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岩波文庫愛好家さんのレビュー一覧

投稿者:岩波文庫愛好家

717 件中 1 件~ 15 件を表示

自己を見つめる濃密な一書

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

書題は今風で、著者も若手ではありますが、その実かなり哲学的です。本書に於いて扱っている論題が「孤独」や「寂しさ」であり、それをスマホ世代の現代人に確りとリンクさせてあります。現代を生きる若手世代、否、中高年とて当てはまる内容です。
 「孤独」や「寂しさ」というワードは一時期流行りましたが、本書では深掘りして論述されてあります。アニメネタ(エヴァンゲリオン)などを引き合いに堅苦しさを出さず親近感が湧くように仕向けてあるものの、抑えきれずに難解さが零れ出しています。とは言え、じっくり読み込めば読み手自身に考えさせるように投げ掛けられています。
 会社生活を髣髴とさせるトピックスがありました。それは、『新しい目標が立てられたら、昨日までと違っていたとしてもそれに飛びつき、これまでのスキルが役立たなくなったら、研修や教育を厭わずに新しいスキルを身につけることができる人材』というセンテンスです。この様な人材が求められる時代だからこそ人々は疲弊していく・・、そういった中で「孤独」や「寂しさ」を感じていくのが現代なのだ、という事が痛烈に感じ取れました。
 スマホが普及し、ゲームもネットでオンライン化し、コミュニケーションもスマホで済ませる現代。スマホに依存せざるを得なくなった、或いは依存したくなった老若男女不問の現代人。それはスマホに逃げ込むしかなくなった世知辛い現代社会の癌だと思います。

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只管、やり込む。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

当たり外れが激しい分野の問題演習である事は仕方ありません。
 だからといって、やらない、は愚鈍。
 従って、ただただやるべし、です。
 数字もさることながら、法案の名前や国名、管轄省庁といった点がキーとなる気がします。

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比較的豊富なネタ

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

既に所持しているものが古く、新しい版を逍遙していた所、ネタも半分位リフレッシュされていた為、購入しました。
 前冊の場合、やり始めた当初は難しく感じていましたが、やり込むうちにあまりそういう意識は薄れていきました。
 本冊は難しいと感じるよりも、良問だなと感じる方が多く、一問でも身につけたい一心です。

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氷菓

2024/09/28 10:35

「言葉マジック」の書題は、なかなか。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

学園ミステリとして、本書では幾つかの謎解きがされていきます。そして最後の謎解きへと駆け登っていく、そんな展開です。ストーリーの運びは非常に良かったと思います。
 クライマックスは本書の書題「氷菓」へ向かい、終盤で明かされます。叙述トリックではなく、言葉マジックといった感じです。
 後半の内容からすると、昔の全学連を臭わせる様相があり、著者がその事象への思い入れか、或いは見聞に対する何らかの考えを本作で表したかったのでは、と過(よぎ)りました。
 本書全体としてはライトノベルを帯びた感じがあり、読み易い作品だと思います。

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範囲をしっかり網羅

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

行政書士用に問題演習として購入しました。
 流石に難易度はそれなりにありますが、最近の行政書士の同分野としてはピッタリでしたので、やり甲斐がありました。物量・レベルとして良い感じだと言えます。
 何ターンも繰り返して定着を図りたいと思います。

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植物図鑑

2024/09/18 23:25

惚れてまうやろー、の典型。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

会社の後輩から借りて即日読了しました。
 こんな男子、現実には居らんやろ、と思いましたが、そこは小説。しっかりと「本」で楽しませて頂きました。
 本書で良かった点は2つ。1つは、章立ての数の雑草(もとい、野草!)について色々と知る事が出来たという点。もう1つは、それらの野草が食べられる(1章を除く)という点。なんと本書の最後に料理の写真と共にレシピが掲載されています。
 植物の知識と、更には登場人物の恋愛模様の展開も文字通り「味わえ」て満腹満腹。あと、ストーリーはライトノベル感がありますが、構成にちょっと捻りが効いていて、満足満足、です。

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網羅された範囲が広くて良し。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

12の分野に範囲があり、各分野において数字と法律名を中心に内容が展開されてあります。数字については2021年や2022年のものが多く、2023年のものが多くあればと思いましたが、白書の発行タイミングからすると、これが限界かもしれません。
 またテーマ別における紙面上だと思いますが、前にあったトピックスが後段のテーマにも表記があったりと、ダブつきもありました。
 出題予想時事テーマベスト10に掲げられた各々のサブコメントが『今風の流行りネタ』を組み込んであり、笑いを誘うものでした(なぁぜなぁぜ、それな!、蛙化、究極のアイドルなど)。

