前日までの日常
長与町の今道忍さん(87)は、長崎市西泊町に住んでいた1945年8月5日、大親友だった同級生の浜中篤(あつし)さんを見送った。今道さんは当時8歳。浜中さんは父が戦死し、同市浜口町にある母方の祖母宅へ、母と一緒に引っ越していった。去り際、浜中さんの母は「12日の日曜は家も片付いているから遊びにいらっしゃい」と、最寄りの電停から家までの地図をくれた。
9日、今道さんは爆心地の南西約4・5キロの自宅で浜中さんと遊ぶことを考えながら、けん玉をしていた。突然、家が揺れて棚の荷物がひっくり返り、仏壇が倒れた。窓ガラスも割れ、泣き叫んでいると、母に押し入れに押し込まれた。近くの職場へ仕事に出ていた父を含め、家族にけがはなかった。
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