教職者K

30代教員の日々の徒然。

今年の小説3冊。

さて冬休みとなりました。私も何冊か本を抱えていて、この冬休みに一気に読めたらと思っております。

 

今回は2024年に出た本(特に小説)の中から私が面白いと思ったものを紹介させていただきたいと思います。

 

皆様の冬休みの読書の参考になればと思います!どうぞご覧ください!

まずこちらの芥川賞受賞作の「バリ山行」。バリとはバリエーションの略。つまり、バリ山行とは、本来のルートではない道をあえて選択して登山を楽しむことなのだそうな。

 

もちろん正規の登山道ではないので遭難や事故のリスクは跳ね上がるわけなんですが、そのリスクを背負って山と向き合う姿がいかにも「生きてる!」って感じがしました。

 

私はこういう男が趣味に没頭する話が好きなんですよ。自分自身も常に何かにハマりたいと思っているというか。こういう男が羨ましいと思ってしまう。

 

出てくるキャラクターの1人である妻鹿(めが)さんのキャラクターがナイス。さらにはキャラクターの名前の音遊びも面白い。

 

おすすめの一冊です!

 

続いてこちらの生殖記。

 

朝井リョウさんなので間違いないだろうなと思っていましたが、やってくれました。

 

こちらの作品、まさかの生殖器目線で書かれています。

 

本来小説はそのほとんどが一人称(主人公のみの視点から書く)か三人称(神視点と言われる全体を客観的に書く)のどちらかで書かれるんですね。

 

ただ今回は語り手が性器ですから、性器としてかたりながらも、宿り主である主人公の心情や考えも書くことができる。一人称とも三人称とも言えないこの視点の設定が作者の発明なのだなと思いました。

 

さらにこの生殖器がついた宿主は同性愛者という絶妙な設定。

 

子孫を残すことで拡大と発展を繰り返してきた人類ですが、子孫を残す選択がない同性愛者にとっての生殖器は何を感じるでしょうか。

 

様々な生物の生殖行動と比較しながら論じていく様子は勉強にもなりました。

 

問題としてはタイトルが強烈なのでちょっと机に置いておくのが恥ずかしいってことぐらいですかね。

笑う森

笑う森

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そしてラストはこちら。

 

荻原浩さんの作品が好きなんですが、これはもうエンタメとして超面白かったです。

物語は森の中で行方不明になった自閉症の子どもを探す緊迫したシーンから始まります。

 

もはや絶対絶命と思われたその子は無事に生還。森に来ていた様々な人たちとの触れ合いを通して生き延び、成長していきます。

 

この森にくる人たちのキャラクターの濃さったらもう。

 

一発狙うソロキャンプのユーチューバーだったり、自殺しにきた先生だったり、やくざの金を持って逃げる男だったり。

 

そんな一癖ある人たちが主人公の子供とのふれあいを通して少しだけほぐれていく。そしてその子自身も少しだけ成長する。

 

緊迫感がありながらもとても心温まるストーリー。とにかく全部つめこまれた面白い作品です!おすすめ!

 

ということで2024年に読んだ小説の中から面白かった3冊をご紹介させていただきました。

 

みなさまの読書の一助になれば幸いです。

 

本日も読んでいただき、ありがとうございました!

 

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