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2023年9月28日木曜日

焼き立てのチーズスフレケーキ、忽然と消えるの巻

 





一週間ほどご長女のいるノルマンディーに出掛けていたお向かいの90歳になるマダムが、帰ってきたら丁度お庭の無花果が熟れていると、薔薇の花をあしらった小皿に幾つか盛って差し入れをしてくれた。


丁度庭の林檎でアップルケーキを焼いたところだったので、一切れお返しにお届けすることにした。無花果の粒は歯にはさまるから食べなくなったマダムだが、焼き林檎ならば大丈夫だろう。林檎の皮を剥いてはいないが、十分にフライパンで焼き色を付けてから、じっくりとオーブンで焼き上げたので、皮の存在を感じさせない仕上がりになっている。


あら、まあ、と円満の笑みで嬉しそうに受け取ったマダムだったが、アルミ箔をぱっととってケーキを見て、一瞬にして顔を曇らせてしまった。思い込みとは恐ろしいもので、「アップルケーキ」と伝えた筈だったのに、以前作って大好評を博した「チーズスフレケーキ」を期待していたらしい。


なんて純真なんだろう。そして、とても分かりやすい。


冷蔵庫に丁度クリームチーズがあったことを思い出し、翌日、例の割れないチーズケーキの焼き方を復習し、テレワークで自宅にいたことを良いことに、昼休みにぱぱぱっと焼き上げた。程よく冷めたところで、お皿に載せて写真を撮り、トンカの散歩に出掛ける時に、マダムに渡すことにした。


それから、ちょっとした仕事が舞い込んで、集中して作業をし、なんとかトンカが騒ぎ出す前に仕事を終え、トンカに夕食を与え、洗面所で手を洗って戻って来た瞬間、何か違和感を覚えた。何かがおかしい。


焼き立てのやわらかな甘い香りだけを残して、お皿からチーズスフレケーキが忽然と消えてしまっていた。お皿には、まだ温かさが残っていて、しっとりと湿り気があったが、それ以外は何もない。テーブルクロスに乱れもないし、椅子もきっちりとテーブルに収まっている。


え?


ぱっとトンカを見ると、舌をぺろぺろとしている。


え?君、夕食を食べたばかりだよね。その足で、勝手にデザートまで食べちゃったの?


おい、おい、おい!クリームチーズ200グラム、卵3個、砂糖60グラム、牛乳50㏄、バター30グラム、これ、みんなトンちゃんのお腹に入っちゃったの?


で、お味はどうだった?せめて、もうちょっと、味わって欲しかったなあ。


実は、準備していた焼き型に入りきれなかった分を、一人分程の量だがマグカップに入れて焼いていた。今回はマダムにはこれを差し上げよう。


その夜、すっかり満足したであろうトンカは、ぐずること一切せずに、お腹を見せてぐっすりと寝入っていた。まあ、時にはいいかな。一事が万事こんな調子なのだから、躾なんてちっともできていない。気持ちよさそうな寝息を立てるトンカに、ケーキが如何に美味しく焼けたかの答えを見た気がした。



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2023年9月21日木曜日

思わぬ差し入れ

 





トンカとの散歩から帰ってくると、玄関脇に小さな包みがちょこんと置いてあった。おおっつ!近所に住む苔庵のマスターからの差し入れに違いない。散歩の途中に、別件でメッセージのやり取りをしていて、彼女が苺大福を上手に作れたことを知っていた。しかし、差し入れしてくれるなんて、感謝、感激、雨、霰。


果たして、真っ白で気品のある大福様がお出ましに。やわらかな甘い香りがふっと漂う。お皿に載せて、恭しく改めてご挨拶。かすかにピンク色が見えるところが、奥ゆかしくも艶やか。





さっとナイフをあてると、ぱっとルビー色の香気がたった。


うーん。ルビーというよりは、もうちょっと柔らかで、甘そうなイメージを彷彿とさせるものを考えないと、しっくりとこないか。


望月や ゆるりと割れば 初苺


望月や むっちり肌の 初苺


望月や みどりごの肌 初苺


大福は期待を裏切らないもちもちさ、白餡は甘すぎず、苺の甘さを優しく引き立ててくれている。感動の一品。マスターありがとう。



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2023年9月17日日曜日

良いこと尽くし







ボーダーコリーのタンジェリンちゃんとお知り合いになる。タンジェリンって、確か蜜柑の総称だったよな、と思い、目の前の元気なボーダーコリーと結びつかないが、そんなことを言ったら、トンカだって同じだろう。パティシエが聞いたらぎょっとするに違いない。現に、先日レストランで、デザートにトンカ味のするクレームブリュレがあって、ぎょっとしてしまった。


タンジェリンと言えば、橙色のジューシーで穏やかな味わいの蜜柑の印象が濃厚だが、飼い主にとっては、白と黒の毛むくじゃらで、エネルギーの塊のようなボーダーコリーのタンジェリンが真っ先に思い浮かぶのであろう。


トンカとの相性は抜群で、二匹は林を駆け回り、立ち話をしている飼い主たちの足元を狙ったかのように体当たりをし、絡み合ったり、飛び跳ねたりと大騒ぎをしている。


一歳になるタンジェリンちゃんを連れていたのは、シニアのご夫婦だった。最初は彼らの犬かと思っていたが、話し込むにつれ、ご近所さんの犬であることが判明した。シニアのご夫婦は二週間前に16年連れ添っていたシェトランドに旅立たれてしまい、呆然としていたところ、2歳の幼い男の子がいる近所の若い夫婦が、遊び盛りのタンジェリンを持て余していると聞いて、散歩に連れ出すことを申し出たという。


彼らも助かるし、我々も楽しいし、タンジェリンも喜んでくれるし、とにかくお互いに良いこと尽くしなのよ、とマダムが嬉しそうに笑う。


まあ、それは素敵。ご連絡先伺ってもよいでしょうか。と茶目っ気たっぷりに言うと、皆で大笑いとなった。


うっかりと、新たに犬を迎えるご予定は、などと不用意なことを言ってしまったら、急にマダムの顔が曇って、未だ無理ですよ、と震える声で返された。2週間前に別れを告げたばかりなのに!ああ、そうでした。ごめんなさい。


