りらさんのレビュー一覧
投稿者:りら
奇跡集
2023/05/21 15:37
同じ車両に乗り合わせた人たちの奇跡
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この方の本はいくつか読んだが、こういう短編集のスタイルは秀逸だと思う。
同じ車両に乗り合わせた人たち、すれ違いとも思える人とのちょっとした巡り合わせで、流れが変わり、気持ち、考え、生き方までも変わる。
そういう奇跡って、私たちも気づいていないだけで、結構あるのかもしれないと思わせられる。
最後まで読んで、ここまでのことを全部知っているのは読者だけっていうつくりもちょっと優越感というか、読後にいい気分になれる。
そういう本。
コスパで考える学歴攻略法
2023/05/13 09:58
著者ならではの視点が興味深い
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データを交えて大学進学には中高一貫か公立のどちらが得かを論じる。
英語やプログラミング力をつける時期や方法を紹介。
高い収入で安定した仕事といえば、やはり医師。
そして、外国で働くなら英語を話せること必須。
当たり前のことをデータで裏付けて論じており、改めてこうしてまとめられたものを読むとやはりそうだなぁと得心する。
加えて、文章が非常に読みやすい。
センセーショナルめいた書きぶりもあるが、あとがき読むと、あえてあおういうふうに書かれたのではとも思う。
親がいろいろ画策したところで、所詮はこどもの人生であり、本人が自覚して取り組むのなら結構だが、そうでないなら、本人が勉強を通じてその意味や面白さに気づき、そしてどう行動するのかという先に、本人の未来がある。
そこは、本人の専攻を活かせる分野かもしれないし、そうでないかもしれない。
でも、本人が納得して選んだ道であれば、満足感はあるだろう。
そういう自分の道を見極めるとかきっかけをに気づくとか、そういうときのために、学校の勉強を通じて将来の自分に必要な勉強をするための土台を築くことに在学中の勉強の意味があるということかと。
その環境は案外日本のどこの学校でも整っているようであるというところが、実はこの本のミソではないかと思った。
なかなかに興味深かった。
さくらいろの季節
2023/04/23 15:48
多感な少女たち
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小学校6年生の1年間、クラスで起こるいろんなこと。
この年代の女子のグループ内外の力関係、それの翻弄される少女たちの繊細なこころの揺れ動き。
どうにかしたいともやもやするが、それを打開するような言葉を持たず、行動も取れない。
そうしたもどかしさの中で、思いを伝える大切さはわかっていても、その勇気が出ない。
そういう年ごろ。
小学校高学年から中学生にかけて、誰もが経験する、このヒリヒリ感。
自分で考えて、動いて、傷つくこともあるけど、そういう経験を積みながら成長していくんだな。
どうしたら正解というのはなくて、自分がどう考えて動いてどうなったか、そのことをどうとらえるか、それが大事なんだと思う。
懐かしい気持ちになった。
中学生のこどもが読みたいと言ったので、また感想を聞いてみたい。
チョコレートのおみやげ
2023/04/08 14:09
読み聞かせをしたくなる話
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こどもが気に入ったものを挙げさせて、それらを用いて即興の(たぶん)話を作って聞かせるおばさん。
それだけでもわくわくするのに、その短い話にも引き込まれる。
さらには、こどもとのやりとりで、話に少し手を入れて。
あ〜、こういう空気感というか雰囲気、たまらん。
昔の神戸の人の優しい独特のおしゃべりの間も想像できて。
好き!