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超コミュ力

2024/07/18 08:42

書物も人を表す。

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昔のTV番組での様子やYouTube上での発言と対応について独特な様子には今一つ釈然としない点は否めません。芸能界では通用すれど、一般社会人としては妙な気がします。生い立ちを知ればしっかりと見出せると思いますが、何かちょっと歪な・・、という要素を時折覗かせています。
 本書を読了したところ、上述したことは断片的に傲岸で狡猾な点として現れています。但しそれ以外において、一『参考』書として読み手側が純粋に取り入れるべき箇所があれば実践していけば良いと思います。例えば、肯定を以て聞き手に回る、などは十分に首肯出来ました。
 書き手であっても読み手であっても、人は年齢と共に変わりゆく内面と太く変わらない内面を持ち合わせているので、そういった中で自身をよりプラスに変えていく付加知識として本書を消化していければ良いと感じます。

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複雑な感覚

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

小学校高学年か中学生の頃の再読として岩波文庫でこの度読んでみました。直接的には、東灘区の某高校の入学式で高入り生の代表者が答辞で『侏儒の言葉』の中の箴言を述べた事も再読の契機でした。因みにその句は「自由は山巓の空気に似たり。どちらも弱き者には耐え難し」です。
 二篇目は『文芸的な、あまりに文芸的な』は本書の解説でかなり氷解しました。秀逸な解説でした。岩波文庫での解説は、かなりの確率で秀逸なものが多いです。
 芥川龍之介は自死で生涯を閉じました。人生に対する漠然たる不安といったようなものが確か理由だったと記憶しています。その事についても解説で触れられており、思い返す事が出来ました。
 『書き著す』という事の苦悩が天才にとっては巨大であり、押し潰される迄に至達するものだ、という事が漸くこの年齢になって感じました。

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種子がキーです。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

『不埒なたくらみ』とは、なかなかな形容だと思いました。不埒な訳無いだろう、と思える節もあれば、不埒だと思える節もありました。動物は勿論、植物とて生き物ですから、『生きていく』必要があります。その『生きていく』やり方をどう捉えるか、だと言えます。
 では、『生きていく』にはどうすればよいか。子孫を残す、です。自分自身が『生きる』為には、食べ物が潤沢にあればOKです。しかし『生きる』と『生きていく』は違います。子孫を残す、とは植物の場合、種子です。種子がキーとなります。この種子に纏わるイベントやドラマが実に大変な訳です。
 植物は喋ったり、ウロウロと一人で動き回ったりする事が出来ません。その代わり、様々なサインを出します。それは香り、色、見た目の形、味など多種に及びます。植物はいつだって必死で、直向きで、至って真面目なんだ、という事が本書でよく解りました。
 ところで、エピローグの文体が独特でユーモアに満ちていました。著者の愛情をほんのり感じます。

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公務員試験新スーパー過去問ゼミ7民法 地方上級/国家総合職・一般職・専門職 1 総則 物権 担保物権

公務員試験新スーパー過去問ゼミ7民法 地方上級/国家総合職・一般職・専門職 1 総則 物権 担保物権

2024/05/20 08:40

遣り甲斐有り!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

国家総合職の問題は流石に『ガッチリ』感があり、難易度としてかなりのものを感じます。だた徒に難しいというよりは、じっくり練られた問題という感じがします。そういった意味では遣り甲斐が有ります。総合職以外もしっかりとした問題です。やはり民法という分野故にそうなるのだろうと思います。あまり重箱の隅をつつくような選択肢はないように見受けられます。
他の分野に比べて解説の分量が非常に多いです。これは有難いです。ただそのレベルは高いです。
言い尽くされた事ではありますが、正答の選択肢以外に於いて、どこが不適当なのか、これを徹底的に頭に入れる事が肝要だと思います。

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音楽は自由にする

音楽は自由にする

2024/05/09 21:25

天才肌ではなく芸術肌

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2023年に逝去という事で、書店の平台にあったのを切っ掛けに購入、その後『積ん読』を経て、この度読了しました。読み始めるとなんやかんやと一日で一気に読み通してしまいました。章末に文中の註釈の説明があり、当時の世風を懐古出来ました。
 坂本龍一氏と言えば、TV番組では『教授』と称されていて、ピアノで様々な楽曲をちょろちょろっと披露したり、勿論自曲を演奏したり、と凄い人だなぁという印象でした。私自身はYMO世代とは少し許り離れている事もあり、あまりYMOの楽曲は知らず、戦場のメリークリスマスやEnergyFlowのイメージが強いです。
 そんな坂本氏ですが、幼少期から2009年迄の自叙伝を本書で読了し、かなりイメージが変わりました。かなり通俗的なキャラだったり、ある種我が儘っぽい子供的な側面があったり、と人間味を感じました。同時に坂本氏の根底に流れているのは芸術肌だという事も犇々と伝わってきました。それは出版社の職である父方ではなく、帽子の職であった母方の血だと思います。それが音楽の方面で萌芽し、演奏よりも作曲への開花へと進展したのも頷けるものがあります。幼少期に学んだ理論がベースとなって作曲家『坂本龍一』を形成する事になったと思います。
 壮年期・晩年期は同時多発テロといったショッキングな事件を目の当たりにした事による論考を刊行したり、他方では地球環境問題などに関わる等、アーティストだけに留まらない活動を行っていましたが、人は生涯で体験した事柄に種々影響を受ける為、確かになぁと首肯出来ました。