マダムは可愛いシェルティの写真を見せてくれた。それまで元気にじゃれ合っていたタンジェリンちゃんとトンカは、漸くひと段落付いたかのように、息を切らしながらも緑の草原に仲良く横たわった。


あまりに愛らしい二匹だったので、写真を撮ろうとすると、トンカが相変わらず動きだしてしまう。レンズを向けられることが、本当に苦手なトンカ。後から確認をしてみると、なんだかトンカがタンジェリンちゃんに話しかけている様子が撮影されていて、大いに笑えた。


二匹とも、びっしょりと汗を掻いていた。そう、その場では感心したものだったが、よく考えると、犬は皮膚に汗腺がないので汗を掻く筈がないではないか。では、あの体中びっしょりと濡れていたのなんだったのだろう。草の露だったのかしら。


シニアのご夫婦とタンジェリンちゃんに別れを告げる。また是非会いましょうね、と。




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2023年9月13日水曜日

ボンジョルネ





 


緯度が高いだけあって、フランスにおける日照時間の変化にはすさまじいものがある。日本のように、畳一筋分づつ日が短くなる、などという奥ゆかしいものではない。夏時間であることも影響して、既に朝6時半にして外は闇。バス停でバスを待つ間も、漸く東の空が薄っすらと明るくなり出すといったところ。恐らく月末には、街路灯の光の下でバスを待つことになるのであろう。


だからこそ、この時期には日の出時の表情豊かな空を撮影するチャンスが転がっている。バスを終点まで乗らずに、一つ手前で降りて、街並みが目覚める様子を楽しむことも乙である。あらゆることを、あらゆる場所で、駆け足でやっていた昔が嘘のようである。


そんな風に、バスを降りて教会の白亜の時計台を見上げた時、降りる時に軽く挨拶をした女性が「先週、バスが来なくてお困りになりませんでしたか?」と尋ねて来た。その女性なら近所に住んでいて、時々バス停で見掛けており、会えば朝の挨拶をする程度ではあったが、知らない仲ではなかった。


確かに市内のバスのダイヤは全く当てにならないので、軽く挨拶をするように、相槌を打つように返事をしたところ、待っていましたかのように堰を切って話始めた。先週は時間になってもバスは来ず小半時間待たされたこと、それなのに漸くやってきたバスに切符の所有を確認する係員が入ってきたこと、若者が罰金を取られたこと。バス運行の遅延による利用者への損害は棚に上げて、罰金を取るとは何事か、と烈火の如く怒っており、どんどんと自分の言葉に興奮し、先週のことなのに怒り冷めやらぬ様子。


こちらは、正に鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしながら、あっけにとられて聞いていた。横断歩道の信号が青になっても話は続き、遂に赤になってしまった。女性は通りの建物に目を向けて、自分は市内で働いているからそれでも被害は少ないが、貴女のようにRERでパリに通勤する人たちにとって、バスが遅れることでの影響は大きいでしょう、とすごい剣幕。


しかし話すだけ話したら、気持ちも収まったのか、あら、貴女駅に行かないとね、と横断歩道の信号が赤になっていることに漸く気が付き、ちょっとだけバツの悪そうな顔をした。その様子に笑みがもれた。以前だったら、いつだって駆け足で髪を振り乱しながら突進している頃だったら、イライラしていただろうことも、ちっとも気にならない。


ボンジョルネ、良い日を、と笑顔でお互いに挨拶を交わし別れ、駅に向かった。今、正に、東の空の地平線から太陽が昇ってくるところだった。



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2023年9月3日日曜日

君の耳に乾杯

 







未だ夏であることを思い起させるような暑い日となり、こんな時間に散歩に出てしまったことを恨めしく思いつつ、それでも元気に尻尾の先を威勢よくくるりと丸めて闊歩するトンカの後ろ姿を愛しく思いながら歩いていた時のこと。グレーのピットブル君が藪からさっと姿を現した。


彼とは何故か暑い日に出くわすことが多く、散歩仲間のグループとは一線を画している存在である。ピットブルという犬種がそうさせるのかもしれないし、飼い主の若い青年がどちらかと言うと定年間近の飼い主たちとつるむことを面倒くさく思っているのかもしれない。


フランスではピットブルを飼う場合、居住する自治体が発行する所持許可書を取得せねばならず、常にそれを携帯していないと罰金を科される。トンカを散歩している時に、これまでパトロール中のパトカーとすれ違ったことが何度かあるが、いつも警官はニコニコしていた。ところが、飼い主によっては、散歩中に糞を入れる所謂プーバッグを所持しているか抜き打ち検査をされたことがあると聞いて、びっくりしたことがある。


正確には飼い主によって、ではなく、犬種によって、ということなのだろうか。トンカなど人畜無害そのものの優しい顔をしているので、警官も気にも留めないのであろう。だからか、グレーのピットブル君の飼い主は、ピットブル君とトンカが匂いを嗅ぎ合う挨拶をすることさえ、あまり良くないことと思っている節がある。何かあった後では、遅すぎるからであろう。お互いに悲しい思いをしかねない。


ピットブル君は、いつでもテニスボールを齧っていて、ワンと吠えることもない。これは、無暗に吠えたり、噛みつかないように躾をされているということなのだろうと思われる。


それでも、何回目かの逢瀬ともなると、お互いに挨拶をするようになるし、気も緩み次第に打ち解けた雰囲気が生まれてくる。しかも、この炎天下、お互いにやれやれ、暑いですねえ、お疲れ様です、との気持ちを共有したくなるものである。


ピットブル君、ちゃんと躾が出来ていて立派ですね。いつもボールを口に咥えていて可愛いこと。名前は何ですか。


と聞いてみたところ、非常に聞き取りにくい名前を告げられた。同じように発音してみたものの、どうやら違うらしい。すると、スペルを綴ってくれた。「デー、アー、エール、カー」え?ダーク?ふと若者のTシャツを見ると、なんだかアラビア文字が躍っている。ああ、彼の母国語のアクセント濃い発音なのか。