紙が分厚めなのが良い。
なんか上等の水彩紙で作った手作り本みたいで。
活版印刷やったら最高な本。
こどもが小さいとき、毎日読み聞かせをしていたが、この本ならまたしてみたいと思う。
ポーチとノート
2023/04/08 13:58
10代特有の感性
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作者さんは若い方ではあるが、それでも10代特有の感性を表現できるのは素晴らしいことだと思う。
誰もが通ってきている年代であるのに、年を経るにつれて忘れるのかわからなくなっていくのか、世代間格差を感じるようになるもの。
さらに、この年代に今も昔も共通する悩みを、今を生きる10代の人たちが共感できるように表現するのは案外と難しいと思う。
が、日々の出来事を通じのこころのうつろいをとらえて、瑞々しくのびのびと描いていて、おとなの私も楽しめた。
性のことは10代にはとてもナーバスな話題で、今も昔もでどころの怪しい情報が学校などの狭い交友関係でまことしやかに囁かれている。
特に女子のあることないこと言う発信力はあなどれないので、相談する相手もよく選ばなければならない。
女子校は特に。
そういう中で、親友に恵まれている幸せ。
周りからはとっぴに見えても、その人自身を大切に思い、支えてくれる身近なおとな(この本では祖母)の存在。
そういうことに気づけて、無理しなくても自分なりに歩み、その歩幅と合う人と出会えればいいと吹っ切れたところに清々しさを感じた。
この本は性のことを正しく理解するきっかけを与えてくれるとともに、
人との出会いの大切さ、ステキさにも気づけるのが良いと思った。
中高生向け。
男子も読んでほしいが、表紙がちょっと女子向けかも。
金曜日の本屋さん 4 冬のバニラアイス
2023/03/25 22:38
倉井くんの出した答えがすてき
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倉井くん、紆余曲折あるも将来に向けて答えを見出す。
そのために、今何をすべきかを考えて出した答えが良い。
家族との関係性も、金曜堂でのさまざまな出会いを経て新たな段階へ進みそう。
その成長が楽しみ。
読書は個人的な体験ではあるが、それぞれの感想を共有することで新たな発見や意味づけもできて深みが増す。
大切にしたいところ。
槇乃さんがバニラアイスが好きって言うところ、かわいくて好き。
ちょっと先の話も読みたいな。
風神雷神 Juppiter,Aeolus 下
2023/03/19 07:54
海外編。
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インドのゴアからヨーロッパ到着後の諸々まで。
順路を想像しながら読む。
スペイン王との渡り合いははらはらするが、宗達の機転で王を喜ばせる。
ローマ教皇に謁見を賜り、屏風を開陳する場面は、そこに一緒にいるかのようにどきどきする。
こうした経験を重ね、初めは信徒でもない宗達の同行に否定的だった少年たちからも信頼を寄せられていく。
特に、マルティノとは早い時期から信頼関係を結んでいる。
その人柄も魅力的。
そんな中、宗達がヨーロッパの絵師の工房を見たい、その技法を学びたいと強く望みながらも、東方からの高貴な使者として歓待される一行と同行しているがために、どんどん外出しづらくなっていくもどかしさ。
いよいよイタリアを出発する間際になり、修道士の配慮により、会派は違う教会で絵を見ることを許される。
そこで、出会ったカラバッジョとの場面とその二人の絆が強く結ばれていく様は、これまでのもやもやがすっきりする。
主な登場人物が10代ということで、若さ瑞々しさに溢れている。
もちろん、事実ではない部分もあるが、虚実の境目すらも感じさせないのは、さすがのマハさん。
当時の空気感まで伝わってくるよう。
時代物ではあるが、青春群像劇としても読めるのではないか。
そういう意味で、若い人にも読んでもらいたい。
表紙は柳広志氏の本とほとんど一緒だが、どう違うのかを見比べるのもおもしろいかも。
それにしても、イエズス会は清貧を旨とすると理解しているが、ヨーロッパ上陸後はなぜこうも贅沢な歓待を受けているのか謎…。
風神雷神 Juppiter,Aeolus 上
2023/03/12 08:19
俵屋宗達の物語。
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柳広司氏の同題の本より壮大な世界観で、人物もいきいきと描かれて、躍動感があってだんぜん面白い。
激動の時代に生きている人たちの息遣いまでもが伝わってくるよう。
宗達が信長の命で天正少年使節とローマに渡るという奇想天外な話だが、読んでいると、そういうこともあったかもしれないと思えてくる自然さ。
やはりこの時代の絵師の話題として、狩野永徳は外せない人物だが、主人公に据える人物によって人柄が全く違って描かれるのも興味深い。
先に読んだ「等伯」では、ものすごく嫉妬深くていやな人物として描かれていたが、本作では仕事に誇りを持っており、才能のある者は手元で育てていきたいという職人として描かれている。
そういう同時代や同人物を扱いながらも、話も膨らませ方などが小説によって全然違うっていうのは、興味深く、楽しみの一つでもある。
マルティノと宗達の成長ぶりを下巻でも見守りたい。
セラピスト Silence in Psychotherapy
2023/02/19 09:08
視点が興味深い
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日本の心理療法の変遷を主に箱庭療法や描画療法などの視点から。
