委員の声も科学も軽視? 温室ガス目標「議論」はシナリオありきか
毎日新聞
2024/12/9 05:30(最終更新 12/12 18:52)
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日本の新たな温室効果ガス排出削減目標の議論の進め方や政府が示した目標案に異論が相次いでいる。削減目標は今後10年、15年の気候変動対策の根拠となるものだが、有識者の声や科学的知見を軽視したまま、環境、経済産業両省の案が「既定路線」として決まりかねない事態になっているのだ。
「非常に雑な議論」委員から異論噴出
「『きたんのないご意見を』という言葉は(政府の)パフォーマンスに過ぎないのでは」「非常に雑な議論をしているというのが実感だ」
11月25日、削減目標や実現の具体策を議論する両省の審議会の合同会合で、委員から異論や不満の声が噴出した。太陽光発電システムの販売・リース事業などを展開するハチドリソーラー(東京)代表取締役の池田将太さんは「この進め方で本当に正しい方向性の政策が作れるのか、疑問を感じている」と訴えた。
各国は、2035年以降を期限とする次期削減目標を来年2月までに国連に提出することが求められており、国内では今年6月、両省の合同会合で議論が始まった。これまでに6回開催され、経済団体や若者団体、自治体などが意見を述べ、有識者委員がコメントしたり質問をしたりするという形式で進められてきた。
意見書読み上げ「控えさせて」
池田さんが強く異論を唱えたのには理由がある。仕事の都合で前回10月の会合を欠席した際、発言の代わりに事前に「意見書」を提出したが、環境省から会合での読み上げを「控えさせていただきたい」と言われ、結果として意見が黙殺された形になった。
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