ふっと、暗澹たる思いが胸を過る。ピットブル君に、もうちょっと幸せな名前を付けてあげても良かっただろうのに。いや、それはこちらの勝手な思いあがった考えか。煙草の匂いが暑い叢のむっとした香りとともに鼻を掠めた。


皆、それぞれの人生があり、その人にとって何が幸せかなど誰にも分からないし、本人だって分かっていないことも少なくない。それでも、生きていくのが人生。


おい、ピットブル君。幸せになるんだよ。そして、君の飼い主君をいつまでも愛で包んであげるんだよ。君のシックでお洒落なグレー色をした、ピンと尖った愛らしい耳に乾杯。



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2023年8月23日水曜日

何事もほどほどに

 





このところ、森に散歩に行くたびに、ずっしりとした大きなセップに出会う。初めての時はビギナーズラックだろうぐらいに思っていたが、こう連日となると、どうやら今年は当たり年らしいと思われてきた。かつ、8月に収穫なんて時期が前倒し。自然の恵みに大いに感謝し、毎夕食に恭しくいただいていた。


ところが、どうも腕や足に、そして首にと小さな赤い発疹が出てきてしまった。


ひょっとしたら、あのミラベルたっぷりのタルトがいけなかったのかもしれない。ミラベルも、我が家の庭に黄金の粒がなるものだから、数年は毎朝採れたてを食していたのだが、数年後には蕁麻疹が出るようになってしまい、今では加熱しないと食べられないことが分かっている。クエッチにしろ、然り。不思議なことには、お店で売られているミラベルやクエッチを食べても、蕁麻疹は出ないのだから、訳が分からないと言えば分からない。


いやいや、これは摂取する量によるものなのかもしれない。流石に、お店で買う時はほどほどの量で、いただく時もほどほどの量。


セップにしても、同じことが言えるのかもしれない。


トンカのことを言えないではないか。とほほ。


先日ご自身の庭から採れた日本の胡瓜をいただいたご近所さんに、写真入りメッセージで森で採れたてのセップをお届けしたいのですが、お好きですか、と送ったところ、「天然茸は調理したことがないので」と遠慮されてしまった。毒キノコの可能性を危惧したのかしら。


せっかくだから、今度は保存食として調理してみようか。塩漬けになるのかしら。研究せねば。



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2023年8月6日日曜日

マダムとミラベル

 





トンカと競争して籠一杯に採ったミラベルを、新鮮なうちにお向かいのマダムに届けようと思った。マダムの庭では無花果、さくらんぼ、キーウィ―、パッションフルーツといった果物が採れ、いつもたくさん分けてもらっていた。


ミラベルを持っていくと大喜びで歓迎してくれて、丁度無花果をあげようと準備をしていたと鍋にたっぷりの無花果を手渡された。どうやら前日に採ったものらしく、大きくてぽってりとしている完熟状態で、とにかくジュースがたっぷりと出ていた。マダムは無花果が大好物だったが、ある時から無花果の実の小さな粒々が歯に詰まるので、もう食べなくなったとかで、いつだって申し訳ない程に多くの無花果をもらっていた。


ちょっと見に来て欲しいと言われ、無花果のことかと思いつつ、促されてキッチンに入ってみると、以前お邪魔した時にはガスコンロだったのが、お洒落なIHにとって代わっていた。恐らく、高齢なマダムにとって、ガス漏れや火の消し忘れによる事故のリスクがあるガスコンロよりも、IHの方が安全で掃除が簡単といったことから、お子さんたちが設置したのであろう。ところがマダムにとっては、そのIHこそが曲者なのであった。


パン、パンと指で何度もあちこちを押しながら、電源が入らなくなってしまったと嘆いている。IHにしても、幾つもの指令を同時期に複数回出され、困ってしまったのではあるまいか。論理的に理解をしようとすることなく、とにかく作動するように、叩きまくるといった原始的な姿勢こそが、マダムの家の電化製品がことごとく壊れてしまうことの大きな要因であることが、マダムのお子さん達には分からないのだろうか。


インターフォンから始まって、電話、掃除機、PC、タブレット、コーヒーメーカー、とにかくあらゆる電化製品が故障してしまう。マダム自身、この家には魔女がいると笑って言っていて、そんな時には、マダムこそが魔女なのですよ、と目で応じることにしている。


マダムの様な方には、ガスコンロが一番ですよね、と言えば、階下にガスコンロを残していると言う。取り敢えず、煮炊きに困ることはないらしい。日曜に息子さんが見に来てくれるらしく、先ずは安心してマダムのところを辞した。


我が家の門では、待ちきれずに、ちょっとした小さな窓の隙間を手を入れて、鼻を入れてこじ開けて外に出たのであろうトンカが、嬉しそうに迎えてくれた。


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2023年7月23日日曜日

涼風会席






トンカをこよなく愛してくれる犬の師匠である友人が、スライサーを安く手に入れたので、お試しということで豚肉の薄切りを差し入れしてくれたことがあった。丁度息子バッタが帰って来ていた週末だったので、早速生姜焼きにして有難くいただいた。


フランスでは薄切り肉は簡単には手に入らないので、我が家でしゃぶしゃぶやすき焼きをしたことはなかったが、これは楽しめるのではないかしら、と友人を誘ってみたところ大いに乗り気になってくれた。そこで、共通の友人でもある、ご近所のマスターを誘って、3人で鍋を囲むことになった。


しゃぶしゃぶ鍋などないが、フォンデュ鍋ならあると思っていたが、さすがご近所のマスター、土鍋もコンロもあるので持参してくれるというではないか。一気に盛り上がったものの、この暑さ。鍋で暑気払いとも言えなくはないが、今回は冷しゃぶとして、寒くなった秋にも、改めてしゃぶしゃぶ鍋にしようかと提案してみる。


ところが。友人二人とも、材料さえ揃えば他にすることがない鍋の魅力断ち難し、とのこと。しかも、唐辛子たっぷりのキムチ鍋にしよう、などと恐ろしいことを言い出す始末。よっしゃ。しゃぶしゃぶ決行で結構。