現在は、統合的アプローチがとられることが多いが、専門はあるにしろ、自分の使えるカードは多いに越したことはない。
専門を極めるにはケースをこなすしかないが、それだけの時間的物理的人的余裕がない今。
しかし、必要としている人は増え続けており、しかもこれまで見ないタイプが増えているという。
常に、「今」のクライエントに向き合いながら、最善を模索していく人たち。
こうした積み重ねの先に、新しいアプローチもできてくるのだろうが、実際のところは、セラピストがそうした個々のをクライエントと向き合い、あるいは一緒に見る、語るものごとをどう感じ、とらえていくのかによるところが大きい。
こころのことは見えない部分だらけ。
そこに深く関わるなら、それなりの覚悟が必要だというところには、多少なりとも相談業務に関わる人間として共感すると共に、ほとんど自己流の自分らは大丈夫かと不安も覚えた。
己がもつものを維持向上させることはもちろんだが、いろいろなことに揺らぎすぎて、感じる・みる・聴く力が衰えないよう、自分自身を知る努力はしつづけなければならないとも思った。
しかし、敏感でありすぎると自分がしんどくなるわけで、この点、河合隼雄先生のありようは理想だ。
葉月さんの本は初めて読んだが、想像していたよりも読みやすかった。
他の著作も読んでみたい。
戦略がすべて
2023/02/04 12:48
今まで見えてなかったものが見える感じ
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一部を見て全部を知った気にならないよう、ものの考え方、見方に気をつけたいと思った。
常に、戦略的思考で分析できるようトレーニングしていきたい。
買って手元に置き、折に触れて読み返して、自分を戒めたい。
文章が歯切れ良く分かりやすく、好きなのですが、残念ながらお若くして亡くなられた先生。
今の世をどう見るか、同時代での視点も得たいと思うが、もう叶わないことが本当に残念だと思う。
イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ
2023/02/04 12:39
ぜひ若い人に読んでもらいたい
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「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン教授が示す人生の指南書。
訳がいいのか、ジレンマより、こちらの方が格段に読みやすい。
経営学の視点を人の生き方に焦点を合わせて分析したもの。
社会人になる前の若い人や働き始めの人に良い。
教育激変 2020年、大学入試と学習指導要領大改革のゆくえ
2023/02/04 12:34
2020年入試改革の背景と展望
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池上さんと佐藤さんの対話により、2020年学習指導要領改革から派生する大学入試改革の背景などを論じる。
入試改革だけしかみていないと気付きにくいが、学習指導要領改革の一部としてとらえると、今後のために重要であり、必要なことと思う。
また、今後も時代に合わせて、更に改革していく必要があるだろうと感じた。
一方では、この改革を支える教育陣をどう整えていくのかということも重要である。
極端とも言えるマスコミの報道のなされ方で、印象操作されてしまい、本質が伝わらないもどかしさ。
まぁ、これは昔からのマスコミの悪いところ。
明るい方向に向いていければと思う。
人に強くなる極意
2023/01/09 10:34
刊行1年半で32刷!
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新書でこれだけ短期間に刷数を重ねていることに驚くも、読めば納得。
図書館で借りたけれども、自分も購入して手元に置きたいと思ったし、中学生のこどもにも将来のために読んでもらいたいと思う。
これから生きていくうえで必要なこと、そのためにどうしたらよいかということを具体的に書いてあって分かりやすい。
理屈だけでなく納得できるし、具体例も翻訳物の本みたく、先に具体例を列挙し、だからこうでしょ、という言い方でなく、説明と併記してこういうこともある程度の紹介で口説くない。
これまで自分の中でもやもやしていたことへのヒントもあった。
そういう部分は購入するまで見返すために、メモした。
武器としての組織心理学 人を動かすビジネスパーソン必須の心理学
2022/12/24 23:39
買おうと思った
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図書館で予約して約半年待ってようやく順番が回ってきた。
学者の先生が書いているが、先行研究を含めて読みやすくまとまっていて、さらっと読める。
数々の論文から示される根拠により、属人的な感覚や経験に基づいた例よりか納得感がある理解を得られた。
参考になるところはノートに抜き書きしたが、購入して、しょちゅう読んで確認したいくらいの本。
おばちゃんたちのいるところ
2022/12/23 23:49
書店で見て気になっていた本。
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図書館で予約して、約半年待った。
待つだけの価値はあった。
怪談や歌舞伎などの怪談話を下地にした短編集。
舞台は概ね現代と思われるが、その境目も曖昧なところが緩くて良い。
初めて読む作家さん。
文章も読みやすかった。
関西のノリもある。
かなり現代日本に詳しくないと、おもしろさが伝わりにくいのでは…と不思議になる外国での評判。
でも、そういうとこをおいといてもおもしろいからな、コレは。