「法隆寺級」「戦後最大」。奈良県明日香村の高松塚古墳から極彩色の壁画が見つかり、朝日新聞は1972年3月27日の朝刊1面で大々的に報じました。

 橿原考古学研究所の発掘調査で3月21日に確認され、5日後の26日に報道発表されました。赤、青、黄、緑などの華やかな色で彩られた壁画は、調査に携わった人を驚かせました。

 壁画に描かれていた男女16人の人物群像は、髪形や服装、所持品などが細かく描写されていました。文献史料だけでは読み取れない当時の様子がありありと目に浮かび、大化の改新以降の歴史や文化を伝える第一級の史料となりました。

 壁画は古代史ブームを巻き起こし、教科書にも掲載され、考古学への関心を高める牽引(けんいん)役となりました。

 「あの日」から3月21日で50年。当時の衝撃を中心に写真で振り返ります。(足立耕作)