果たして、ご近所のマスターが土鍋とコンロ担当、犬の師匠が食材担当、不肖私めが鍋のスープ担当となった。豆乳鍋にしようと、色々と楽しく検索。最終的には胡麻豆乳鍋とし、唐辛子ペーストを薬味にして、辛味が好きな友人たちのリクエストに応えることにした。


【胡麻豆乳鍋の出汁作り】

たっぷりの水に昆布を一晩漬けておき、うまみを引き出す。せっかくなので、ゆっくりと煮て、沸騰寸前で昆布を取り出しておく。

・摺り胡麻 大匙4(今回は我が家にあった黒胡麻使用)

・練り胡麻 大匙1

・キビ砂糖 大匙3

・自家製味噌 大匙1.5

・塩 小匙1


以上を練り合わせ、昆布出汁に溶かし込む。溶け込んだことろで、昆布出汁の半分の量の豆乳、醤油(大匙3)、胡麻油(大匙1)を入れる。これで1.2リットル程度の出汁が完成。薬味として、マグレブのアリサ(唐辛子、ニンニクのペースト)を準備。


この日、犬の師匠が持ってきてくれた食材

・薄切り豚ロース(美しいピンク色)

・白菜、青梗菜、韮、エリンギ、エノキ、豆腐、葛切り、〆のお饂飩


土鍋がぐつぐつと頼もしい音を立て始めると、胡麻の香りが立ちあがり、アリサの刺激的な香りも手伝って、皆の顔は興奮に輝き出した。待ちきれずにピンク色の薄いお肉をしゃぶしゃぶっとし、口に入れてみると、暑さもふっとぶ程に美味。その後、三人ともおしゃべりに夢中になりつつも、箸を休めることなく、大騒ぎで大いに楽しんだことは言うまでもない。しかも口々にお腹がいっぱいと言いながらも、〆のお饂飩はちゃんとお腹に収まってしまった。


途中で、前回好評だった氷皿にて、今回はきゅうりの桂剥きで梅酢玉ねぎとサーモンを巻いた箸休めを提供。デザートには、粒餡で作った水ようかんを用意していたので、皆で勢いで食べてしまったが、恐らく水菓子あたりが良かったのでは。庭の枇杷があれば最高だったけれど。


こうして、名称は涼風会席なれど、実際は熱々の鍋料理。それでも、真夏の夜の夢ならぬ、真夏の夜の宴。最高!また是非、皆で集まろうと笑顔で日付が変わる頃に解散。暑くても、皆で囲む鍋、おすすめです。



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2023年7月14日金曜日

冷製3点 箸休め

 






近所の友人から、プチ女子会に誘われる。仕事で忙しければ手ぶらでどうぞ、とのことだったが、せっかくだから何かを持って行こうと思案。三日後というショートノーティスなので、恐らく誰かの代打。であれば、ちょっと手抜きでも許してもらえようか。


猛暑が続いていたので、ここは冷製の箸休めなど、どうかしら。ちょうど自家製の松の葉で作った清涼飲料が、飲み頃に仕上がっているので、きりりと冷えた白ワイン1本も携えて行こう。


先ずは、サーモンの胡瓜巻き。

玉ねぎはスライスにして、梅酢に漬けておく。きゅうりは薄く縦長にスライス。そこに、玉ねぎを並べ、サーモンを置き、しっかりと巻き上げる。


二点目は、ズッキーニのカナペ。

ズッキーニは太目の輪切りにし。オリーブオイルで両面に薄っすらと焦げ目がつく程度に焼き上げる。冷えてから、クリームチーズを載せ、一つはイクラ、一つはプチトマト、そしてシブレットやコリアンダーで飾りつけ。


三点目は、海老とグレープフルーツの盛り合わせ。

グレープフルーツは実だけ切り出し、ウォッカとミントで風味付けをしておく。茹で海老は殻を剥いておく。


さあ、ここまでなら、簡単、簡単。一ひねりが欲しいところよね、そう思いながら、トンカと森で散歩していた時に、突然閃く。そうだわ!緑濃いシダの葉、紫蘇の花に似ている赤紫の花穂を失敬すると、背中のリュックにしまい込む。


うきうきしながら、家に戻り、大きなバットにたっぷりの水を入れ、シダの葉と花穂を浮かべ、冷凍庫に!願わくは、しっかりと凍っておくれよ。


さあ、さあ、お立ち合い、お立合い。どうかしら。ちょっと、盛り過ぎちゃったので、シダや花穂入りの氷のお皿が分かりにくいけれど、女友達との楽しい夕べに持っていく一皿としては、上出来なのでは、と自画自賛。ふっふっふ。





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2023年6月17日土曜日

お隣さん

 





バッタ達と同年代のお子さんがいたお隣さんが、旦那の仕事で英国に引っ越すことになり、家を売ろうと試みるも買い手が現れず、結局貸家にすることにしたところ、未就園児の男の子ふたりを抱えるカナダ人の家族が入居することになった。


まあ、にぎやか、にぎやか。大家の家族も、旦那がアメリカ人だからか、とにかく庭に出て電話や会話を大声ですることが多く、驚く程鮮明に話の内容が分かってしまう時もあって、かえってこちらが恐縮していたが、その比ではない。幼い子供は、こんなにもうるさいものだったのかと、驚いてしまう。加えて、親の叱る声が加わるのだから、参ってしまう。


いや、実は参ってはいないし、正直なところ、どんどんやって欲しいと思ってしまう。彼らに比べたら、我が家のトンカのおとなしいことったら!


