こんにちは!朝山家の聡士(@HbHlUnRqYkjbRMQ)です。
大分県豊後大野市の緒方町の集落から発信しています。
今回は、朝山家から車で10分のところにある
「旧緒方村役場(国登録有形文化財)」に行ってきました。
※現在は一般公開は行われていません。記事でお楽しみください!
レトロな建築やアンティークな装飾が好きな筆者にとって、
本物を見れる機会は貴重で、大変勉強になりました!
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場所はこちら!
所在地:〒879-6601 大分県豊後大野市緒方町馬場574
旧緒方村役場について
このジブリの世界に出てきそうな建物「旧緒方村役場」は、
いつ建てられたかというと昭和7年7月。
緒方村と南緒方村の合併にて完成しました。
なぜ珍しいかというと、
昭和初期の木造官公署としては、大分県内で唯一現存する建物だから
です。
国登録有形文化財(文化庁)となったのは平成9年5月9日。
令和4年6月に庁舎復元工事が完了し、7月に地域住民にお披露目をしました。
改修費用は約8600万円で、大分県杵築市の高原建設(株)が復元改修工事をしました。
関連記事▶︎毎日新聞:保存か解体か…揺れ続け、レトロに復元 大分県内「最古」の旧村役場
小高い丘の上に建つ木造2階建の旧村役場で,今も町民に親しまれている建物である。洋風を基調とする構造や意匠をもち,全体として素朴な外観になるが,正面玄関部分はスクラッチタイルを用い,2階上部には丸型の小屋根を張り出すなど装飾を施す。
引用:文化庁▶︎文化遺産オンライン「旧緒方村役場」
残念ながら一般公開はまだ行われていませんが、
豊後大野市の公式YouTubeで、館内の様子をみることが出来ます。
修復される前はどんな使い方をされていたの?
修復後の外観写真:豊後大野市資料館館長[高野弘之]撮影
当時は、緒方村役場として1階は役場事務所、2階は議場に使われていました。
その後、合併に伴い役場が移転したため役場としての役割が変化していきました。
ちなみに、戦時中は沖縄県から疎開した方もここで過ごしたことがあったとか。
1958年からは旧緒方町公民館、1965年からは医師会立の豊西准看護学院として大野郡と竹田市の共同運営で使われたようです。
歩いて向かうのがおすすめ!緒方駅から徒歩8分!
旧緒方村役場へは緒方駅から歩いて向かうのがおすすめ。
なぜかというと、小高い丘の上に立っており駐車場がないからです。
一般の方は外観を見ることが出来るので、近くに寄った際に是非立ち寄ってみてください。
余談ですが写真を見るとわかると思いますが、
入口階段の段差は、めちゃめちゃ高い!!
道路舗装の関係上、昔の入口の高さから下がったんだとか。
【見所01】正面入口の「スクラッチタイル」
建物正面の軒上と柱、そして腰壁にレンガのようなものが見えます。
これ、レンガではなく「スクラッチタイル」という日本生まれのタイル。
「すだれ煉瓦」とも呼ばれます。
こちらは玄関の柱の様子。
多数の溝が刻まれたスクラッチタイルが使われています。
有形文化財に登録された要因の一つです。
米国の建築家、「フランク・ロイド・ライト」が旧帝国ホテルを作る際に使ったもので、
歴史的に価値のある高級感と重厚感を備えたデザインです。
【見所02】復元された「石膏レリーフ」
有形文化財に登録された要因の2つ目は、
天井にあしらわれた菊の花の石膏レリーフです。
保存状態が極めて良かったことが評価の高さにつながったようです。
ちなみにこのレリーフ、木材をレリーフ上端に床ボンドを使って接着されており
引張り試験を行ったのちに引き上げられ、天井に固定されているとのこと。
写真:1階役場職員室の内部レリーフ
写真:1階役場職員室の内部レリーフ拡大
写真:議員会議室
【見所03】復元された部分だけがわかる修復
修復工事をした箇所は、はっきりとわかります。
あえて既存の木材の色に寄せるための塗装をせずに修復したのでしょうか?
逆に、新旧のあとがわかりやすく一つのデザインの形だなと感じました。
松材の床の色が全部異なる様子は逆にお洒落なデザインなのではと思います。
写真:補修した記録用のゴム印
写真:新旧がわかりやすい腰壁や竿縁天井
写真:根継された三寸五分の柱
写真:新旧がわかる市松模様のような天井のデザイン
写真:当時の松材の床も残した復元の様子
【見所04】昭和レトロを感じる古物たちや雰囲気
トイレのスイッチには、当時のトグルスイッチが残されていました。
平成生まれの筆者には、このスイッチのデザインは逆に新しく感じます。
また、手拭きガラスの木建具には昔のねじ式カギが。
おばあちゃんの家でギリギリみたことがあるかないかの鍵です。懐かしい。
照明器具自体は新しいものの、当時の様子に近い照明を使ったようです。
立派な根太天井(踏み天井)の上には、当時の行政文書などが保管されていたとのこと。
上る時は良いですが、降りる時には少し怖い。階段はすごく急でした。
すりガラスが入った、はめ殺しの木建具。
なかなかこんなデザインの窓、見ないですね!
ピスタチオグリーンのレトロな色味がとても素敵です。
今後の旧緒方村役場のあり方は?
写真:緒方平野と祖母山系を望める2階からの景色
建物自体も素敵ですが、高台に位置していることもありロケーションも景色も最高です。
豊後大野市は、この建物を行政文書などの収蔵庫として活用する方針であるとのことでしたが、
一市民の意見として、こんなに価値がある建築物を物置きにするのはもったいないとも思います。
どのような活用の仕方をするのかは、現時点では決まっていないそう。
カフェなどに活用したら観光資源としても最高だなと思う反面、建物には水道がないということもあり実現は難しそうです。
今後、どのような運営をしていくのか期待です。
(2023/05/07)
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