【鬼滅の刃】OP・ED・劇場版主題歌全曲を徹底解説

【鬼滅の刃】OP・ED・劇場版主題歌全曲を徹底解説

アニメ『鬼滅の刃』【遊郭編】

OP:「残響散歌」Aimer


2021年12月から2022年2月までのTVアニメ第2期『遊郭編』第34話から第44話(全11話)まで使用されたOPテーマ曲。歌手は、数々のアニソンや映画の主題歌を歌うAimerが採用されました。

音柱・宇随天元を思わせるブラスバンドの派手なイントロから始まり、普段落ちついた曲調のAimerからは想像できない心躍る楽曲です。歌詞には「声、響、奏、譜面」など音にまつわる言葉や、「幻花(げんか)、藍(あい)、香(か)、音(ね)」といった日本語の音の響きが、沈んでゆくような独特で揺らぎのある彼女の声にのって、派手さが彼女らしい情緒に染まっています。


MV映像の舞台は『遊郭編』の吉原をイメージしたビル街の夜の世界。華々しく打ちあがる花火と練り歩く百鬼夜行、その間をまるで忍びのように駆け抜ける疾風感ある映像美が、聴き手をぐいぐい引き込んでいきます。

MEMO

日本テレビ「世界一受けたい授業」(2023年4月8日放送)の「いま外国人旅行者が訪れるスポットベスト10」特集で紹介された「外国人に人気の日本のアニソンベスト10」の第4位にランクイン。作品を語る上で、世界共通の楽曲となりました

ED:「朝が来る」Aimer


TVアニメ第2期『遊郭編』第34話から第44話(全11話)まで使用されたEDテーマ曲(第1話のEDは「残響散歌」を使用)。歌手は、OPテーマ曲と同じくAimerが担当し、作詞・作曲・編曲は梶浦由記が務めました。

Aimer自身、今まで梶浦由記と制作したどの曲とも違う新しさがあり「闇と光の部分の振り幅をどう表現するか試行錯誤した」と語っています。海の底のように暗い部屋、その先に差す一筋の光、という明暗はアニメ本編に登場する上弦の陸・妓夫太郎と堕姫の存在にも重なります。深く包容力のあるAimerの歌声が救いをもたらす楽曲です。

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TVアニメ『鬼滅の刃』【刀鍛冶の里編】

OP:「絆ノ奇跡」MAN WITH A MISSION×milet


2023年4月から6月まで放送されたTVアニメ第3期『刀鍛冶の里編』第45話から使用されたOPテーマ曲。
頭はオオカミ、身体は人間という衝撃的な生命体5匹からなるロックバンド・MAN WITH A MISSIONと、2021年「2020オリンピック」閉会式で歌唱したmiletの初コラボです。

炭治郎が鋼鐵塚に新しい刀を打ってもらうため刀鍛冶の里を訪れる物語。さらなる戦いに挑む炭治郎と襧豆子、そして、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃を中心に展開する今期の物語性とリンクするように、楽曲も男性と女性のツインボーカルが実現しました。

三味線と尺八の音から始まり、男気がこもったストレートなボーカルに、民謡的に変幻しながら女性ボーカルが呼応する和ロックテイスト。歌詞には「胸の炎」「心に宿した火」など、まず炎柱・煉󠄁獄杏寿郎を思い起こさせると同時に、これまで戦ってきた鬼殺隊1人1人の命が尽きようとも、必死で繋げてきた“信念の火”と“長い歴史”も感じます。

TVアニメOP映像では、時透と甘露寺の生い立ち、歴代の鬼殺隊の剣士の後ろ姿、代々刀を打つ刀鍛冶たちを、MV映像では、日々変化する東京の街、不変の月、陽光と富士山、ワープしているような光のトンネルを描いています。双方、過去・現在・未来の描写が印象的です。

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ED:「コイコガレ」milet×MAN WITH A MISSION

TVアニメ第3期『刀鍛冶の里編』のEDテーマ曲には、OPテーマ曲と同じく、miletとMAN WITH A MISSIONの初コラボを起用しています。作詞・作曲・プロデュースは、歴代のアニメ『鬼滅の刃』のEDテーマ曲を手掛ける梶浦由記が担当し、編曲はMAN WITH A MISSIONと梶浦の共作です。