それでも、人間の子が泣き喚いても、子供だから仕方ないよね、で済むところ、犬がワンワンと吠えたてた日には、うるさい犬だ!となってしまうのだから、割に合わない。いやいや、ここは人間の世界であることを、改めて思い知らされることになる。


このお隣さん、何を思ったのか、先日「こんにちは!隣のものですが、家を売りたいって聞きました。ぜひ買いたいと思っているのですが。」と玄関前に現れたのだから、大いに驚いてしまった。


へえ、それは初耳です。と惚けはしたが、一体誰だ何を言っているのか。いやいや、最近の新しい手法なのかもしれない。「ええっと、五百万€で考えているのですが。」そう言ったところ、きょとんとしている。まさか、冗談だと分かっていないのだろうか。隣に寝そべっていたトンカを指して、「ご心配なく。犬も一緒ですよ。」と言ってみると、漸く笑顔が戻った。


しかし、子供とは、こんなにうるさかったのか。我が家のバッタ達も、成長の過程で多くの人々の寛容さに甘えてきたのだな、とつくづくと思ってしまう。おっと。もう夜の10時ではないか。子供達の就寝時間はとっくに過ぎてはいないか。我が家のバッタ達は8時には寝ていたことを懐かしく思い出す。


子供達を夜の8時に寝かせることで、親は自分の時間を確保できた。子供も、疲れたからとぐずることなく、すくすくと育った。と、思うのだが。やれやれ、お隣さんは、どうやら同じ教育観を共有してはいない様子。夏中、彼らの騒ぎ声と大人の叱り声を聞くことになるのだろうか。うーむ。これは新手の、テロではあるまいか。


我関せずと寝入っているトンカ。かくありたし!




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2023年6月14日水曜日

割れない、ぷるるんとしたスフレチーズケーキ初挑戦

 





冷蔵庫の片隅に鎮座している生クリームの存在が、このところずっと気になっていた。いつ、何のために購入したのだろうか。封が切られていないので、取り敢えずは悪くはなっていまいが、これまで何度青カビちゃん発生で捨てただろうか。


生クリームを使ったケーキといえば、チーズケーキだろうか。この季節、ババロアも悪くはあるまい。そう思いながらネットでレシピを何気なく見ていたところ、「割れないチーズケーキの作り方」というものが目に留まった。ははあん。近所の友人、苔庵のマスターが言っていたことかしら。


割れないケーキを焼くために、どれだけのクリームチーズを買って、何度ケーキを焼いたか、そして、漸く黄金レシピと失敗しない方法にたどり着いたと言っていたことを思い出した。その時には、彼女が焼いてくれたチーズケーキの得も言われぬ美味しさに、うっとりとしていたので、彼女の努力や試行錯誤の体験談をそんなに身を入れて聞いてはいなかった。


正直なところ、お味が良ければ、表面が割れていようが、皺が入っていようが、たいして問題ではないように思っていた。ところが、作り主にとってはそうでもないようで、出てくる、出てくる。多くの方の試行錯誤談。そして。皆それぞれの、ちょっと違って、それぞれの工夫がなされたレシピ。それを無料で素早く、大量に目に触れることができるのだから、全く便利でありがたい世の中になったものではないか。


取り敢えずは、一つ試しに作ってみよう。そう思った時には、当初の冷蔵庫で鎮座している生クリームの存在など吹っ飛んでしまっていた。


銘打って、「割れない、ぷるるんとしたスフレチーズケーキ初挑戦」。


日本のレシピは、当然ながら日本で流通している材料、器具を利用したものなので、海外にいると一工夫が必要となる。かつ、ずぼらなので我が家にある材料、器具を出来るだけ有効活用しようと思ってしまう。


直径15センチの底の抜けるケーキの焼き型なぞ、ないものなあ。やむを得ず、耐熱と思われる陶器の器を利用することに。直径12センチ程度なので、生地が余ったら、これまた陶器の器に入れて焼くことにする。


材料

クリームチーズ 200グラム ← マスカルポーネ使用

無塩バター 30グラム

牛乳 50ml

卵 3個

小麦粉 10グラム

コーンスターチ 20グラム

砂糖 60グラム ← キビ砂糖使用


ボールにチーズ、バター、牛乳を入れて、湯煎し溶かしながら撹拌。

↑卵黄3個分を入れ、更に撹拌。(卵白は冷蔵庫にて保管)

↑篩った粉類を入れ、よく混ぜて生地を作り、濾し、冷蔵庫で30分寝かす。

その間にケーキの型を準備。クッキングシートで底、側面を覆うが、型にバターを塗ってシートが動かないように工夫するとともに、生地が入るシート部分もバターを塗っておく。

卵白に砂糖を加え、メレンゲを作る。角がおじぎをする程度までしっかりと撹拌するが、角が完全に立つ手前で留める。

3回に分けてメレンゲを冷蔵庫に冷やしていた生地にしっかりと混ぜる。

ケーキ型よりも大きめの器を用意し、2センチ程度まで40度程度のお湯を張り、生地を流し入れた型を入れる。

200℃のオーブンで20分、オーブンを開けて熱気を出して110度にして、60分焼く。

焼き上がったら、すぐに型から外し、冷ます。


さあ、どうかしら。ふふふ、なかなかどうして、意外にうまくいったのではないかしら。


お向かいの90歳になったマダムに、久しぶりにお持ちしようかしら。薔薇の花を添えて。





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2023年4月2日日曜日

花より団子のお花見会

 




いつもなら大地ではクロッカス、水仙、ヒアシンス、チューリップの順で咲き始め、次第に連翹が黄金に輝き出すと、樹木の花芽がぷっくらとし出して、さくらんぼ、ミラベル、クエッチがそれぞれに純白の花を咲かせるのだが、ここにきて駆け足で暖かくなったものだから、一斉にすべてが咲き誇っている。


花が散ってしまう前にと、慌ててトンカの友人師匠と連絡し合い、我が家の庭でお花見をすることにした。あいにく我が家はトンカと私だけだったが、彼女の家族は大型プードルとスピッツを飼っていて、バッタ達よりは二、三年年下のお子さん二人がいる。皆さんお揃いでどうぞと誘ったのだが、当日旦那さんは出張で不在、そして恐らく子供達は遠慮すると思うわ、とのことだった。


天気予報はやっぱり当てにならず、良い日を選んだはずなのに当日は肌寒く、とてもではないが外でピクニックをするのは厳しい天候となってしまった。それでも、お花見決行で結構よね、と確認し合った。せっかくだけど、家の中で食べましょうよ、と。食事会は人数が大勢いた方が楽しいと相場が決まっている。ご近所の散歩仲間に声を掛け、彼女がデザートを作って持ってきてくれることになっていた。


「本当に皆でお邪魔していいのかしら。」


友人師匠からそんなメッセージが届いた。勿論よ、嬉しいわ!と返事をしながら、「皆」とは、子供たちのことなのか、犬君たちのことなのか、と疑問に思った。が、その時はその時。茶巾寿司を作ろうと準備をしていたし、海老の殻でとった出汁はたっぷり出来ていたし、子供達が来てくれればトンカも大喜びする。


果たして。トンカが興奮し出したので玄関に出てみると、おお、大型プードル君、ちびっこスピッツ君を引き連れ、お子さんたちも一緒に、友人一家がお揃いでやって来てくれた。「息子の友達も呼んじゃったのよ。いいよね。」というので、最初は犬君の友達かと勘違いをしてしまったが、高校生の友達のことであった。大笑い。勿論よ!




