新年は広々としたところから初めたいと思い、元旦の早朝に唐子浜へ訪れてみた。日の出時刻の1時間ほど前に到着。普段なら誰もいない時刻だが、元旦のこの日は初日の出を見ようと近隣の人々がチラホラと集まってきている。そんな中で手早く三脚やカメラのセッティングを終わらせると、白々と空が明るくなっていく曙の様子をぼんやりと眺めながら穏やかに過ごす。
最近入手した折り畳み式チェアを持っていったので待ち時間も快適だった。時折、刻々と移り変わる色彩の様子を撮影しながら温かいミルクティを飲んだり、遠くを群れで飛んでいく鳥たちの動きを観察したりしながら、さざ波の音だけが漂っている空間で静かなひと時を味わう。
今年は幸いなことに空は素晴らしく快晴で、日の出のその瞬間はとても美しかった。
眩しい旭をしばらく眺めながら新年の抱負などを想いつつ、良いひと時に別れを告げる。
その流れでSTRiDAに乗って唐子浜からほど近い場所にある綱敷天満神社に初詣に行く。その道中、家屋の屋根の上に屹立したちょっと大きめのお洒落な風貌の鳥も初日の出を味わうようにじっと遠くを見つめていたのは印象的な光景だった。彼は何を想っていたのだろう。
綱敷天満神社では参拝客ですでに賑わっており、皆白い息を吐きながら厳かな雰囲気の中で参拝を行なっていた。私も長い列に加わり、定期的に聞こえてくる賽銭を投げ入れる音や本坪鈴の音色に正月らしい風情の心地よさを感じた。
「吉」。おみくじがそう云うのだからそうなのだろう。
けれど、年の終わりには大吉に出来るように生きていこうではないか。
本殿参拝を終えるちょうど良い頃合いに空腹を感じ始め、身体もすっかりと冷えてしまったので、帰ってお雑煮を作って食べることにする。
使う食材は人や地域それぞれにあるだろうが、私のお雑煮に欠かせないのはみつ葉と数の子だ。そして、鶏もも肉とどんこも入れて、ちょっとだけ鷹の爪でアクセントを付けたシンプルな白だしでいただく。冷え切った身体に沁み渡っていく。
今年は、大きく動かずにやるべきことを淡々とやり続けていく年にしたい。