関連書籍を買いあさるほど大好きだったからです。私は推薦受験に見事に合格し、今は第一志望だった高校に通っています。私の地元はものすごく田舎で、当時晴明を知ってる人は殆どいませんでした。でも家から遠い高校に入学してからは晴明仲間がいっぱい出来ました。現在、友達と安倍晴明な毎日を送っています。中学のとき学校嫌いだったのがウソのように、今は学校に行くのが楽しみでなりません。
陰陽師
2003/04/22 00:58
もっと早くに読めばよかった!と思う本です
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和音 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画の「陰陽師」を見た後だったので、読んでいて頭の中での晴明と博雅は、野村萬斎さんと伊藤英明さんでした。でもイメージを壊される事もなく、むしろ細やかな表情が思い浮かぶようでよかったです。
雅な風景描写、同じ言葉を2回繰り返すことによってできる深み。平安時代というのがどのような時代であったのか感じ取る事ができます。そして、普通は不思議な力を他人には見せないものという決まりのようになっていますが むしろ晴明はそのような事にこだわらず不思議な力を他人に見せてそれを面白がっているようです。これも晴明らしいというところなのでしょうか? シリーズ1作目ですが、次が早く読みたくなるシリーズです。
陰陽師
2015/08/28 01:38
じょうじょうと。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夜メガネ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルは、琵琶の音色のオノマトペから。
「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」に出てくる、繊細で美しい音色を持つ琵琶。
物事に白黒つけるのが野暮で臆病に感じ、不思議な事があっても無理に解明しないのがスタンスだ。
だから、清明がホントは狐狸の類でも、この世ならぬものでも一向に構わない。
だって、博雅を可愛がり、本質的に悪い事はそうそうしていないから。
歴史モノは苦手だ、日本史は苦手だ、そういうひとにも夢枕さんの文章はやさしい。
電車で一遍、帰ってからまた一遍読んでいたくらい、読みやすい一冊。
陰陽師生成り姫
2003/08/08 15:56
いい漢(おとこ)の切ないはなし。
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「博雅は、いい漢だな」
晴明の口癖である。
紅をさしたような赤い唇に、うっすら笑みを浮かべる晴明。
博雅は、照れたように「うむ」と言うか、「そうなのか?」と尋ね、「そうだ」と言われれば、はやり「うむ」と唸るのであった。
四季の移ろいに心打たれ、美しい月を観ると笛を吹く。感極まると、人目をはばからずにはらはらと涙を流す、心優しき人物。
源博雅。
いかに高貴な生まれでも、人を思いやり、世の中を儚み、美しいものを愛でる、愛すべき人物なのである。
宮中で面倒なことが起こった際に、誰もが相談しやすいのが博雅。
晴明をして、「お前が俺のそばに居てくれて良かったと思っている」と言わしめるのも博雅。
ますます博雅に心惹かれてゆく。
一条戻り橋の下に式神を住まわせているだとか、おそろしい術を使うだとか、誰もいないはずの晴明の屋敷でいつも人の声が聞こえるだとか、さまざまに噂される陰陽師・安倍晴明は、人々の拠り所ではあっても、心置きなく接することのできる人物ではなかった。
母親は信太の狐だともいわれる、当代きっての陰陽師ともなれば、それもいたしかたないこと。
そう悟ってはいても、いや、だからこそ、晴明だって求めるのである。
“いい漢”を。
晴明と博雅。
晴明の屋敷の濡縁で2人が酒を酌み交わすとき、ときは静かに流れてゆく。
あるときは庭に咲く草花を眺めつつ、あるときは露に濡れる草花を眺めつつ、あるときは月を見上げつつ。
そうして、博雅は晴明に告げる。
「最近俺は思うのだよ。朽ちてゆく草花は、いとおしいものだなあと」。
いい漢のセリフは、心に響く。
しかし、今回のストーリーはあまりに哀しすぎた。
晴明が言う。
「誰の心にも鬼は棲むものなのだよ」
博雅は問う。
「俺の心にも、か?」
「そうだ」
「そうか」
決して博雅は「俺の心に鬼なぞ居らぬ」とは言わない。
晴明も、博雅だけを区別するようなことはしない。
芦屋道満は結末まで悟ったうえで、「人のことには関わるな」と言う。
「人に関わるということは、それは哀しみに関わるということぞ」
“生成り”とは、女が般若になりきる手前の状態にある存在を指す言葉。
人であって人でないもの。
鬼であって鬼でないもの。
けれど、もとは、人。
博雅は、心のままに笛を吹き続けている。
12年前、一人の女性と出会ったときも。
美しい月に誘われた夜も。
晴明と濡縁で庭を眺めているときも。
蝉丸法師の琵琶を聴いたときも。
鬼を見たときも。
そして今も。
博雅は、心のままに笛を吹き続ける。
かの人が現れ、また去ってゆくまで。
(紫微の乱読部屋)
陰陽師 鳳凰ノ巻
2002/11/11 19:32
名敵役登場でますます物語は盛り上がる
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒルドン - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢枕獏の「陰陽師 鳳凰ノ巻」読みました。短編シリーズ(文庫化)4冊目となるこの話。まいど楽しませてもらっています。
この「鳳凰ノ巻」では名敵役の蘆屋道満が初登場。ホームズとモリアーティ、ドラキュラとヘルシングみたいな不倶戴天の敵同士という印象がある道満と晴明だが、夢枕版のは解釈はちょっと違っていておもしろい。
道満との方術比べが描かれる「泰山府君祭」と「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」の二篇のおもしろさもさることながら、今回わたしの一押しは「青鬼の背に乗りたる男のはなし」である。