トンカは訓練をした甲斐なく、興奮して飛び回って皆に挨拶をしている。犬君たちは外で遊んでもらった方が落ち着くかもしれない、となったが、せっかくなのでと皆で外でさくらんぼの花を愛でることにした。ひとしきり遊びまわったり、おしゃべりをして、お腹もすいてきたし、と家に戻り、スープを温め直していると「あら!トンカが!」と、友人のお嬢さんが素っ頓狂な声を上げる。何事かとサロンに行けば、なんと、一つだけ格好が悪くできてしまった茶巾寿司をお皿に分けて置いておいたところ、それをぺろりと食べてしまった後だった。


皆大笑いをしているが、ちょっと、ちょっと、トン助よ。それはないでしょう。でもさあ、ねえ。美味しかった?寿司飯には、椎茸、人参、さやいんげん、海老が入っていたが、卵焼きはもちろんのこと、お米一粒も残さずに、食べてしまったのだから、美味しかったのだろう。もうちょっと味わって欲しかったけど、いや、そこじゃないよね。いやはや。


友人はお稲荷さん、細巻き、唐揚げをたくさん作って、お重に入れて持ってきてくれた。ジューシーなお稲荷さんは大好物。嗚呼、なんて幸せなのだろう。そして圧巻は散歩の友人のデザート。日本産のサツマイモをマルシェで見つけたとかで、サツマイモのシフォンケーキを焼いてきてくれたのだが、これが得も言われぬ美味しさ。まろやかで、軽くて、優しい味わいで、一口ごとに唸ってしまった。もう一つは、苺大福。可愛らしい赤い苺がまっしろな大福からのぞいていて、見て楽しみ、味わって楽しむ、素晴らしい出来。


花より団子とはよく言ったもので、おしゃべりと美味しいお食事に夢中になり、あっという間の楽しいひと時に。どうもありがとう!今度はもうちょっと太陽が出ていて、暖かい時に外でにぎやかにやろうね。


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2023年3月24日金曜日

持つべきものは友





 


急に悪寒が走り、頭が爆発するかの如く痛くなり、もう座っているのさえしんどくなってしまったのが四日前。丁度ランチ前だったので同僚たちにはランチに行ってもらい、一人静まったオフィスで、ヴィヴァルディのデュオのヴァイオリン協奏曲を流しながら、デスクの前に突っ伏して迷走ならぬ瞑想をした。


そのお陰か、午後は何とか持ちこたえることができ、定時に帰宅。今か今かと待っていたトンカに、今日の散歩は中止とは流石に言えず、リードをつけたままで近間で短時間だけ行くことにした。


それがそうはならないというのが現実。短時間コースにはそれなりの罠があり、道路に出てしまうトンカの後を追ったり、くねくねの小径ではトンカのペースについていけず、時々姿を見失いそうになり、慌てて呼び戻したりと四苦八苦。


翌日は近所の友人宅で前回のアトリエ仲間とのお茶会が予定されていたが、流石に今回の参加は無理だろうと、やむを得ず欠席する旨連絡を入れた。


翌日も頭痛は収まらないがテレワークの日でもあり、どうしても終えてしまいたい案件を抱えていたので何とか仕事をし、夕方にはトンカに促され、散歩に森に出た。丁度トンカの友達のルイに会ったので、トンカは歓喜してルイと駆けっこをし、トンカにとって最高の散歩となった。


いつもよりも長めの散歩とはなったが、気持ちは爽快で、気分転換にもなり、これで頭痛さえ消えてくれればと願わずにはいられなかった。家に帰って携帯見ると、お茶会をしている近所の友人から電話が入っていたことに気が付いた。どうしたものかと思っていると、トンカが元気よく玄関の方に走っていく。


門のところでは友人達二人が、なんとお見舞いセットを持ってきてくれていた。色合いも綺麗にしっとりと焼き上げられたチーズケーキ、風邪には一番との手作り生生姜シロップ、皆で研究し合い最高の出来になったというまあるい大福、友人の一人の手作りの白味噌!ああ、なんて、なんて心優しい友人達よ!その気持ちだけで、もう半ば元気になってしまう。


トンカの散歩も友達のルイに助けられたように、私も友達に大いに助けられている。持つべきものは友。本当にありがとう!



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2023年2月26日日曜日

苔庵アトリエ

 






最初はママ友として知り合い、散歩仲間となった近所の友人。バリスタ並みの腕前で、自分で豆を挽いて、秘蔵のサイフォンで奥深い味わいながらもすきっとキレがある、そんな珈琲を淹れてくれる。


観葉植物も大切に育てていて、愛らしい苔玉を手作りしたり、ミニアチュア版の水苔で小宇宙を作ったりしている。彼女と森を散歩すると、やわらかな日差しを浴びてビロードのように静かにしっとりと、ひっそりと佇む苔を見つけては、歓喜して跪いて愛しむので、新たな世界発見のような気分になる。


そんな彼女が苔玉アトリエを開催してくれるというので、喜んで参加してきた。別の友人による大福アトリエとの共催となっていて、気の置けない仲間たちと、楽しく学んで、豊かな時間を一緒に過ごそうというのが狙い。


