鳳月杏は、宝塚歌劇団月組のトップスターです。
2006年に92期生として宝塚歌劇団に入団、月組に配属され、2014年に花組に異動。
2019年に再び古巣の月組に異動し、2024年7月8日付けで、月組トップスターに就任しました。
入団19年目でのトップスター就任は、平成以降最も遅咲きですが、成熟した大人の落ち着きと色気、特に高い演技力で人気を集め、「ELPIDIO」「ゴールデン・リバティ」などの舞台で活躍しています。
そんな鳳月杏のプロフィールや魅力、代表作について、徹底解説していきます。
目次
鳳月杏のプロフィール
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愛称:ちなつ
生年月日:6月20日
出身地:千葉県船橋市
身長: 172cm
代表作:「あかねさす紫の花」「出島小宇宙戦争」「ELPIDIO」「ゴールデン・リバティ」など
芸名の由来:「鳳」の字が使いたかったのと、映画「ローマの休日」のファンだった母が、主人公のアン王女にちなんで命名
鳳月杏の経歴は?
高身長でも舞台人として活躍したい!
3歳の時からクラシックバレエを習い、小学2年生の時に母が見せてくれたビデオで宝塚を知った鳳月。
宝塚ファンだった母の影響と、空想し出すと止まらない想像力豊かな少女であったこともあり、毎日録画したビデオを鑑賞するほど宝塚にハマりました。
元々はバレエの道を目指していましたが、中学の頃にはバレリーナとしては不利になるほど身長が伸びたため、別の道を模索し始めます。
そんな時に、鳳月の脳裏に浮かんだのが、幼少期から大好きだった宝塚歌劇団でした。
中学2年生の時にチケットを買って、初めて花組の舞台を観劇し、「ここに入りたい!」と宝塚音楽学校の受験を決意しました。
声楽を始めたのは受験の一年前というスロースタートでしたが、「ちょっと挑戦してみようと気楽に受験したので楽しかった」と後に語るほどの余裕を見せ、見事一発で音楽学校に合格しました。
組替えを繰り返した若手時代
2006年に92期生として入団した鳳月は、憧れのタカラジェンヌ・瀬名じゅんがトップスターを務める「芝居の月組」に配属されます。
入団当初は憧れるだけの存在でしたが、2009年に瀬名が退団した後は、映像を見直して男役としての在り方や舞台技術などを学び、彼女を目標とすべき存在として成長していきます。
その結果、入団7年目の2013年に「ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-」新人公演で、初の主役であるアンドレ役に抜擢されました。
新人公演に出演できるのは、入団7年目までのタカラジェンヌのみ。
新人公演での主役経験はトップスターへの第一関門であり、新人公演ラストイヤーでの抜擢は、彼女にとって大きな幸運だったと言えるでしょう。
同年に、バウホール公演「月雲の皇子」で穴穂皇子役を演じ、徐々に注目を集めていきます。
しかし一方で人前で話すのが苦手で、自分のやっていることに自信が持てず、「自分は楽しいけれど、舞台を通してお見せするには何かが乏しい」と悩むようになりました。
そんな中、2014年12月28日付けで花組への組替えが行われました。
当時の花組は、トップ・オブ・トップと呼ばれた伝説的トップスター明日海りお、当時は花組2番手であり現宙組トップスター芹香斗亜、明日海りおの後に花組トップスターに就任したビジュアルモンスターの異名を持つ柚香光など、華やかな男役が多く集まった黄金期。
明日海りおの代表作の一つ「ME AND MY GIRL」では、娘役であるジャッキー役を柚香光と、ランベスクイーンを水美舞斗と役替わりで演じ、大きな話題を集めました。
その他にも多くの役替わりを経験し、実力のある組子たちと切磋琢磨した花組での4年半は、鳳月にとって、自分の殻を破るきっかけとなりました。
自分の好きなことを伸び伸びと表現し、自信を持って舞台に上がれるようになったのです。
「MESSIAH(メサイア)-異聞・天草四郎-」での残虐非道な島原藩主・松倉勝家役、「CASANOVA」でのゴージャスな美女・コンデュルメル夫人役など、次々と魅力的な役柄を演じて人気を集めました。
月組を支える強力な2番手男役に
重要な役に次々と抜擢され、「いつまでも誰かに憧れていてはいけない。自分がカッコよくならなければ」と考え始めた頃、古巣の月組への組替えの話が舞い込みます。
2019年4月29日付けで、再び月組に戻ってきた鳳月。
トップスター珠城りょう時代は3番手、トップスター月城かなと時代は2番手男役として、月組の舞台を高い演技力で支え続けました。
珠城も月城も鳳月より下級生だったため、単に舞台の成功を支えるだけでなく、月組という組織を支える頼りになる上級生としても人望を集め、「いつかはトップスターになって欲しい!」と多くの熱烈なファンに期待を寄せられるまでになりました。
宝塚史上最高学年でトップスター就任!