自分を否定していた過去がある恋柱・甘露寺蜜璃の「優しいひとたちを守りたい」という恋と愛にあふれた心情を表現したようなキャッチーな楽曲。丁寧に声を重ねたと語るmiletの歌声と表現は、OPテーマ「絆ノ奇跡」とはまた違う澄んだ声で、甘露寺のように、しなやかでたくましい。楽曲後半では、男女のボーカルと弦楽器の音色が次々に音の層を重ね、鳥肌が立つような調和を奏でています。

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TVアニメ『鬼滅の刃』【柱稽古編】

2024年5月から放送を開始した第4期『柱稽古編』。鬼殺隊全体の力を底上げするため、柱たちの元で隊士たちが稽古を始める物語のOPとEDテーマ曲は、全国のロックフェスやライブなどで精力的に活動するロックバンドMY FIRST STORYと、2022年に結成30周年を迎えたロックバンドL’Arc-en-Cielや、VAMPS、THE LAST ROCKSTARSのボーカルでソロアーティストとしても世界で活躍するHYDEがタッグを組んだツインボーカルの2曲になっています。

MY FIRST STORYのHiro(Vo)「自分たちの師であり優しい先輩のHYDEと一緒に歌った曲が、世界中で愛され続ける『鬼滅の刃』をより彩り昇華させられたら」と、柱たちと稽古をする隊士のように全身全霊で挑んだ気持ちを述べています。

OP:「夢幻」MY FIRST STORY × HYDE


疾走感あふれるラウドロックで、オープニングにぴったりな「夢幻」は、様々なアーティストへ楽曲提供をする音楽クリエイター集団CHIMERAZMY FIRST STORYが作詞作曲編曲を手掛けています。独特のハスキーボイスが混ざり高音が響くHiroの歌声と、伸びやかで凛々しいHYDEの歌声が躍動しています。全く異なる声質なのに時折どちらがどちらの声か分からなくなるほど共鳴し、グッと心を掴みます。


産屋敷邸の御館様こと産屋敷耀哉の隊士たちに対する想いや、鬼の始祖である鬼舞辻無惨に向けての激しい感情をイメージさせる歌詞で、鬼舞辻のせいで多数の命が犠牲になってきた歴史を感じさせます。
〈夢幻に続く螺旋の先で〉には鬼を滅する意志や夢を受け継ぐ者が居る限り、決して鬼退治を諦めないという鋼の精神が伝わってきます。終盤では希望に満ちて安堵するのも束の間、その思いを砕くようにラスト10秒ではグロウルが炸裂しています。

MEMO

HYDEとMY FIRST STORYは過去に互いのライブステージにゲスト出演し、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2022』ではHYDEのステージにHiroが登場し一緒に歌ったりと以前から交流があり、ファンにとって、それこそ“夢幻”が叶ったコラボとなりました。

ED:「永久 -トコシエ-」HYDE × MY FIRST STORY


EDテーマは、本作品の劇判や「紅蓮華」など歴代の主題歌を制作してきた音楽家の梶浦由記が作詞作曲編曲を務めています。鼓動にも聞こえるドラム音が鳴り続け、おどろおどろしくも華々しさのあるダークサウンドで、“彼女にしか描けない鬼滅の世界観”と絶賛されています。


HYDEは「(梶浦によって)忘れかけていた僕の中の鬼が引き出された」と語り、曲の冒頭から低音ボイスで地の底を震わせています。OPとは真逆の圧倒的な闇の存在感があり、そこへ女性的な透明感のあるHiroの歌声が光のように溶けこんでいます。

歌詞は鬼舞辻無惨の視点であることは一目瞭然で、〈虫けら/跪け/頭を垂れて道を譲れ〉など残忍な言葉を放つHYDEは、まさに無惨様そのもの。EDでは〈無限〉、OPでは〈夢幻〉という実体のない概念を追い求める姿勢は共通していて、物語での御館様と鬼舞辻の関係性も匂わせています。

最後に

以上、TVアニメ『鬼滅の刃』の歴代主題歌(OP・EDテーマ全12曲)を一挙紹介しました。


300年以上前の刀が現れて、過去の点と点が徐々に繋がってゆく第3期『刀鍛冶の里編』、鬼殺隊の強化のため隊士たちは柱たちの元で修業する隊士たち、一方御館様は病がより重くなり、朝日を克服した禰豆子を狙い鬼舞辻が一層目を光らせる第4期『柱稽古編』。鬼殺隊剣士たちの絆や先祖との繋がり、鬼の鬼になる所以、原作コミックの戦いがどう映像化されるのか、物語も映像も期待しかありません。鬼滅愛にあふれた新たな主題歌に躍動しながら、1週間ごとの放送が待ち遠しいものです。

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」、煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記。

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