苔は、大きな声では言えないが、先日トンカと一緒に森で採集したもので、深緑のものや、ふわふわの薄緑のものや、青みがかったものなど、種類は豊富だった。苔玉に植える植物は、友人が近所の園芸センターで、それこそ毎週通って厳選し、調達したものだった。


皆それぞれに贅沢にも好きな植物と、好きな苔を選び、友人が用意してくれた土で、丸い球を作ることから始めた。これがなかなかどうして、上手くいかない。選んだ植物が、なんとなくパイナップルの葉に思えてしまったのがいけなかったのか、球状ではなく、西洋梨のような形になってしまう。


友人が何度も手伝ってくれて、球状に一度はなったのだが、苔を張り付けた段階でいつの間にか西洋梨になってしまった。改めて友人の手伝いで球状に成形しなおし、糸で巻き始めたところ、やはりいつの間にか西洋梨。まあ、それも愛嬌か、と思うことにする。そう、個性、個性。


両手に持って、力いっぱい時間を掛けて丁寧に成形していくからだろうか。不思議なことに、ものすごく愛着がわいてきて、完成した時には、皆それぞれに名前を付けてしまったぐらい。私の苔玉の名前は、賢明な読者の皆さんなら、もうお分かりのことと思います。


週に一度、ぶくぶくとカルキを抜いた水風呂に入れてあげる。3ヶ月に後には、新しい苔でお着替えをさせてあげるらしいが、それはその時に。今は、我が家に迎え入れた新しいべべを愛しもうではないか。ね、パインちゃん。


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2023年1月14日土曜日

ビストロYuvuzela亭での新年会

 





先日、料理好きの友人と出会った際に、彼女のお手製のガレットデロワを囲んで皆で茶話会をしましょうとなっていた。11月末のこと。その彼女から、皆さん既にガレットデロワを食べ飽きちゃった頃でしょうし、他の物でランチかお茶しましょうよ、とのメッセージが入った。喜んでお菓子は作るけど、企画は任せたいとのことだった。


「呼んでくれたら、すぐに行きます!」


その文字が脳内で炸裂し、バッタ達が誰も来ない週末がポップアウトし、新年会をしようとの思いに進化した。実施まで正味三日もない。さて、何人が集まれるだろうか。取り敢えず、思いつく仲間たちにメッセージを送る。


街でばったり会った友人の顔が思い浮かんだ。開口一番息子さんの進学について息せき切ったかのように話していたが、きっと思い悩んでいるのだろう。大勢で美味しいものを食べたら、ちょっとは気晴らしになるのではないかしら。


次には、このところすれ違いばかりで、なんだか避けているようで心苦しい思いをしていた友人の顔が浮かんだ。正直なところ、一対一で話をするには気が重い相手ではあったが、最後に偶然会った時の表情が、いつもの張り切った様子ではなかったので気にはしていた。そうだ、この機会に彼女も呼ぼう。


トンカに会いたいと言ってくれていた友人の顔も浮かんだ。カナダに行ったり、日本に行ったりと忙しくしている彼女だったが、恐らく丁度日本から帰って来ているだろう。常に何かしらスケジュールを入れている様子だが、せっかくなので声を掛けてみよう。


今の仕事を辞める決心がついたので、是非お仕事あればお声掛けください、と言っていた年若い友人の顔も浮かんだ。恐らく前の仕事で、日本人スタッフが必要な時に声を掛けていたのだろう。今は全く違う仕事をしているので、そんな機会はなさそうだと思っていたが、友人達を紹介することは出来るだろう。


6人集まれば御の字。余りのショートノーティスなので、4人でも楽しくやれそう。そんな風に思っていたのだが、あれよあれよと皆快諾してくれて、スキーに行く友人と別件が既に入っている友人以外は皆来てくれることになった。


バッタ達の学校関係の友人が6名、大学の同窓会の友人が1名、前の職場関連で知り合った友人が1名、それにフランスに足を踏み入れた時からの恩人でもあり、大切な友人が加わり、私を入れて総勢10名の新年会となる運びに。


学校関係の友人とはいえ、お互いに知らない場合もあるし、この際、皆の自己紹介も兼ねて全員にメールを送った。


昨日思い立っての新年会のお誘いに即ご快諾くださり、ありがとうございます💖


急ぎのメッセージでしたので、改めて詳細下記の通りご連絡します。ご確認下さいませ。


日時: 〇月〇日(〇曜) 20時スタート

場所: ビストロYuvuzela亭


イチオシの逸品、皆と感動を共有したいと願う一品をお持ちいただけましたら幸いです。勿論ボトルでもOK。果物も嬉しいです。二品、三品でも、勿論大歓迎( ´艸`)。私は当日の魚の入り具合で決めますが、一応お刺身を予定しています。


以下、集う予定メンバーを紹介します。


と、書いているうちにも、数名の方から嬉しい参加の連絡を受け、総勢11名となりそうです。ギリギリだったので、都合のつかない方もいるだろうと、キャパ以上の方に声を掛けた結果でやんす。賑やかな方が楽しいよねってことで、手狭となりますこと、目をつぶってくださいませ。立席パーティーとするか、トンカとの相席ありとするか、押しくらまんじゅうとするか検討中です。お楽しみに。


  • 人生観が変わる程の珈琲を淹れるバリスタ。プロのこだわり精神で手掛けた各種料理は驚異的で人々に感動をもたらすことで定評。
  • 今回の新年会の陰の発起人(言い出しっぺ)。彼女の作る手の込んだ洋菓子、和菓子に恋に落ちた人は数知れず。洋裁、和裁もお茶の子さいさい。
  • 人生のパートナーとの出会いはパリのメトロでの演奏という超ロマンチックなエピソードを持つ、向日葵のように朗らかなミュージシャン。
  • 一歩下がってさりげなく人を立てる細やかな心遣いと秘めたる情熱が燃える瞳を持ち、狙いを定めたらスッポンの如く諦めない清純派熱血漢。
  • メドックマラソンという、ワインを楽しみつつフルマラソン完走を成し遂げた強靭な精神と体躯の持ち主。茶目っ気たっぷりの自然をこよなく愛する知性派アイドル。
  • 蘊蓄を語らせたら右に出る者はいない、知識と経験豊富な才媛。彼と一緒に食べたオレンジの種を蒔いて、今でも大切に育てているロマンチストの一面も。
  • フランスの合理性と日本の奥ゆかしさをバランス良く併せ持つ。高級食材もてらいなく使いこなし、軽妙洒脱なトークはどの年齢層にも大人気。書道の大家。
  • 遠目からも性別、年齢、血統を推し測れ、一度覚えた名前は忘れない恐るべし特技を持つが、発揮するのは犬限定。犬達から熱い視線を常に浴びている森のドン。
  • 会うたびに若返り、近所のコーラスクラブで美声を発し、見事な飲みっぷりで人生を謳歌する傍ら、日本産業振興のためEU界を暗躍するロビイスト兼陰のフィクサー。

