Lifestyle

36歳になった“ゆとり第1世代”は今。上からも下からも圧をかけられるツラさ|映画『ゆとりですがなにか』

イケてない“ゆとり三銃士”イケメン

2017年放送「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」DVD(バップ)

2017年放送スペシャルドラマ「ゆとりですがなにか 純米吟醸純情編」DVD(バップ)

 さらに突き抜けて残念さがだだ漏れているのが、松坂桃李扮する山路一豊。小学校教師の彼は、生徒や教頭、保護者との板挟みになり、押さえつけられた感情をレンタルおじさんの前で爆発させる。  ゆとり世代の教師もなかなか気苦労が多いものなのだなと共感したくもなる一方で、顔をくしゃくしゃにしながら人目をはばからずに感情的になる山路を見ると、ちょっと引いてしまう。  あるいは柳楽優弥。どうしようもない客引き男・道上まりぶを演じる。実は彼、11浪中である他、正和と山路が話を聞いてもらった巌の息子。そして彼もまたゆとり第1世代の29歳なのだ。  根は優しそうだが、ときにふわっと凶暴な顔を見せる無鉄砲キャラが柳楽にピッタリ。三者三様、それぞれにイケてない。イケてない“ゆとり三銃士”イケメンとでも命名しておこう。

バージョンアップを迫られる第1世代

 上からも下からもプレッシャーをかけられるのが、ゆとり第1世代のツラいところ。ぎりぎり昭和生まれながら、青春は平成に育つ。両時代を知るからこそ、良くも悪くも奥深い人間味がにじむ。  では、ドラマ放送から7年後を描く劇場版『ゆとりですがなにか インターナショナル』では、どうなっただろうか。それぞれに年を重ね、現在36歳。アラフォーに突入した三銃士たち。唯一結婚した正和は、宮下茜(安藤サクラ)との結婚生活7年だ。  時代は変わった。コロナ禍を経て、リモートワークが当たり前。正和をパワハラで訴えた山岸ひろむ(仲野太賀)も今度は逆にZ世代の後輩社員たちに厳しい指導をする立場になった。  女性へのセクハラがMeToo運動によって暴かれ、LGBTQへの理解は山路の小学校教育にも浸透している。若い世代からおっさん呼ばわりされるゆとり三銃士たちは、令和に合わせたバージョンアップを迫られる。
次のページ 
変わりゆく変わらないもの
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