多くのファンの期待に応え、鳳月は2024年7月8日付けで、相手役となるトップ娘役に天紫珠李を迎え、遂に月組トップスターに就任しました。
彼女のトップスター就任は、平成以降最も遅い入団19年目。
幾度もの組替えを経験し、何人ものトップスターやトップ候補のフォロー役を務めるなど、その道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
しかし、一つ一つの役柄を丁寧に演じ、常に芝居に真摯に向き合い、多くの組子たちから信頼を集めた彼女の就任は、驚きと同時に「彼女なら納得」と誰もが認めるものでした。
宝塚人生の大半を過ごした月組メンバーへの信頼は厚く、「気負わず、責任を感じながらも、楽しむことを忘れないようにトップスターを務めていきたい」と今後に向けて、力強いメッセージを発しています。
鳳月杏の魅力は?
温和で成熟した大人の色気を放つ男役
入団19年目という遅咲きでのトップスター就任は、鳳月自身の持つ「落ち着き」「大人の色気」「包容力」といった属性と非常に相性が良く、まさに今が旬ではないかと言われています。
ヴィジュアルとしては整った顔立ちに男役として恵まれた体格と高身長、そしてなにより「脚が長すぎて、脚を組むと持て余しているのが分かる」と言われる超絶スタイルは、常に女性ファンの憧れの的。
相手役である天紫も、高身長で落ち着いた大人の女性の魅力に溢れたタイプのため、2人の並びは非常に安定感があり、注目を集めています。
月組で培った高い演技力と花組で身に着けた華やかさ
「芝居の月組」で培った演技力は、なによりも強い彼女の魅力として知られています。
安定感のある細やかな演技、特に大人の男性としての佇まいや色気は、右に出るものがいない素晴らしいレベルです。
また、役柄に対するアプローチの引き出しを多く持っており、「鳳月杏がその役を演じることの意義」を深く追求するスタンスが、多くのインタビューからうかがえます。
歌・ダンスも申し分なく、加えて「男役の花組」「スターの花組」と呼ばれる花組で身に着けた華やかなスターオーラは、多くの女性ファンの心を陶酔させる理想の男役としての魅力に溢れています。
多くの仲間に愛される縁の下の力持ち
先頭に立って集団を引っ張るというより、「私がしっかりやるから大丈夫、任せて」という縁の下の力持ち的な人柄であることが知られています。
周囲に気を遣うタイプであり、特に下級生には面倒見が良く、自由にのびのびと舞台で実力を発揮できるよう気を配っています。
仲の良いタカラジェンヌも多く、特に花組時代に苦楽を共にした一期下の芹香斗亜とは、「組が離れても大の仲良し」で、鳳月の愛犬モアナと芹香の愛犬キャンディも大の仲良し同士なのはファンの中では有名です。
しかも、この2匹は芹香がペットショップで見つけて鳳月に紹介、翌日に一緒に見に行って即お迎えしたというエピソード付き。
鳳月と同じく、何度も組替えを経験し、入団17年目と遅咲きでの宙組トップスター就任となった芹香とは、お互い苦労を理解し合える部分も多いのではないでしょうか。
また、下級生時代の月組と花組で一緒だった明日海りおとも仲が良く、大きな信頼を寄せられていたことも知られています。