あれれ。やばいわ。11名だと思っていたのに、何故か10名しか思い浮かばない。でも、遅くならないうちに、取り敢えずこれにて送ります。


さあ、10名分の椅子とテーブルをどうするか。


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2022年11月28日月曜日

ボルシチの味 後編

 




お目当てのシュトーレンを買うことはできたが、厚みのあるA5サイズの特大スペキュロスは見つからなかった。当てもなく探していると、息子バッタの同級生のママ友や、末娘バッタにお裁縫を教えてくれたお料理もお裁縫もプロ級の友人に声を掛けられる。


久しぶりなのに、久しぶりの気がせずに、かつてのようにおしゃべりをし、冗談を言い合い、とても楽しい時間が流れていく。彼女たちも既に子供達は卒業しているのに、いやだからこそ、なんの気兼ねもなく学校のバザールに出掛けてきて、掘り出し物を見つけたり、懐かしい顔に出会っておしゃべりに花を咲かせていく。


そうこうしているうちに、メッセージを送ってくれた現役ママの友人と出会う。彼女には、良かったら我が家の玄関スペースに車を停めてね、と予めメッセージを送っていた。


バザールがある日は学校の近くの路上駐車の場所は大方既に誰かの車が駐車してしまっていて、体育館の駐車場も満杯、近くの別の学校の駐車場に停めに行くなど、駐車場確保には皆が苦労する。丁度末娘バッタが車を使っているので、学校の近所の我が家の玄関スペースを使ってもらえれば、と思ってのことだった。


この申し入れを喜んでくれて、早速車を停めて来たという。トンカのにぎやかな歓迎の声に迎えられたというので、嬉しくなってしまった。


彼女と立ち話をしている間に、数名の知り合いやバッタ達がお世話になった先生が通り、その度に色々な話題に盛り上がり、時間が経つのも忘れてしまう程。友人は現役ママなので、バザールの出店でのお手伝いがあるからと、とりあえず別れたが、車をとりに戻る時に、是非顔を見せてね、と言っておいた。


家に帰ってくると、お留守番をしていたトンカから、どこに行っていたのキックを盛んに受けてしまった。そりゃあそうだよね。朝は一緒に森に行くつもりにしていたのだものね。ごめん、ごめんよ。


なだめているうちに眠ってしまったトンカの温かな体温を心地よく感じながら本を読んでいたら、突然トンカが起きて窓に向かって盛んに騒いでいる。と、友人が車のトランクを開けている様子がカーテン越しに見えたので、慌てて外に出てみる。慌ててと言っても、トンカと一緒に台所の勝手口から出て行ったので、当然ながらトンカが先に飛び出してしまった。友人の慌てふためいた声が聞こえるので、それこそ慌てて行ってみると、なんと友人は両手に包みを持っていて、トンカにいたずらされないように高く掲げている。


「ボルシチなんです。この器に入れて食べてくださいね。」


なんと、熱々のボルシチと、それを入れるお洒落な器。バザールで買ってきてくれるなんて。慌てて彼女の手から受け取り、這う這うの体でトンカの魔の手から逃げることに成功。


ボルシチは野菜とお肉がじっくりと煮込んであって、最高の味わいだった。



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ボルシチの味 中編

 





ところが、現役ママの友達からメッセージが入ったこともあり、急遽予定を変更し、トンカには家でお留守番をしてもらうことにし、毎年恒例のノエルのお菓子、シュトーレンとスペキュロスを買いに繰り出すことになった。


シュトーレンはドイツのお菓子だが、昔の職場の同僚だったドイツ人のヴェルナールが毎年お客様からの戴き物の大きなシュトーレンを恭しくスライスし、皆に一切れずつふるまったことを思い出す。非常に懇意にしているお客様からの一年間の感謝の気持ちを込めた贈り物だと聞いて、ドイツにも日本のようなお歳暮を贈り合う習慣があるのかと、感心したものだった。


それ以来、なんだか特別な思いが込められている気がして、大きなシュトーレンを見ると買うようになってしまった。ひょっとしたら偶々ヴェルナールのお客様がお歳暮にシュトーレンを選んだのかもしれない。しかし、あの時の誇らしげで嬉しそうなヴェルナールの顔からは、大きくて真っ白な粉砂糖がたっぷりと振りかけかれた美しいシュトーレンこそが、特別であると思わしめる何かがあった。


それと、スペキュロス。学校のバザールで出会った、3センチはありそうな、たっぷりとした厚みのスパイスが効いたB5サイズはありそうな大型ビスケット。一かけ口にしただけで、深みのあるシナモンの豊かな香りがビスケットの甘みと一緒に襲ってきて、得も言われぬ程の幸せ感に包まれる。


ところが、ここ数年は何故かバザールで見つからず、手にすることが出来ていない。夢のスペキュロスの味になってしまう前に、是非とも見つけて、味わいたいと切に願ってしまう。


今年はバザールの開始時間が遅いのか、皆がゆっくりとしているのか、朝の10時頃に行ったにも関わらず、これまでだったら既に出店の前では押せよ押せよの大混乱なのだが、意外に閑散としていて、担当者がのんびりと商品を陳列しているところだったり、通りでは段ボール箱を抱えている人や、両手に大きな袋を持っている人などが慌てた様子で行き交っていた。


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