鉄紺さんのレビュー一覧
投稿者:鉄紺
うろんな客
2016/02/14 18:20
「風強く
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客もなきはず 冬の夜 ベルは鳴れども 人影皆無」
ある日突然珍妙な奴がやって来て、その傍若無人な振る舞いに一家は振り回され…て早17年。というお話。
ページを繰ると左手に一句、右手に挿絵。柴田氏のニヤリな短歌訳と、ゴーリーの陰気な線画の、取り合わせがたまらない。ゴーリーだもの、可愛いだけで終わるはずもなく、訳者の後書に再びニヤリである。
不幸な子供
2016/02/14 18:19
「あるところに
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シャーロット・ソフィアという女の子がおりました。」
悪趣味と紙一重とも言えるこの作品に、眉を顰める人もいるだろう。が、私は大好きである。誰の言葉だったか、冗談は悪質な程上等なのだ。笑う要素など微塵も無いはずなのに、場違いな可笑しみが込み上げてくる。救いの無い結末を予言するかのように、微細な線で描き込まれた背景には必ず、小さく不気味な(?)影が潜んでいる。
華々しき鼻血
2016/02/14 18:17
「あてどなく
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こだちを さまよう。」
ゴーリーのアルファベット・ブック第5弾、本作の特筆すべき点は、ABC…を冠されているのが名詞ではなく副詞であるという点。
何にしろ手に取らないことにはこの面白みは説明し難いので、以下訳者の後書から引用とさせて頂く。
「…作品中、華々しいものは何ひとつないし、鼻血を出している人もいない。」
優雅に叱責する自転車
2016/02/14 18:15
「プロローグ/
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火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと。」
あははー。やっぱりゴーリー好きである。比較的、絵も内容も黒くない(直截的な惨いシーンは無い)作品なので、彼の毒っ気を気に入っている方にはやや物足りないかも。
何故章が飛び飛びなんだとか、「どこで優雅に叱責してるわけ?」だとか、何だかもう気にならない。画中の呟きが楽しくて仕方ない。むふ。
ギャシュリークラムのちびっ子たち または遠出のあとで
2016/02/14 18:14
「Aはエイミー
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かいだんおちた」
名前の頭文字にA~Zを持つ子供たちが、ただ次々と死んでいく。その最期がまた、どれもこれも陰惨である。一すじの救いも無ければ教訓も無い。…が、どうしてか、そこはかとなく可笑しみが漂う。
「これの何が楽しいの」と冷たく言われれば(実際言われたけれど)、何だか申し訳ないような気持ちにもなるのだが、好きや嫌いに理由は無いからなぁ…。
すてきな三にんぐみ 改訂版
2016/02/14 18:11
「あらわれでたのは、
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くろマントに、くろい ぼうしの さんにんぐみ。」
すてきなどろぼうさま三にんぐみの、脅しの道具が並ぶページが特に好きで、幼稚園時代の私の一番だった絵本。色が格好良いのだ。黒地に赤が効いている。連れ帰ったティファニーちゃんに、宝の山をどうするのと聞かれ、顔を見合わせるくだりもお気に入りだった。
文庫より大型より、普通サイズが私のお薦め。
おばけのバーバパパ
2016/02/14 18:10
「バーバパパはね、
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にわで うまれたんです。」
義母からの荷物の中に、バーバパパを発見! 懐かしい。幼稚園の頃によく「眺めた」シリーズ。
当時の私が気になって仕方なかったのは、彼の睫毛(らしきもの)。伏し目時には目の楕円の中に、瞼とそれに続く睫毛がきちんと収まっているのに、通常時は何故か、眉毛とも睫毛ともつかないものに変貌している。
…疑問再燃である。むー。
くまさん くまさん なにみてるの?
2016/02/14 18:08
「くまさん くまさん、/
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ちゃいろい くまさん、/ なに みてるの?」
「とり」の次に「あひる」ですか、「みどりの」「むらさきの」じゃ駄目ですか、これ「きんいろ」ですか、「おかあさん」怖過ぎませんか「かえるいろ」の服ですか、再びの「いぬ」には驚きました好きだけど、「みてるの?」「みているの?」揃えませんか。
…等々言いつつ、白地の見開きいっぱいに、一色で一つずつ動物が登場する、この単純明快さは好き。
ぼくとくまさん
2016/02/14 18:06
「ちいさな
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いえが あります。」
シュルヴィッツのデビュー作。
細い細い、自由なんだけど頼りなげな、この線が好き。淡い淡い、不思議と2つで充分な、この色も好き。何よりも。白い白い、この「余り」が、たまらなく好き。余白がとっても、豊かなんである。
あぁ、シュルヴィッツは、やっぱりいいなぁ。
ゆき
2016/02/14 18:04
「そらは はいいろ/
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やねも はいいろ/まちじゅう どんより はいいろです。」
シュルビッツの中でも特に好きな一冊。
名も無い登場人物達は、誰も彼も愛らしく個性的。当たり前のように絵の中でだけ展開する小さな物語も、一癖あるクスクス笑いが聞こえてきそう。
全てが白く包まれていく時のわくわく感いっぱいのお話と、不穏な色や不安定な線からなる絵との組み合わせが素敵。
おはよう・おやすみ
2016/02/14 18:00
「すやすや すうすう おやすみなさい//
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おひさま しずんで/よるが きた」
この絵本、『おはよう』の逆側からは『おやすみ』というお話が始まる。引っ張れだの捲れだの、縦にしろだの言われるのが(ついでに言うと、穴が開いていたり、四角くない形だったりするのも)、私は好きではない。なので、ひっくり返せと言われ、正直うーんと思ったのだけれど。何だか憎めない。読み聞かせでは、「パパローン」で既にちょっと楽しい。
ゆっくりがいっぱい!
2016/02/14 17:58
「ゆっくり/のんびり/おっとりと/
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きのえだ つたって/ナマケモノくん やってくる」
実はいまいちエリック・カールを信頼していなかったのだが、あぁやっぱり良いのだなぁと考えを改めた。ホエザル、イワドリ、ヤドクガエル等々、通りがかりの動物達が密かに具体的なのが面白い。
お風呂でナマケモノの物真似をするのが好きな、3歳の娘が選んだ絵本。彼女の中にも、ゆっくりがいーーーっぱい! である。
お月さまってどんなあじ?
2016/02/14 17:55
「お月さまって
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どんなあじなんだろう。」
「お月さまがずっと付いて来るよ!」とキラキラ言う娘に読んであげたくなった絵本。ただ、ゲームだと思っただの、あきただののくだりは、ちょっと煩く感じた。理由なんて要るだろうか。
多彩ながら落ち着いた色味。くしゃくしゃ感も優しい。だから「パリッ!」は意外だったけれど、改めて色を見れば、確かに氷輪のような。
すてきなおうち
2016/02/14 17:54
「これは
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だれの おうち?」
どのページもポストカードのよう。手触りも良い。
だけど散々「ちがうよ!」と言っておきながら、「みんなの…おうち」って? 前出とは別の、「おとこのこと おんなのこ」、「いぬや うさぎや」…? 狭量な人間には、ちと気持ち悪さが残るけれど。
それでも、絵が可愛い、すてきな絵本。