「スマホ画面をジャック」 立花氏と「切り抜き職人」の兵庫SNS選挙

選挙において今ほどSNS(ネット交流サービス)が注目されたことはない。SNS選挙の功罪を、白鳥浩・法政大大学院教授(現代政治分析)が兵庫県知事選を例に読み解く。白鳥教授へのインタビュー1回目(全2回)。
<主な内容>
・失職後のマスコミ報道「エアポケット」
・タイパとコスパ SNS情報の優位性
・「知る権利」は満たされていたか
※第2回は20日午後3時に掲載します
<兵庫県知事選をはじめとする今年の選挙では、有権者の多くがSNSによる影響を強く受けた>
マクロの視点でみれば、新型コロナウイルス禍での経験は大きい。
2020年に緊急事態宣言が出され、ステイホームのなか、みんな動画投稿サイト「ユーチューブ」を見たり、ハッシュタグ(検索目印)をつけてSNSでやり取りをしたりした。
企業も学校もリモート対応となってネットが不可欠なものとなり、インターネットが信頼に値するものだと多くの人が感じるようになった。
13年にネット選挙が解禁になったが、コロナを経た後のSNS環境は当時とは全く異なる。利用者も圧倒的に増えている。
新型コロナが感染症法上の5類に移行してから、有権者数が1000万人規模に上る選挙は今年7月の東京都知事選が初めてのことだ。
「石丸旋風」と話題になったが、SNSの影響は出るべくして出たものだと思う。
<兵庫県知事選で他に影響を与えたものは?>
実は日程の問題も重要だ。直前に衆院選があったことが、兵庫県知事選を特殊なものにした。
兵庫県知事の斎藤元彦さんの最後の登庁日は9月27日だが、同じ日に行われたのが自民党の総裁選だ。
その後、マスコミは衆院選のニュースで一色となり、斎藤さんについてほとんど報じられなくなった。
10月27日に衆院選の投開票が行われ、その直後の10月31日に知事選が告示された。知事選が始まると、マスコミは必要最低限のことを伝えたものの、パワハラ問題などをくわしく伝えなかった。
継続した情報のエアポケットのようなものができてしまっていた。
<失職直前ま…
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