しばしば生きている人間よりも物の怪の方をいたわっているのではと感じられる、安倍晴明と源博雅のコンビ。常々、ゴーストバスターならぬゴースト・カウンセラーだなと思っているのだが、「青鬼」では裏切った先妻に取り殺されそうになった不実な男の命を助けることになる。
読んで最初は、なんでこんな男を助けなきゃならないのと思うのだが、鬼と化した元妻の最後の言葉ですべての事柄の意味が逆転する。“いやされたのは誰の心”か。
たまには家族サービスしなくちゃいけないなと反省させられたりもしたのです。
2024/03/19 15:12
なるほどなあ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宮村みやこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
男に裏切られた女が鬼になるというストーリーは古典にあったと思うが夢枕獏は引用したんでしょうが安倍晴明と源博雅に絡める事でオリジナルが生きたと感じた。
2023/12/24 17:21
こういう話は好きです
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:宮村みやこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
突然蘆屋道満が主役の話が出てきたりしますがこの間では膳広国が地獄に行って既に亡くなった妻が広国を殺そうとして間違って毒を食らって死んだあと獄卒から罰を受け父親の広次も日本霊異記に出てきたような事をやったことで罰を受けているのを見る話が好きです。自分が無事にこの世に帰ってこれたのが写経した観音経のおかげだったり日本霊異記にあった気がします。
陰陽師
2020/07/13 22:55
すごくおもしろい
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るてん - この投稿者のレビュー一覧を見る
晴明と博雅の掛け合いがテンポよくすすんですごく楽しいです
陰陽師 玉兎ノ巻
2019/09/28 10:54
文章から伝わる四季折々の美しさ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:moon - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢枕獏先生が月のうさぎの話を書くとこうなるのね、と思って楽しかったです。物語は怖かったけど、切なさと不思議な導きが晴明と博雅の空気を包んで、あたたかみを感じさせます。文章から伝わる四季折々の美しさは健在。今回もとても面白かったです。
陰陽師 玉兎ノ巻
2019/08/03 00:57
そういうことになった
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国の伝説と西の京が多かった巻。
晴明と博雅のいちゃいちゃも収録。
人のことであるからな。
だからお前は凄いのだ。
博雅、呪を解す?
陰陽師 女蛇ノ巻
2019/03/06 11:48
安定の良きマンネリズム
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えぬ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつ読んでも昔からずっと安定した満足が得られるシリーズ。帯が随分と直接的なセリフを使っていて、なぜか残念にも感じたけれど、不思議な話と酒を飲む描写は何度読んでも飽きない不思議。
陰陽師
2017/12/10 11:48
美しい言葉の流れ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
第一印象は美しい!です。庭の植物の描写の字面の美しさは驚くほど。美しい言葉と平安時代のホームズとワトソンの活躍に胸が躍る。
陰陽師
2016/10/09 09:19
今昔物語などに想を得た物語
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:卯月 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに読み返した。
漫画や映画、ドラマの原作にもなっているが、この小説は自分なりの想像をかき立てられる。
今昔物語などから想を得ているので、そちらも読み平安時代という人と人ならぬ物が共存した世界に生きていた人々を想像して楽しむことが出来る。
ゆったりとした時の流れ、不思議な出来事、掛け合いの間合いなどが現代のせわしさを しばし忘れさせてくれる。
琵琶の音(CDなど)を聴きながら秋の夜長に読むのに最適。
陰陽師
2016/02/08 17:08
闇とうつつが近しい時代の物語
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雪風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画やTVにもなった人気シリーズの第1作です。
陰陽師安倍清明を主人公とする伝奇小説ですが、激しい立ち合いがあるわけではなく、怪異と対峙する時も静かに物語は進行します。スマートなんだよな。
雅楽家源博雅を相手に繰り広げられる「呪」に関する哲学的な対話も、物語の良いアクセントになっています。
倒すべき相手にも、心を通わせる清明がとても素敵なシリーズです。
陰陽師
2015/08/30 08:09
一
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あなご - この投稿者のレビュー一覧を見る
平安時代を舞台とする、陰陽師シリーズの始まり。
この作品を読む度に、なんとなく、霧に包まれ輪郭のぼやけた景色が思い浮かぶ。濡れ縁の情景も、怪異を解決すべく乗り出す場面も、絵巻物のように、どこまでも続くリアルな景色ではなく絵空事めいている。しかしそれは、決して作品の汚点にはならない。むしろ、平安の闇、そして人の心の哀しさ美しさを引き立たせるものとなっている気がする。