大谷翔平、DeNA下克上… 5分で振り返る2024年スポーツ界
2024年のスポーツ界は、世界レベルでの活躍に沸いた。米大リーグ・ドジャースの大谷翔平は史上初の「50―50(50本塁打、50盗塁)」を達成。新型コロナウイルスの感染拡大以降、初めて「完全な形」で開催されたパリ・オリンピック・パラリンピックは、名言が残せないほどのプレーで人々を魅了した。
MLB 大谷翔平「50―50」
米大リーグ・ドジャースの大谷翔平が歴史的な1年を過ごした。「勝つことが一番大事」と、2017年オフに入団したエンゼルスから移籍。右肘手術の影響で打者に専念した今季は「走攻」面で大きな果実をもたらした。
序盤から本塁打、盗塁を積み上げて、9月19日のマーリンズ戦で3打席連続本塁打、2盗塁をマークして、メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成。最終的に54本塁打、130打点で打撃タイトル2冠を獲得し盗塁数も59まで伸ばした。
出場を熱望してきたポストシーズンでは計3本塁打を放ち、ナ・リーグ優勝に貢献。43年ぶりとなったヤンキースとのワールドシリーズは、4勝1敗で4年ぶり8度目の頂点に立ち、米球界7年目で悲願の世界一をつかんだ。
オフにはナ・リーグの最優秀選手(MVP)に選出。エンゼルス時代も含めて3度目のMVP受賞は歴代2位タイ、3度とも満票での選出は史上初の偉業だった。【角田直哉】
フィギュア坂本花織、世界3連覇
カナダのモントリオールで3月に開かれたフィギュアスケートの世界選手権で、女子の坂本花織(シスメックス)が3連覇を達成した。3連覇は1968年のペギー・フレミング(米国)以来で56年ぶり8人目。全種目を通じて日本選手初の快挙で、優勝3回は浅田真央さんに並び日本勢最多となった。
坂本は、ショートプログラム(SP)で4位と出遅れたが、フリーでは2位以下を10点以上引き離す好演を見せて逆転した。【倉沢仁志】
甲子園2部制、低反発バット導入
全国高校野球選手権(夏の甲子園)で酷暑対策のため、暑い昼間の試合を避ける「2部制」が開幕から3日間に限って導入された。1日3試合開催の日に試合を午前と夕方に分けて実施。準決勝と決勝の開始時間も繰り上げ、対策を進めた。
春の選抜大会は健大高崎(群馬)、夏の甲子園は京都国際がいずれも初優勝を果たした。高校野球では春から、投手の受傷事故を防ぐため、新基準の低反発バットが導入された。【長宗拓弥】
大相撲110年ぶり新入幕V
大相撲は28年ぶりに全6場所の入場券が完売。盛況の中で若手有望株が台頭した。
初場所後に琴ノ若(現琴桜)が大関に昇進すると、春場所は尊富士(たけるふじ)が110年ぶりの新入幕優勝を果たした。
夏場所は大の里が、幕下付け出しでは史上最速となる初土俵から所要7場所で優勝。秋場所で2回目の優勝を果たし、場所後に昭和以降最速となる初土俵から所要9場所での大関昇進を決めた。
九州場所は琴桜が初めて賜杯を抱き、優勝次点の豊昇龍(ほうしょうりゅう)と来年初場所で綱取りに挑む。
一方、首のけがに泣いた元大関・貴景勝が秋場所中に現役引退。横綱・照ノ富士は初場所と名古屋場所を制したものの、膝痛や糖尿病に苦しみ休場が相次いだ。【岩壁峻】
パリ五輪 熱狂戻る、日本勢躍進
パリ五輪・パラリンピックは、新型コロナの影響でほぼ無観客だった21年の東京大会、国内招待客のみだった22年北京冬季大会から一転し、大歓声の中で開かれた。五輪開会式は史上初めて、競技場外となるセーヌ川で実施された。
日本勢の躍進が著しかった。五輪では海外開催大会で史上最多の金メダル20個を獲得し、国・地域別のメダル獲得ランキングで3位。陸上女子やり投げは北口榛花(JAL)が制し、マラソン以外の陸上女子で日本初の金メダリストとなった。
パラリンピックでは車いすテニス男子シングルスの小田凱人(東海理化)や車いすラグビーなど14個の金メダルを獲得した。【小林悠太】
プロ野球下克上、ベイ日本一
プロ野球・DeNAは1998年以来26年ぶり3回目(大洋、横浜時代を含む)の日本一に輝いた。ペナントレースは3位だったが、日本シリーズでパ・リーグ優勝のソフトバンクを4勝2敗で退けた。
クライマックスシリーズでセ2位の阪神、優勝の巨人を破り、7年ぶりに進出した日本シリーズで、前回敗れたソフトバンクに雪辱した。3位からの日本一は2010年のロッテ以来2回目。11年オフに現球団名になってから初の日本シリーズ制覇となった。
前回日本一の98年当時、横浜の投手だった三浦大輔監督は就任4年目で栄冠を手にした。一方、球団史上初のリーグ連覇を狙った阪神は、前半戦の貧打が響いた。【荻野公一】
卓球日本女子、中国破りアジア制覇
10月にカザフスタンのアスタナで行われた卓球のアジア選手権では日本勢の活躍が光った。パリ・オリンピック銀メダルの女子団体は決勝で中国を3―1で破った。優勝は2021年以来3年ぶりだが、宿敵の中国を倒しての優勝は50年ぶり。張本美和(木下グループ)は世界女王の孫穎莎(そんえいさ)ら2選手を撃破し、快挙の立役者となった。
男子シングルスの張本智和(智和企画)も決勝で中国選手を破り、日本勢として50年ぶりの優勝を果たした。【玉井滉大】
ゴルフ笹生優花、メジャー2勝目
6月に行われたゴルフの全米女子オープン選手権で、笹生優花が2021年以来3年ぶり2回目の優勝を果たした。男子も含め、日本勢初のメジャー複数回制覇の快挙だった。最終ラウンドは首位から3打差の5位でスタート。後半でスコアを伸ばし、通算4アンダーで逆転した。
笹生は21年の東京オリンピックはフィリピン代表として出場したが、その後、日本国籍を選択した。22年からは米ツアーを主戦場としている。【岸本悠】