「どんな地球に住みたいか」 紛争地経験したICAN事務局長の問い
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の事務局長で、オーストラリア元国際開発担当相のメリッサ・パーク氏(57)が広島と長崎を訪問するため来日した。核兵器禁止条約の発効から間もなく3年。ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘は出口が見えず、核兵器使用の脅威はかつてなく高まっている。核兵器廃絶への道筋をどう描くのか。19日からの被爆地訪問を前に、パーク氏に聞いた。【聞き手・武市智菜実】
――核問題に取り組むようになったきっかけは何ですか。
◆1990年代、故郷の西オーストラリア州で核廃棄物処理場建設の反対運動に参加したことがきっかけです。その後、国連の国際法務専門家としてコソボやパレスチナ自治区ガザ地区、レバノンなどに滞在しました。戦争が民間人に与えるすさまじい影響をじかに見ました。
一方で心に残っているのは、2002年8月、パレスチナ自治区ガザ地区であった広島原爆の追悼式です。美しい夕焼けで、何百人ものパレスチナの子どもが紙の船を水面に浮かべていました。今、毎日のように爆撃にさらされているガザ地区の子どもたちが、世界の離れた場所で、自分たちとは別の時代を生きた子どもたちをしのんでいるのを見て、とても感動しました。この思い出をずっと胸に刻み、社会の不正義と闘ってきました。人類にとって核兵器は最大の不正義だと考えています。
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