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それから 改版

それから 改版

2024/05/07 21:51

やはり『難しい』。

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

本書は小学校高学年期に読了しましたが、齢49歳にして(49歳というと漱石の生涯の年齢ですが)この度再読と相成りました。38年程の年月を空けて本書を読了し、私はどんな感想を抱いたか。結論、難解でした。これは小学校高学年期と同じでした。徒に歳を重ねたのだから、漱石の考え方や物事の見方を理解出来るだろうと思いつつ読み進めましたが、駄目でした。
 巻末の解説に相当助けられました。この解説が無ければ深掘りが出来ませんでした。解説を読んでいると、本書の随所に於いて確かに「嗚呼、成程」と首肯出来ました。
 ところが一方で一抹の疑念が湧出します。解説にあるような深読みを漱石は意図していたのだろうか、と。その理由として、本書が新聞に連載として寄稿されていた事、本書内の世相が当時に於いてリアルタイム的であった事があります。
 解説にある様な重厚な読み込みは全く以て否定などし得ないのですが、其処までの深掘りがどうしても必要だとは、思えませんでした。連載物であった以上、連載前から『入念な』構想を練る事はかなり難しいと思います。それが故にか、本書の最後も未来的な展開の余韻を残してブツ切れのような印象でした。3部作目の『門』へと続くという事を意図しての終わり方だとするなら、なんとも凄い構想だと感じます。ただこれは本当に『一抹の』疑念です。

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会社法入門 新版

会社法入門 新版

2024/04/30 08:36

かなり難解な一書

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

新書故に分厚いとまでは言えませんが、何とか読了しました。内容自体がややこしいのに加えて、用語自体が一度見聞きしてもすぐに頭にインプットされないです。依って、記憶にとどめて必要時に口からアウトプット出来ないのがもどかしいです。但し、本書の内容がマズいのではなく、やはり会社法という分野自体が過去の法律の変遷を経て継ぎはぎな要素を多分に内蔵している故です。本書自体はかなりの優れモノだと思います。
 とにかく繰り返し読んで理解し、覚える必要があると思います。必要に迫られてか、興味・関心があるか、この2点のいずれかでないと中々に理解を得る(若しくは得ようとする)事が難しいかもしれません。何とかスラスラと口に突いて出る様にしたいものです。

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いつもの言葉を哲学する

いつもの言葉を哲学する

2024/04/29 16:43

まさしく、そう!

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

終始頷きっぱなしで、読んでいて本当に「その通り」と評する事の連続でした。著者が本書で論述している事を私自身もここ暫く痛切に感じていました。絶妙にいいタイミングで本書に出会えたと思います。
 言葉というのは乱雑に扱えば何を伝えようとしているのかさっぱり解らず、或いは解らないどころか、意図せぬ方向へ解釈される事も多々あります。それだけ日本語が難しいとも言えますが、日本語を扱う以上、致し方ない事です。
 本書で二重丸を付けたくなるワードがありましたので、幾つか列記します。
・「まん延」「ひっ迫」という言葉表記。当用漢字云々の面から「蔓延」「逼迫」としていない。
→しっくりこないです。
・「スピード感」「警戒感」「温度感」「規模感」という表記。明確には言い切らず、責任を逃れているかのよう。
→「○○感」と言っている人は当事者意識が薄そう。
・新型コロナ禍で「ロックダウン」「クラスター」というカタカナ語が導入される。
→カタカナ語による新語が発生する事はそれなりに良いとは思うが、メディア先導に対して追従出来ていない人達へは放置されている。
 新聞やテレビやネットニュースの見出しの稚拙さについて言及がありました。「藤井二冠を殺害予告疑いで追送検」→「藤井二冠の殺害予告疑いで追送検」、「列車が人と接触して死亡」→「人が列車と接触して死亡」、「14人感染、さいたまの中学生など 1人死亡」→「さいたまの中学生など14人感染 1人死亡」・・もう本当に大丈夫だろうか?
 「発言を撤回します」→「前言を撤回します」は解るが、『発言』自体を『撤回』など出来る訳ない、おかしな日本語だ、と呆れるばかりです。
 著者は本書の末で「私たちの生活は言葉とともにあり、そのつどの表現と対話の場としてある」と述べています。もう本当にこれに尽きます。言葉を歪曲したり、力業で捩じ伏せるような事はこれ以上盛んにならない様に願うばかりです。

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